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利用者:Kaktos/ペレスキア・ブレオ

レウエンベルゲリア・ブレオ
杢麒麟
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ナデシコ目 Caryophyllales
: サボテン科 Cactaceae
: レウエンベルゲリア属 Leuenbergeria
: L. ブレオ L. bleo
学名
Leuenbergeria bleo (Kunth) Lodé 2012
シノニム

Pereskia bleo
Rhodocactus bleo
Cactus bleo
Pereskia corrugata
Pereskia panamensis

和名
月の薔薇

レウエンベルゲリア・ブレオ学名: Leuenbergeria bleo[1])は、サボテンレウエンベルゲリア属の常緑低高木。主としてパナマからコロンビア西部に分布する。サボテン科ではあるが乾燥耐性が無く、熱帯雨林気候に適応している。旧名のペレスキア・ブレオ(Pereskia bleo)と呼ばれることもある。

概要[編集]

レウエンベルゲリア・ブレオは熱帯雨林性の常緑樹で、サボテン科としてはおそらく最も水を好むものである。艶のある葉を持ち、初夏に赤い花を咲かせる。本来の分布地は中央アメリカであるが、東南アジアなどの暖地に多数持ちこまれており、地域によっては生垣として普通に見かける。一見サボテンには見えないが、葉脇にはサボテン科特有の刺座があり、小さな刺が多数出ている。

栽培は水さえ与えれば極めて容易。ただし耐寒性が殆ど無いことから、ヨーロッパ日本など中高緯度の地域での栽培例は少ない。日本では、沖縄瀬戸内海静岡などで少数の栽培例があるが、沖縄を除く地方では冬季10℃以上を保つための設備が必要であり、他の木の葉サボテンが維持できる環境でも枯れやすい。また、耐寒性の向上を狙って断水することもサボテン類ではよく行われるが、ほとんど効果が無いばかりか、かえって水不足により衰弱する。沖縄でも低温のため冬季枯れ込みが発生しやすく、花も咲きにくい。かつて、欧米の栽培書で誤って花がピンクと紹介されたことがあり、栽培が難しく実物を見たことがある人が少ないこととも相まって、桜キリンや大葉キリンと混同されている[2]。ただ、この2種とは外見が大きく異なり、実物を見たことがあれば同定は容易である。

分布と生育環境[編集]

自然分布はパナマ東部、コロンビア西部が分布の中心である[3]。コロンビア中部のマグダレナ川水系にも生えており、こちらではやや高い所(~1300m)に分布する[3]。自生地では、川沿いや海岸、山火事跡地などに生えていることが多い。これは樹高があまり高くならないため、熱帯雨林の極相には向かないためである。このほか、二次林や生け垣としてもよく見かける。

自生地は典型的な熱帯雨林気候で、サボテン科植物としてはかなり極端な環境である。降雨が豊富で、年中雨が降っているか、軽い乾季[4]がある程度であり、年間平均降水量は1000-3000mmに達する[5]。気温も年間平均気温が27℃が標準的となっている[5]

形態[編集]

樹高は2mから最大で8mの灌木~低高木[6]。幹は最大15cmであまり太くならない[6]。若い幹は光沢のある樹皮におおわれるが、成長とともにひび割れ、光沢が無くなっていく[6]塊根は形成しない[7]

刺座と刺[編集]

刺座は葉脇にあり、多数の刺を備える。刺は2年目の枝で30-40本にも達することがある[8]。他の多くの木の葉サボテンの様にここから短枝葉の形で葉を出すことはまず無く[7][8]、長枝が新たに伸びない限り数年間継続して刺のみを出し続ける。刺は1cm前後で比較的短いが、細く鋭いため触ると痛い。

[編集]

葉は楕円形または皮針形で明確な葉柄を持つ。大きさは6~20cm×2~7cm[8]と、サボテン科ではオオバキリンに次いで大きい。葉を裏から見ると、葉脈がやや赤みを帯びて盛り上がり、表から見ても白く目立つため、他の木の葉サボテンとは葉の風貌がかなり異なっている。葉は長枝葉はすべて大型の葉として、短枝葉は全て刺として葉出する性質がある。

花及び実[編集]

花は直径5cm前後で、赤~オレンジ色。3月から6月に開花[3]。かつてペレスキア・パナメンシス(Pereskia panamensis)と呼ばれたグループの中には、時に黄白色に近いものもある[9]。果実は黄色い盃状で、特徴がある。種は5-8mmもあり、黒くて大きい[8]。実は食べられるが、すっぱくてそのままでは美味しくない。

分類[編集]

学名はleuenbergeria bleo。分類はサボテン科、木の葉サボテン亜科の北方木の葉サボテン属(レウエンベルゲリア属)に属している。かつてはPereskia(ペレスキア属)に纏められていたが、木の葉サボテンという分類は側系統であり[10]、レウエンベルゲリア属が新設された[1]。レウエンベルゲリア属の中ではカリブ海雌雄異株性を持つクレードに比較的近縁である[10]

脚注[編集]

  1. ^ a b Lodé, J. (2013), “Leuenbergeria, un nouveau genre de cactées” (French), Cactus-Aventures International 97: 26–27 , cited in Mayta & Molinari-Novoa (2015)
  2. ^ 清水(2003)pp.55-58
  3. ^ a b c Leuenberger(1986)p.102
  4. ^ 最低でも月降水量26mmという
  5. ^ a b Erika J. Edwards and Michael J. Donoghue (2006). “Pereskia and the Origin of the Cactus Life-Form”. the american naturalist 167: 777–793. 
  6. ^ a b c Leuenberger(1986)p.99
  7. ^ a b Leuenberger(1986)p.36
  8. ^ a b c d Leuenberger(1986)p.101
  9. ^ Leuenberger(1986)p.103
  10. ^ a b Edwards EJ, Nyffeler R, Donoghue MJ. (2005). “Basal cactus phylogeny: implications of Pereskia (Cactaceae) paraphyly for the transition to the cactus life form”. Am J Bot. 92: 1177-88. 

参考文献[編集]

  • Beat Leuenberger (1986). Pereskia (Cactaceae). Memoirs of the New York Botanical Garden 
  • 清水秀男 (2003). 熱帯植物 天国と地獄. エスシーシー. ISBN 4886471579 
  • Edward F. Anderson (2001). The Cactus Family. Timber Pre. ISBN 0881924989 
  • Pereskia bleo - Discover Life
  • Beat Ernst Leuenberger (2008). “Pereskia, Maihuenia, and Blossfeldia—Taxonomic History, Updates, and Notes”. Haseltonia 14: 54-93. 
  • Edwards EJ, Nyffeler R, Donoghue MJ. (2005). “Basal cactus phylogeny: implications of Pereskia (Cactaceae) paraphyly for the transition to the cactus life form”. Am J Bot. 92: 1177-88.