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利用者:Mkei/作業中の項目/千葉大学先進科学研究教育センター

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先進科学研究教育センター入り口

千葉大学先進科学研究教育センター(ちばだいがくせんしんかがくけんきゅうきょういく-、Center for Frontier Science)千葉大学において飛び入学制度運営等のために設置された附属機関である。略称CFSまたは先進。

先進科学プログラム(せんしんかがく-、Frontier Science Program)は千葉大学に飛び入学した学生が履修するカリキュラムである。略称FSP。

概要[編集]

沿革[編集]

略歴[編集]

学内措置におけるセンター設置までの経緯[編集]

千葉大学は1994年頃から自然科学研究科の教官を中心に飛び入学導入に向けた議論がなされてきた。同年11月には文部省(現文部科学省)への概算要求として、案の概要が示されている(当時の学長は丸山工作)。この案は、1995年8月、与謝野馨文部大臣(当時)が退任記者会見で発表しマスメディアから注目されることになった。この案の段階では、飛び入学の資格を義務教育修了者とし、幅広い分野(文科系を含む)で受け入れるというものであった。同年12月、入学試験運営委員会内に先進科学特別課程(仮称)専門委員会を設置し、カリキュラムの検討と高校生向けサマースクール(後述)の検討を開始した。1996年には、中央教育審議会において、教育上の例外措置(飛び入学)をテーマとする審議がおこなわれ、1997年「希有な才能の持ち主に対して大学入学年齢を17才に緩和すること」「当面対象分野は数学・物理に限ること」とする答申が出された。この答申を受け、千葉大学では答申に沿う形で改訂された先進科学プログラム案を承認した。同年7月、学校教育法施行規則の一部が改正され、8月、工学部教授会において次年度からの学生の募集を決定した。この際、理学部では導入が見送られた。これは当時の日本数学会が飛び入学導入に反対[1]しており、教授会で通らなかったためである。

初年度の出願および入学試験[編集]

1997年10月、先進科学プログラム実施のため、学内措置として先進科学センターが設置され(初代センター長は原田義也)、12月に出願および選抜試験がおこなわれた。当時の出願資格は以下の2つの要件を満たすものであった。

  1. 1998年3月31日において年齢が満17歳の者
  2. 物理学の分野に関し特に優れた資質を有し、物理学及びその関連分野における研究を志す者

出願時には、協議書、自己推薦書、推薦書、調査書を提出する必要があり、学校長の推薦が基本となるが、予備校などの教員から推薦を受け出願した者もいた(現在の出願については後述)。これらの書類によって第1次選考がおこなわれ、出願者11人全員が合格した。12月21日、26日には入学試験がおこなわれた。試験内容は以下の3科目であった。

  • 小論文(試験時間5時間)
    物理・数学に関連する課題から選択して論述。教科書や参考書、辞書、ノートなどは持ち込み参照してもよい。別室での休憩、昼食は自由に取ることができる。ただし、外出はできない。
  • 実験(試験時間3時間)
    物理に関する実験をおこない、レポートをまとめる。希望により試験時間を1時間程度延長できる。
  • 面接(受験者1人につき1時間程度)
    小論文、実験、自己推薦書および物理・数学に関しての口頭試問。

これらの試験形式および内容はこれまでの大学入試の方法とは大きく異なっていたため、マスメディアにも取り上げられた(現在の入学試験の詳細については後述)。この入学試験を経て合格した3人が、日本においては戦後初となる飛び入学をすることになった。

現在の状況[編集]

先進科学プログラム受験者数および合格者数の推移

1999年からは先進科学教育センターが設置され、専任教授が置かれることとなった。また、理学部にも先進科学プログラム課程が導入された。その後2003年まで毎年10~20名程度が受験し3名程度が合格するという状況が続いた。2002年3月、1期生3名が千葉大学を卒業し、全員が同大学大学院に入学した。また、2期生1名が中退し大学院へ飛び入学し20歳で大学院生となった[2]。2004年度からは文学部でも先進科学プログラムが導入され受験者、合格者ともに増加した(「先進科学プログラム受験者数および合格者数の推移」を参照)。2007年2月現在、受験者総数は155名、合格者総数は47名(うち工学部19名、理学部19名、文学部9名)である。

年表[編集]

  • 1997年
    • 10月1日 先進科学センターを学内措置により設置。
    • 12月 入学試験を実施。若干名の募集に対し、11名が出願。
  • 1998年4月1日 先進科学プログラムを開始。工学部に3名入学。
  • 1999年
    • 4月1日 先進科学教育センターを設置。
    • 理学部において受け入れを開始。
  • 2004年 文学部において受け入れを開始。
  • 2005年4月1日 先進科学研究教育センターに名称変更。

教育および研究[編集]

コース[編集]

先進科学プログラムには、物理学コース、フロンティアテクノロジー(FT)コース、および人間探求コースの3コースがある。

  • 物理学コース
物理学コースは、物理学関連分野の研究者を育成することを目的としたコースである。学生は理学部に所属し、物理、数学の授業を受けるほか、先進科学セミナーとして物理学や物理数学等のセミナーを受講する。
  • フロンティアテクノロジー(FT)コース
FTコースは、応用物理学関連分野の研究者を育成することを目的としたコースである。学生は工学部に所属し、本人の希望する学科の授業を中心に受けるほか、あわせて、より基礎的な物理学、数学の授業にも重点が置かれる。なお、入学時はどの学科にも所属せず、第3学年進級時に学科を選択する。これは、希望する専門分野が変わる可能性を考慮したもので、第1学年から専門的な学習をすることを妨げるものではない。
  • 人間探求コース
人間探検コースでは、社会科学、人文科学等のいわゆる文系といわれる学問分野において、しかし、数理的な資質をもった研究者等を育成することを目的とする。学生は、文学部に所属し、社会科学、人文科学の授業を受けるほか、数学や物理学の基礎、数理的・実験的方法論等のセミナーを受講する。

先進科学セミナー[編集]

先進科学プログラムに所属する学生は、各学部の授業のほかに先進科学セミナーが必修科目となっている。少人数によるセミナー形式の授業であり、以下の7つがある。また、学年ごとにまたは学年を超えた有志により自主ゼミが開講されることも多い。

  • オムニバスセミナー
各界の第一人者が講師として、当該分野の研究を紹介する。月1~2回程度開催され、先進科学プログラムの学生のほか、学部学生や大学院生、教員の参加も多い。
  • 物理数学セミナー
  • 物理セミナー
  • 文系セミナー
  • 先端工学セミナー
  • 人間探求セミナー
  • 先進教養セミナー

海外研修[編集]

1年次の夏期休暇中にサンノゼ州立大学コミュニケーション学部に、約1ヶ月の短期語学留学を実施している。ここでは、語学(英語)の習得のほか、最先端の科学技術に触れることも目的としているため、付近にあるスタンフォード大学カリフォルニア大学バークレー校等の見学もおこなわれる。

奨学金制度[編集]

本プログラムの学生に対して、他の千葉大学生にない特別な学費免除制度などはない。しかし、本プログラムの学生のみ、各学年1~3名が新日本奨学会の奨学金を受けることができる。これは、もともと東京大学の成績優秀学生若干名のみを対象に奨学金給与を行ってきた当奨学会が、1999年度から千葉大学先進科学プログラム学生も対象にするようになったことによる。2005年度までは各学年1名のみであったが、2006年度は3名を奨学生として受け入れている。[3]

学生生活[編集]

先進科学学生自習室[編集]

1998年度は自習室は自然科学研究科棟3階に置かれた。1999年度、学生数増加のため理学部1号棟4階に移動。2001年度、理学系総合研究棟(現理学部2号棟)の竣工により、同棟2階に移動した。2006年度までは専任教員である大高一雄教授の研究室と併用であったが、同教授の退官のため2007年度より自習室としてのみの扱いとなる。

自習室は全学年の共有となっている。そのため学年間の連携が強く、学年を超えた自主ゼミ等の開講の基盤となっている。退官した教員や卒業した学生が本を残していくこともあり大量の専門書がある。また、パソコンが設置してあり自由に使用することができる。

自主ゼミ[編集]

出願[編集]

出願資格[編集]

学校教育法第56条第1項または同第2項に定められた者で2つの要件

  1. 受験年度に年齢が満17歳以下の者(高等学校卒業程度認定試験合格者は,満17歳の者)
  2. 物理学又は応用物理学関連分野に関し優れた資質を有し,広くこれらに関連する分野の探求を志す者,若しくは自然科学,数理科学に関し優れた資質を有し,人間科学に関連する分野の探求を志す者

をみたし、高等学校長等の推薦を受けたものと定めている[4]。特に先進科学プログラムで受け入れる分野は

  • 物理学分野(理学部)
  • 応用物理学関連分野(デザイン、都市工学、医工学を含む。工学部)
  • 人間科学関連分野(文学部)

の各分野となっている。

出願書類[編集]

自己推薦書[編集]

調査書[編集]

入学試験[編集]

本プログラムの入学試験は推薦入試の扱いとなるため、時期が早く12月におこなわれる。センター試験や一般入学試験を受ける必要はない。一部の課題は今までの大学入試と大きく異なるため、たびたびマスメディアにおいても取り上げられた。大きな特徴は

  • 参考書、ノートなどを持ち込むことができる(辞典・辞書類、教科書類、関数電卓等は試験室に用意してある場合がある)。ただし、パソコンは使えない。
  • 試験時間が長い。
  • 合格点で合否を決めていない[5]

である。この特徴からわかるように、入学試験で問われるのは単純な知識や計算能力だけではなく、発想力や論理的に物事を考える力、考えたことを表現する力である。

初期の入学試験では、学部によらずすべて共通問題であった。2004年度からは物理学コース・FTコースと人間探求コースで選択問題が異なる。

課題論述[編集]

大きく分けて3つの課題が用意されている。数学はおもに基礎的な数学力を問う問題、課題Iはおもに想像力、発想力を問う問題、課題IIはおもに論理的思考力を問う問題である。試験時間は8時間程度。途中、自由に休憩や昼食をとってよい。2004年度入学試験までは小論文として実施された。

数学[編集]

数学は必答問題である。高校2年次までの内容で解ける問題が出題され、数学に関する基礎的な知識、計算力等を問う。教科書、参考書等の持込はできない。試験時間は1時間である。

初期は非公式な試験科目として、面接後に出題されていた。これは入学後、数学のフォローアップがどの程度必要かを確かめるためであり、合否への影響はなかったものと思われる。2003年度入学試験からは正式な試験科目として導入された。

課題I[編集]

課題Iは必答問題である。身近な自然現象や最先端の科学技術などについて議論する。試験時間は、課題IIとあわせて7時間程度である。

1998年度および1999年度には大きくマスメディアに取り上げられた。研究者の間でも解決されていない問題や、実現されていない科学技術等、通常の大学入試では出題されることのない課題が出題されたからである。例えば、1998年度入試(1997年12月21日実施)においては以下のような課題が出題された。

今年の夏、米国の火星探査機マーズパスファインダーが火星表面に軟着陸し、かつて火星表面に多量の水が存在していたという情報をもたらしました。この情報が正しいとして、火星の表面から多量の水が失われた原因や理由について、いろいろな側面から自由に考え、それらの根拠や妥当性を示しながら筋道を立てて記述してください。[6]

このような課題に関しては、前年度までの傾向から予想問題を考えることも難しく、受験対策させないことも目的となっている[要出典]。過去のテーマは以下の表のとおりである。なお、IA、IBのように複数ある場合も全問必答である。

年度 テーマ
1998 火星にあった多量の水がなくなった理由を議論する。
1999 温度とは何かを説明する(IA)。

ドラえもんの道具で指定された4つからひとつを選び実現可能性を議論する(IB)。

2000 潮の満ち引きの原理を調べるための実験を提案する(IA)[7]

硫酸銅水溶液は、方法によって銅の析出の仕方に違いがでることについて議論する(IB)[8]

2001
2002
2003 立方体に見える打ち上げ花火はどのように実現できるかを議論する。
2004 殻のある物体の中身に関する情報を、割ることなくなるべく多く得る方法を議論する。
2005 おもちゃ「水飲み鳥」の原理を考察し、一見不思議に見えるおもちゃを考案する。
2006 音速をできるだけ正確に測定する方法を議論する。
2007 ペットボトル振動子の原理を考察したあと、自然界の振動の例を考え原理を考察する。

課題II[編集]

課題IIは選択問題である。物理学コース、FTコースは課題IIA、課題IIBが必答であり、人間探求コースは課題IIA~課題IIDの4問から2問を選択する。A、Bは物理現象に関して、数理論理的に分析する力が問われる。C、Dは社会調査のデータやグラフを読み取り、または論理的な文章を読解した上で、自分の考えを論理的に構築する力等が問われる。特にC、Dの課題では社会問題、時事問題が取り上げられることがある。

人間探求コースができる前は物理学に関する問題のみであった。選択問題であった年度と必答問題であった年度がある。

面接[編集]

個人面接により、課題論述や自己推薦書、志望動機などについて質問される。時間は各受験者1時間程度である。約20人の面接官が逐次受験者に質問する。必要に応じてホワイトボードを使って説明することを要求されることもあり、口頭による説明能力を求められる。

実験[編集]

2001年度入学試験までは、必答の課題として実験があった。しかし、担当教官への負担が非常に大きいこと、評価が難しいことなどの理由により、2002年度入学試験からは廃止された。

年度 テーマ
1998 金属球を転がし速さを測ることで重力加速度を測定する。
1999 ソレノイドを作成し、地磁気の磁場を測定する。
2000 β崩壊 と表せないことを証明する。
2001

数理科学コンクール[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 日本数学会 会報84
  2. ^ 毎日新聞 「新時代の飛翔人」 2002年1月1日
  3. ^ 新日本奨学会 「奨学生の状況
  4. ^ 2007年度先進科学プログラム学生募集要項
  5. ^ 大高一雄飛び入学への受験の勧め(1教官から君への手紙)」 2001年10月16日
  6. ^ 平成10年度千葉大学先進科学プログラム入学者選考課題
  7. ^ 潮の満ち引きの原理について、必ずしも正確な知識を要するものではない。
  8. ^ 硫酸銅水溶液に亜鉛を入れた場合は樹枝状の銅の結晶が析出するのに対し、硫酸銅水溶液を電気分解させた場合は平滑面で銅が析出する。なぜこのような違いが出るのか議論する。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]