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スギCryptomeria japonica)は、スギ属の樹木である。

名前と分類[編集]

スギの名の由来は、真直ぐの木「直木」から来ていると言われる(大和本草)。しかし、本居宣長古事記伝神代七之巻にて、スギは傍らにはびこらず上へ進み上る木として「進木(ススギ)」が語源としており、「直木(スグキ)」は誤りであるとしている。漢字の由来は? 漢字では「杉」や「椙」と書く。ただし、「杉」は中国ではコウヨウザンのことを指し、スギのことは「柳杉」と呼び分ける。「椙」はいわゆる国字であり、日本でしか通じない。

スギ属 Cryptomeria に分類される。この属は本種のみで構成される単型 (monotypic) である。科についてはヒノキ科 Cupressaceae とすることが多いが、スギ科 Taxodiaceae を設け、こちらに入れることもある。

オモテスギ系統、日本海側を中心に分布するウラスギ(アシウスギ、芦生杉)系統の2つに大きく分類され、この中にさらに多数の品種が存在する。

分布[編集]

日本特産種。後述のように有用な林業樹種であり、木材生産を目的とした造林が、古くから各地で行われてきたので正確な天然分布は分かっていないが、青森県から四国九州、および屋久島とされることが多い。現在、各地に植林され、北海道の道南地方や沖縄県にも分布する。ブランド産地も秋田(秋田県)、四谷東京都)、天竜(静岡県)、尾鷲(三重県)、吉野(奈良県)、智頭(鳥取県)、久万(愛媛県)、魚梁瀬(高知県)、日田(大分県)、飫肥(宮崎県)など北から南まで全国に点在する。完満な材を目指した吉野や四谷、とにかく早く太ることを目指した飫肥など地域ごとの特色が見られる。

マツ類やヒノキといった在来の他の針葉樹と比べる湿潤で土壌の発達した場所を好む。このため前述の分布域の中でも、特に降水量の少ない瀬戸内海沿岸ではあまり見られない。植栽する時も乾燥しやすい尾根筋を避けることが経験的に知られている。

広く植林され続けた結果、日本の森林面積は約2500万haのうち、2割弱に当たる約450万haを本種が占めているとされる[1]

形態[編集]

常緑高木で樹高は普通30-40m程度だが、60m近い巨木も記録されている。壮齢木の樹形は真っ直ぐに伸びた幹と、円錐状の樹冠を持ち、クリスマスツリーのような形をしていることが多い。老齢では形が崩れることもある。樹皮は一般に赤褐色、老木ではやや灰色、繊維質で縦に細長く裂ける。

枝は互生、苗木の時点では明らかに互生であるが、成長するにつれて幹のほぼ同じ高さから四方八方に伸びる箇所も多く、遠目には輪生に近い生え方をする。葉は針状で枝を取り囲むように付く。葉断面は菱形である。オモテスギ系統と多雪地に分布するウラスギ系統では葉の形態に違いがある。

スギは常緑樹であり、1年中葉を付けたままである。しかし、その色は「常緑」ではなく冬の間は葉が褐色に変わる。スギの場合、葉の変色の原因は葉緑素の色素のうち、橙色のものであるカロテンキサントフィルが蓄積し、緑色のものであるクロロフィルが分解されるためと考えられている[2]。稀にこれを分解できずに冬でも針葉が緑色のままの個体が見られ、このようなものはミドリスギと呼ばれている。交雑試験の結果、ミドリスギの形質は普通のスギに対して劣性であるという[2]

スギ同様に冬に葉の変色が見られる常緑樹は他にも存在し、ナンテン (Nandina domesticaメギ科)、サツキ (Rhododendron indicumツツジ科)、バンクスマツ (Pinus banksianaマツ科)など色々な植物で知られる。

花は一つの個体に雄花と雌花を付ける雌雄同株と呼ばれるものである。雄花は枝の先端に多数が形成される開くと黄色、風媒花であり風で枝が揺れると大量の花粉をまき散らす。雌花は雄花とは一般に別の枝先に形成され、特に雄花よりも高い枝に形成されることが多い。枝によっては数年単位で同じ枝に形成され、枝の先端に新しい雌花、根元の方に去年受粉し成長途中の球果、さらに根元には種を飛ばし終わったもっと古い球果がついていることもある。

スギの造林は全国で行われてきたが、特に昭和30年代のいわゆる拡大造林[注釈 1]の時期に大きく植林面積を伸ばしている。日本の森林面積は約2500万haで、そのうちの4割に当たる約1000万haが人工林であるが、このうちの4割にあたる約450万haを本種が占めているとされる[3]

スギの造林面積[注釈 2]は年々減少傾向にある。林野庁の統計によれば、民有林 (地方自治体所有の公営林を含む) におけるスギの造林面積は、平成2年(1990年)には約18000haであったものが、平成20年(2008年)には約5000haにまで減少した。この間ヒノキはさらに落ち込みが激しく、カラマツは微増となっている。2008年(平成20年)のこの3樹種の造林面積は概ね4500 -5000haでほぼ横並びとなっており、針葉樹の3大造林樹種となっている[4]

ドイツシュヴァルツヴァルト[注釈 3]に代表されるように、環境汚染による森林の衰退が欧米を中心に問題となっているが、スギ林についても衰退現象が1960年代から報告されている。

人工林と放置問題[編集]

スギは前述の通り木材の生産を目的に、大量に植栽されてきた。しかし、植栽はしたもののその後の手入れをしなかったために沢山の問題が露呈している。

人工林の造成手順[編集]

人工林は一般的に以下のようなサイクルで運営される。

目的とする樹種は植栽、もしくは天然に生えてくるものを使う。一般には植栽する方法が採られ、密度の目安は3000本/haと言われている。ただし、管理計画やどのような木材を得ることを目標とするのかによって大きな差がある[注釈 4]。 植栽直後数年間はスギの周りに生えてくる雑草や木を人の手によって除去する除伐作業が行われ、苗木がある程度成長したらスギ同士を間引いていく間伐作業が始まる。数回の間伐後に大きくなった目的樹木を伐採し収穫する。伐採後の土地には新しい苗木を植えて育てていく。

このうち、特に問題になるのは間伐の不足である。

間伐不足による影響[編集]

日本の森林をめぐる問題の一つに人工林の間伐作業を行っていないことが挙げられる。除伐は行われたためにスギが上層を覆っているが、間伐が行われていないような場所では密に広がったスギの樹冠で日光が地表に届かず地表の植生が発達せずに土がむき出しの場合もある。

間伐をしない理由[編集]

金が無いから

対策[編集]

林野庁の秘策


生活環[編集]

着花数は植物ホルモンの一種、ジベレリンによって調節しやすい樹種であるとされる。

実生による更新だけでなく、栄養繁殖による更新、いわゆるクローンが増えていくタイプの更新方法も知られている。特に積雪地に適応したウラスギ(アシウスギ)系統は雪の重みで枝がたわみ、接地した場所から根を生やして数を増やす方法で増殖すること、いわゆる伏条更新(ふくじょうこうしん)と言われるとり木的な更新方法を採ることが有名。また、ウラスギは萌芽による更新を比較的行いやすいと言われている。

萌芽更新を生かした林業は一般に薪炭の採取を目的とした広葉樹で行われることが多く、各地の里山のクヌギ・コナラ林が代表的である[注釈 5]が、木材の採取を目的にスギで行われたものは京都の北山のものが有名である。北山ではウラスギ系の品種を用い、地上高1m程度のところでいったん主幹を伐採し、これを台としてその上部に萌芽更新してきた数本を幹として育てる手法の林業がおこなわれている。ただし、近年は主幹をそのまま育て上げる一般的な手法の方が盛んだという。

この他にも人工的には挿し木や接ぎ木によって苗木生産が行われている。一般に積雪の多い地域では実生による苗木、少ない地域では挿し木による苗木が多い。これは実生苗と比較した場合に挿し木苗は根の発達が悪く、初期成長が良くないので、雪に埋まる年が多く、雪害を受けやすいことを嫌うためとされる。

生態[編集]

スギの単相林は生物多様性の面から非難されることが多い。特に手入れが不足している森林では一見すると緑に覆われていても、実際は生物多様性に乏しく「緑の砂漠」などと呼ばれることがある。人工林を造成する場合は、一般に以下のようなプロセスを持って進むが、特に間伐を怠ることが生物多様性への影響に大きいとされる。

このような場所は遠目には緑に覆われているものの、実態として生物多様性に乏しく、また土砂の移動も多いために「緑の砂漠」などと言われることもある。なお上層がヒノキの場合、スギよりも落葉の分解が進みやすくのでさらに深刻な表土流出を起こすという。

現在、日本の人工林においては、放棄される人工林の増加が問題になっている。後述のように木材価格の下落により育てても儲からないのが大きな原因であるとされる。また、間伐等の手入れはするものの、最終的な収穫は先送りし、大きな丸太を生産するといういわゆる長伐期施業の取り組みが一部で行われている。伐採までの期間が長くなることで、太い木が得られ高収入であることや、林業で特に費用のかかると言われる造成直後数年間の保育費用が短伐期施業に比べて減少すること(伐期を2倍にしたときの初期保育は短伐期施業で2回、長伐期で1回)などのメリットが挙げられている。一方で森林所有者の高齢化などの面から長伐期施業と言う選択を採らずに、皆伐して現金化を試みる所有者もいるという。このような場合、所有者の高齢化などから伐採跡地には何も植えられずに放棄されることがあるという[5]

放棄されたスギ人工林は植物・動物などに影響をもたらすばかりでなく、我々の

他の植物との関係[編集]

天然のスギ林はブナ帯のなかに、局地的な極相を形成する。以下のような植物と混生する。

間伐を怠った高密度植栽地域で、スギにとって致命的な影響をもたらすものに冠雪[注釈 6]がある。冠雪の重みによって生じる幹や枝の折損・曲がり被害は冠雪害と呼ばれている。手入れ不足で幹が細い割に樹高が高い個体では被害が出やすいとされる。これまでの研究から、形状比[注釈 7]が80以上の個体は危険であるとする報告が多い。積雪地で無い場合は風害などの被害に関係するという。

冠雪害などにより過密なスギが破壊され、林内にギャップが形成されると他の生物が侵入する門戸となる。

土壌

スギを植えた土壌はマツやヒノキのそれと比べて、一般に肥えると言われており、広葉樹を植えたときと同様の反応が見られるという報告が多い。特に土壌中のカルシウムが増えるという。一方で窒素の排出が多いとも言われており、河川の富栄養化の原因の一つとも言われる。

冠雪害によく似ているものに雨氷害というものがある。これは過冷却された雨が枝葉にあたる刺激で瞬間的に氷になり (これを雨氷という)、その重みで生じる害である。結果として折損や根返りを起こす点は冠雪害と同じである。雨氷は雪よりも枝によく付着するので、スギの様な常緑樹はもちろん、冬の間落葉している樹種でも被害が発生しやすいのが特徴だとされている。現在のところ冠雪害に比べて雨氷害に関する報告は少ない。

多雪地域において斜面に植栽されたスギ苗木の場合、冬季の積雪によって苗木は雪に埋没する。積雪は斜面上を重力によって移動するために苗木は斜面下方へ引っ張られる、この際に枝や幹が損傷することがあるほか、これを何年も繰り返すうちに根元が大きく曲がることもある。根元が曲がることで木材を採取する時の歩留まりが悪くなるために、根元が曲がりにくい品種がいくつか開発されている。親木が雪害抵抗性を持つ場合、親のクローンである挿し木の方が雪害抵抗性は高そうなものであるが、実際には実生苗の方が抵抗性が高いという報告があり、理由として実生苗は成長が良いために積雪を超えるまでの期間が短いこと、苗木の柔軟性が高く雪圧で折損せず生存しやすいことの2点が挙げられている[6]。実際に雪害抵抗性の品種も多くが実生による苗木の供給を予定している[7]

動物との関係[編集]

何種類もの昆虫がスギの色々な部分を餌として利用している。

スギカミキリ (Semanotus japonicus) は生きている木に産卵するタイプのカミキリムシで、幼虫はスギやヒノキ科樹木形成層や内樹皮を食べて育つ。幼虫の多くは樹木が分泌する樹脂(やに)に巻かれて死んでしまうといわれているが、一部は材の内部へと食い進んでいく。多数の食害を受けたスギは物質移動を妨げられることにより枯死することがしばしばある。また、食害部に樹皮が食痕周囲の材は菌類によって変色、腐朽してしまうことや、樹木が成長するにつれて食害部を樹体内部へ巻きこんでいくことでの変形によって、木材としての価値を著しく低下させる[8]

本種による被害はハチカミ、もしくはバチクイ、ガトクイなどと呼ばれ<ており[8]、スギの最重要害虫の一つとみなされて多くの研究がなされている。材内のカミキリの蛹室時期について調べたところ、蛹室が最も多くなるのはスギの肥大生長[注釈 8]が最大の時期[9]であったといい、幼虫が生存し蛹になるのに適した時期であると言える。肥大生長が促進されるのは低密度で植えた場合であり、実際に低密度植林地の方が深刻な被害が出たという報告もある[10]

樹幹表面に現れたカミキリ成虫の脱出孔を観察したところ、最初の数年は指数関数的に数が増加したが、やがて終息した[11]。同じことが材内のカミキリの蛹室を調べることでも言えたという[9]。脱出孔、蛹室ともに最初は樹幹下部に形成されるが年を経るごとに上昇傾向があったという[11][9]

人間との関係[編集]

神社はスギの大木が多い。岐阜県白山中居神社

木材利用[編集]

スギがこれほどまでに造林され、利用され、各地で研究されてきたのにはその木材としての価値が大きい。木材の主たる利用である木造建築においても柱はもちろんのこと各種小物類まで対応でき、ヒノキと並び日本を代表する有用樹種である。木材としては比重は約0.4、比較的腐りにくいとされているが、ヒノキ、ヒバやクリといった樹種には劣るとされる。

日本の林業は木材生産とキノコ生産が2大柱(製紙業も大きいが、原料パルプはほとんどが輸入)であるが、特に木材生産は衰退しつつある。2008年の林業産出額は約4500億円で、1980年の11600億円と比べると4割にも満たない。この間キノコ生産は横ばいであるが、木材生産が大きく減少している。産出額全体に占める木材生産の割合も80年の84%から2008年は48%にまで低下している[12]。単位体積当たりのスギの丸太価格は1980年の38,700円/㎥をピークに減少しており、2009年は10,900円/㎥である[4]

スギ材の価格低下の原因として、遠藤(2002)[5]はいくつかの理由を指摘している。

  • 円高による外材とのし烈な競争、円高によって外材が安く買えることでスギも安くせざるを得ない。
  • バブル崩壊による住宅需要の低迷
  • 十分に加工されていない木材を市場へ流通させ、集成材化や人工乾燥といった高付加価値化の工夫を怠ってきたこと。加工側のムク材信仰もあったと指摘している
  • 95年の阪神大震災による在来木造住宅への不信感、震災で多くの木造住宅が倒壊・焼損したことで消費者の心が離れた。
  • 2000年の住宅の品質確保の促進に関する法律の施行(ムク材は強度が定量化しづらく集成材よりも不利)

価格についてはスギ材が外材よりも安いにもかかわらず、スギを買われない例も指摘されており[13]、価格だけでなく加工設備も含めた供給体制に問題があるのではないかという意見もある。

代表的なライバルとされていたのがアメリカ産のツガ類Tsuga spp.)である。2種を含み、アメリカ(米国)産であることからベイツガと総称され、主にアメリカ、カナダの西海岸で生産され、丸太の形で輸入されていた[5]。しかし、92年、西海岸に生息するマダラフクロウ Strix occidentalis の保護のためにベイツガを含む州有林の伐採禁止が決定。以後の取り扱いは減少している。代わって台頭してきたのが北欧からのドイツトウヒPicea abies)とヨーロッパアカマツPinus)である。これらは集成材に加工されることを前提に細かく切り分けられた薄い板状の部品(ラミナと呼ばれる)の形で輸入されているという[5]

スギは乾燥が難しい樹種として知られ、また含水率[注釈 9]のばらつきが大きいとされる。含水率異常の一つに心材が黒く変色する「黒心」があり、美的観点から嫌われる。原因は遺伝とされているが、外部からの病気感染もあるという。

柱以外の利用では回復の兆しも見られる。合板は従前は南洋材や北洋材といった輸入材を用いてきたが、いずれも輸入量が減少傾向にあるとのことで、2004年ごろより、国産カラマツ材とともに合板として用いられることがふえてきているという。

その他利用[編集]

曲げわっぱ等の工芸品にも利用されている。

スギ材をキノコ生産に生かそうという試みも行われている。スギ林に生えるキノコは少ないものの、人工的に種菌を打ち込むことで、ナメコマイタケが収穫できることが報告されている。

スギの葉は茶や線香になる。樹皮や葉から採れる精油も利用される。樹皮や葉は脂を多く含むので焚き火の際の着火剤としても優秀である。

花粉症[編集]

スギは毎年春になると花粉を風に乗せて飛ばす。これによるアレルギーはスギの多い本州以南では大きな問題になっている。花粉を飛ばさない品種の開発などが行われている。

水土保全[編集]

有名個体[編集]

屋久島の標高1100m付近の生える巨大な個体で樹齢は2000年以上、最大7000年を超えるという説もある巨木。ただし、個体の一部が腐朽して消失しており、正確な樹齢は測定出来ていない。世界的に長寿な植物としては以下のような例が知られている。
  • プロメテウス Prometheus - アメリカ合衆国西部の険しく非常に厳しい気候の山岳地帯に分布するマツの一種 Pinus longaeva[注釈 10]の個体で、年輪年代学の研究のために1964年に伐採された。伐採時点で年輪を数えた結果は4862歳と発表された[注釈 11]。年輪を測定にあたり、長寿の個体を伐採したことは議論を呼んだ[注釈 12]
  • メトシェラ Methuselah - プロメテウスと同じく Pinus longaevaの個体で、同じく4800年以上とされる。こちらは生存。なお、2013年に同種の5000歳を超える個体の存在が発表されたが、まだ名前は付けられていない。
  • سرو ابرکوه - イランのヤズド州Abarkuhに所在。イトスギの一種Cupressus sempervirensで樹齢は4000年以上とされている。
  • The President - セコイアデンドロン Sequoiadendron giganteum の巨木で樹齢3200年と推定されている
  • 名称不明 - 南米チリのFitzroya cupressoidesヒノキ科)の木で樹齢3200年以上。

また、樹木を含む植物は種にもよるが栄養繁殖が可能であり、個々の個体の寿命は短くとも、同一の遺伝子を引き継いだ個体が脈々と生存し続けることもありえる。このように同一遺伝子を持つ個体群をジェネット(genet、栄養繁殖集合体と訳されることもある)と呼び、これを寿命を植物の寿命と考える場合もある。

  • Old Tjikko - スウェーデンにある。ドイツトウヒPicea abies)で根を放射性炭素年代測定で測定した結果9500年という結果が出ている。現存する地上部の樹齢は数百年であることから、伏条更新や萌芽更新を繰り返してきたと考えられている。
  • King Clone - アメリカ合衆国に所在。ハマビシ科の低木でLarrea tridentata
  • Pando - アメリカ合衆国ユタ州南部に所在。アメリカヤマナラシ Populus tremuloides雄株が作り出した巨大なジェネットで、総面積43ha、総重量は6000tに達し、年齢は8万年以上と見積もられている。
津軽のヒバ、尾鷲のヒノキと並ぶ日本3大美林の一つ。

注釈[編集]

  1. ^ 広葉樹を主体とする天然林を伐採し、スギやヒノキを植えたこと。背景として当時は戦後復興による旺盛な経済成長の中にあり、木材の供給への不安を解消する目的あったとされることが多い
  2. ^ 植栽した面積
  3. ^ シュバルツバルトの主な構成樹種はマツ属モミ属を中心とする針葉樹
  4. ^ たとえば、完満な材の収穫を目的とする場合にはこれよりも高密度に植えることで、幹の肥大生長を抑制して伸長生長を促す。逆にこれよりも低密度で植えることもある。前者の例では京都の北山や奈良の吉野が有名で苗木の植栽本数は5000 -10000本/haに達し、マメな間伐を行って非常に品質の高い丸太を生産している。後者の例としては宮崎の飫肥が有名で植栽本数は2000本/ha以下である
  5. ^ 「あがりこ」やpollard、台場などと呼ばれる独特の樹形になる
  6. ^ 枝や葉に降り積もった雪
  7. ^ 樹高を直径で割った値。たとえば樹高21m、胸高直径30cm = 0.3mの個体の形状比は70になる。
  8. ^ 横方向の成長のこと
  9. ^ 木材の含水率は完全に乾燥した木材の質量に対する水分の質量で定義される
  10. ^ イガゴヨウの和名も見られるが、それは一般にPinus aristataの方に使われているようなので和名の併記は行わなかった。P. longaeva自体はP. aristataと酷似しており、当初は同種と扱われていたので、別種扱いになっても和名の方が対応していないものとみられる
  11. ^ 年輪から分かるのは切り口における樹齢であり、苗木が幼いうちの樹齢は推定する。
  12. ^ ドリルを使い細長いサンプルを採取する方法もあるが、伐採し数えた方が正確な数字を測定できる

脚注[編集]

  1. ^ 林野庁HP スギ・ヒノキ林に関するデータ
  2. ^ a b 千葉茂. 1953. スギ針葉の冬季における変色の遺伝 (第1報) 針葉の変色の観察及びアカスギ, ミドリスギの交雑. 日本林學會誌 35(9), 286-289.
  3. ^ 林野庁HP スギ・ヒノキ林に関するデータ
  4. ^ a b 林野庁 (編)(2010)平成22年版 森林・林業白書. 全国林業改良普及協会. 東京.
  5. ^ a b c d 遠藤日雄(2002)スギの行くべき道 林業改良普及双書141. 全国林業改良普及協会, 東京.
  6. ^ 宮下智弘(2007)多雪地帯に植栽されたスギ挿し木苗と実生苗の幼齢期における成長特性の比較. 日本林学会誌89 (6), 369-373
  7. ^ 雪害抵抗性育種-森林総合研究所2013年5月19日月閲覧
  8. ^ a b 林野庁監修. 2001. 林業技術ハンドブック. 全国林業改良普及協会. 東京.
  9. ^ a b c 西村正史. 1991. スギの肥大成長からみたスギ林へのスギカミキリの定着時期. 日本林學會誌 73(4), 251-257
  10. ^ 吉野豊. 2004. スギ林における植栽密度によるスギカミキリ被害の違い. 日本林學會誌 86(1), 1-4.
  11. ^ a b 藤田和幸, 福山研二, 尾崎研一, 佐藤重穂. 1990. スギ人工林におけるスギカミキリ成虫発生の年次変動. 日本林學會誌 72(2), 120-124.
  12. ^ 農林水産省・生産林業所得統計報告書
  13. ^ 行武潔・中島能道・大迫則明(1991)日米貿易摩擦と木材需給構造の変化. 日本森林学会九州支部論文集44, 9 -10.

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

研究者によるオープンアクセスの総説など。PDFファイル形式。