利用者:Loasa/執筆記録と下書き/下書き用3
Lonomia obliqua | ||||||||||||||||||||||||
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Lonomia obliquaの幼虫
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Lonomia obliqua Walker, 1855 | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Giant Silkworm Moth |
Lonomia obliqua (英名Giant Silkworm Moth この名はヤママユガ科の他のガに対しても用いられる[1] )は南アメリカに分布するヤママユガ科のガである。本種は、致死性の毒液を注入するブラシ状の刺毛を持つ幼虫の防御メカニズムのため、成虫よりも幼虫の方が有名である。この幼虫は特に南ブラジルで数件の死亡事故に係わっている。この毒はまた、多くの医学研究の課題にもなっている。[2] 本種あるいはLonomia属はブラジルで"taturanas"と呼ばれる。これはトゥピ・グアラニー語の"tata"と"rana"に来歴し、「火のような」を意味する[3]。
特徴
[編集]卵
[編集]L.obliqua の卵は、高さ1.98mm、幅1.45mm、長さ1.61mmの楕円体であり、70個が葉にかためて生み付けられる。最初は上部に小さな穴の暗色の卵門をもつ鮮緑色で、後に半透明になり、胚の発生が観察できるようになる[3]。
幼虫
[編集]幼虫は6回脱皮する。孵化後の幼虫は体長約5mmで明るい茶色に貧弱な毛で覆われた暗茶色の頭部を持つ。この幼虫は体長約4.5〜5.5cm、緑から茶色にかけての体色を持つ。彼らは、異なったサイズの簡単に外れる刺が輪生する毒棘の列を持つ。[3] 幼虫の体長は、終令では53mmに達する。
蛹
[編集]蛹は、初期は黄色いが数時間後には赤褐色になり、羽化までその色のままである[3]。メスの蛹(平均長30.23mm)はオスの蛹(平均長28.73mm)より大きい[3]。
成虫
[編集]成虫は性的二型を著し、開張は平均して、雄では60.47mm、雌では80.22mmに達する[4]。成虫の口吻は退化しており、摂食はせず交尾と産卵のみ行い、寿命は平均6.8日である[4]。
生活史
[編集]卵の期間はおよそ17日間である。雌は70個ほどの塊を食草の葉に産み付ける[3]。幼虫期はおよそ90日で、6回脱皮する[3]。 幼虫は群居性であり、休息時には頭を外側に向けた集団になる[5]。
彼らは多食性と考えられており[5]、飼育実験のために2001年から2004年にかけてブラジルのリオグランデ州北部から採集された幼虫の71%はモミジバスズカケノキ(Platanus ×acerifolia)に寄生していた。また13%がセイヨウナシ(Pyrus communis)から、2%がセイヨウスモモ(Prunus domestica)から見出された。残りの14%は次のような多種の樹木に寄生していた:クロミグワ(Morus nigra)、Lithraea malleoides、サルスベリ(Lagerstroemia indica)、Ficus monckii、Tabebuia umbellata、オレンジ(Citrus sinensis)、レモン(Citrus limon)、セイヨウリンゴ(Malus domestica)、トベラ(Pittosporum tobira)、Sesbania virgataなど[5]。飼育実験ではモミジバスズカケノキでよく成長した[5]。
終齢幼虫はやがて摂食を停止し、体長が縮む[5]。幼虫から蛹に変化するとき、幼虫の皮膚が割け初めてから、脱皮が完了するまで約60分かかる[5]。蛹は気候条件に応じて30日から100日を地中で過ごす。飼育下における蛹の期間は25°で平均30-34日であった[3]。本種は年二世代発生し、第一世代は、10月に成虫が交尾し、食草の葉に産卵したときに発生する。第二世代は夏期の終わり(3月)に発生し、最寒月は休眠状態の蛹で過ごす[5]。
人間とのかかわり
[編集]Lonomism
[編集]Lonomia属のL. obliquaとL.achelousの幼虫は刺毛に毒を持ち、ヒトがこれらの幼虫と接触すると、血液凝固障害や出血症候群などを中心とする一連の症状を引き起こす[6]。このような症状は"Lonomism"として知られている[3][7]。Lonomia属の幼虫による刺傷事故は南米各地、特にベネズエラや南ブラジルを中心に10000件以上発生し、数件の死亡事故も発生している。この毒はまた、多くの医学研究の課題にもなっている。[2]
多くの毛虫、毒を注入する、あるいは容易に分離したり摂取されれば毒となるような毒毛により炎症を起こすことができる[8]。しかしLonomia の幼虫に関する研究より前には、十分な量があればヒトを殺すことができるほどの毒を毛虫が生成できることは知られていなかった。 Lonomia属の幼虫との接触による症例が初めて報告されたのは1912年である[9]。しかし、詳細な研究が始まったのは、ベネズエラで毛虫と接触した患者に発生した出血症候群が5件報告された[10]1967年からである[3][7]。 それ以来、ベネズエラ、フランス領ギアナ、ブラジル、ペルー、パラグアイ、アルゼンチンから1000件以上の症例が報告されている[3]。Lemaireは1972年に、ベネズエラからブラジル北部で発生した事故の原因となった幼虫をLonomia achelousと同定し、一方で、ブラジル南部における事故はLnomia obliquaによるものと同定した[3][10]。1980年代末期に、ブラジル南部のリオグランデ・ド・スル州、サンタカタリーナ州、パラナ州での出血を伴う事故の多発が報告されるまでは、L. obliqua による事故は稀なものと考えられていた[3]。2000年前後になると、同種との接触事故はサンパウロ、リオデジャネイロ、ミナスジェライス州からも報告されている[3] 。 また、同様の事故による患者はペルー、パラグアイ、アルゼンチン、コロンビアからも報告されている[10]。
抗血清がサンパウロのInstituto Butantanで製造されている。それは、L. obliquaの毒によって誘導される凝固障害を実質的に修正する。そして、その抗血清で治療された患者は速やかに回復する。[11]
医学への応用
[編集]L. obliquaの幼虫が持つ毒は、その医学的価値を決定するための多数の研究の対象となってきた。 特に"Lopap"(L. obliqua prothrombin activator protease) と呼ばれる成分は、抗凝血剤および抗アポトーシスとしての性質が示された[12][13]。
近縁種
[編集]- Lonomia achelous: ヒトが接触するとL. obliquaと同様の症状を引き起こす。Lonomia属幼虫との接触を原因とする出血症候群の中で、ベネズエラやブラジル北部から報告されている事例は、本種によるものと考えられる[7]。Lonomia属は南アメリカに26種分布しているが、ヒトに出血作用を引き起こすことが報告されているのはL. obliquaと本種のみである[3]。本種との接触による臨床的な症状はL.obliqua によるものと似ている。しかし両種の毒成分およびその生理的作用はかなり異っている[6]。そのため、L. achelousによる症状に対する治療法は、L. obliquaによる症状には効かず、むしろ悪化させる可能性もある[7]。
脚注
[編集]- ^ Meyer (1996)
- ^ a b Floresa, Zanninb, Tavassi (2010)
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o Chudzinski-Tavassi, and Alvarez-Flores (2013)
- ^ a b Lorini, and Corseuil (2001)
- ^ a b c d e f g Lorini, Zarbin, Tedesco (2007)
- ^ a b Hossler (2010a)
- ^ a b c d Hossler (2010b)
- ^ Heppner 2008
- ^ Chudzinski-Tavassi, and Carrijo-Carvalho (2006)
- ^ a b c Arocha-Piñango, and Guerreroh (2001)
- ^ Pinto et al. (2010)
- ^ 引用エラー: 無効な
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[編集]- A.M. Chudzinski-Tavassi, M.P. Alvarez-Flores (2013), “Chapter 6:South American Lonomia obliqua Caterpillars: Morphological Aspects and Venom Biochemistry”, in Elia Guerritore, Johannes DeSare (PDF), Lepidoptera: Classification, Behavior & Ecology, Nova Science Publishers Inc, pp. 169-186, ISBN 978-1624172489 2015年2月4日閲覧。
- Chudzinski-Tavassi A. M., Carrijo-Carvalho L. C (2006). “Biochemical and biological properties of Lonomia obliqua bristle extract” (PDF). Journal of Venomous Animals and Toxins including Tropical Diseases 12 (2). doi:10.1590/S1678-91992006000200002 .
- Carmen Luisa Arocha-Piñango, Belsy Guerreroh (2001). “Lonomia Genus Caterpillar Envenomation: Clinical and Biological Aspects” (PDF). Haemostasis 31 (3-6): 288-293. doi:10.1159/000048075 .
- M.P. Alvarez Floresa; M. Zanninb; A.M. Chudzinski-Tavassi (2010). “New Insight into the Mechanism of Lonomia obliqua Enveoming: Toxin Involvement and Molecular Approach”. Pathophysiology of haemostasis and thrombosis 37 (1). doi:10.1159/000320067. PMID 20714126 .
- Heppner, John B. (2008). “Butterflies and Moths (Lepidoptera)”. In Carpinera, John L.. Encyclopedia of Entomology (2nd ed.). Dordrecht: Springer. p. 644. ISBN 1402062427
- Eric W. Hossler, MD (2010a). “Caterpillars and moths:Dermatologic manifestations of encounters with Lepidoptera” (PDF). Journal of the American Academy of Dermatology (American Academy of Dermatology, Inc.) 62 (1): 1-10. doi:10.1016/j.jaad.2009.08.060 .
- Eric W. Hossler, MD (2010b). “Caterpillars and moths: Part II. Dermatologic manifestations of encounters with Lepidoptera”. Journal of the American Academy of Dermatology (American Academy of Dermatology, Inc.) 62 (1): 13-28. doi:10.1016/j.jaad.2009.08.061 .
- Lisete M. Lorini, Elio Corseuil (2001). “SYSTEMATICS, MORPHOLOGY AND PHYSIOLOGY: Aspectos Morfologicos de Lonomia obliqua Walker (Lepidoptera: Saturniidae)” (ポルトガル語). Neotropical Entomology (Sociedade Entomologica do Brasil) 30 (3): 373-378. doi:10.1590/S1519-566X2001000300006 2015年2月4日閲覧。.
- Liste M. Lorini; Paulo H.G. Zarbin; Carla Tedesco (2007). “Biology of Laboratory-reared Lonomia obliqua (Lepidoptera: Saturniidae)” (PDF). Florida Entomologist 90 (4): 770–771 2015年2月5日閲覧。.
- W. L. Meyer (1996-05-01), “Chapter 23: Most Toxic Insect Venom”, University of Florida Book of Insect Records, Gainsevuille, Florida: Department of Entomology & Nematology, University of Florida 2015年2月5日閲覧。
- A. Pinto; Berger, M.; Reck Jr., J.; Terra, R.; Guimaraes, J. (2010). “Lonomia obliqua venom: In vivo effects and molecular aspects associated with the hemorrhagic syndrome” (PDF). Toxicon 56 (7): 1103–1112. doi:10.1016/j.toxicon.2010.01.013. PMID 20114060 2016年7月1日閲覧。.
- Matías N. Sánchez, Mariana A. Mignone Chagas, Sergio A. Casertano, Luis E. Cavagnaro, María E. Peichoto (2015). “Accidentes causados por la oruga Lonomia obliqua (Walker, 1855) Un problema emergente” (スペイン語). Medicina (Buenos Aires) 75 (5): 328ー333 .