利用者:Omotecho/カナダ水路部
カナダ水路部 | |
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英: Canadian Hydrographic Service - CHS 仏: Service hydrographique du Canada - SHC | |
組織の概要 | |
設立年月日 | 1883 |
本部所在地 | カナダ、オンタリオ州オタワ |
監督大臣 | |
行政官 |
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上位組織 | カナダ政府水産海洋省化学部門 |
ウェブサイト | http://www.charts.gc.ca |
カナダ水路部(頭字語 CHS Canadian Hydrographic Service)はカナダの民間の水路測量機関で、政府機関同等の権威 を備える。カナダ連邦政府の水産海洋省配下の一部門として国を代表し、国際水路機関(IHO)に加盟する。現在の組織名「カナダ水路部」は1928年に定めた。
管理主体と任務
[編集]行政上はカナダ水産海洋省の海洋・生態系科学部門に属する。『海洋法』と『カナダ海運法』に照らし、カナダ水路総督のもと水深や水路および航海に関するデータと情報を収集、管理、変換し、印刷版と電子版の海図を配布する責を負う。また出版物および地図上に青色で示す地理空間すなわち「水路」に関してデータを提供し、次に述べる関連のサービスとその更新を所管する。水路誌と水路空間の動的データに関連する製品とサービスの目的は、カナダ領海を中心に周辺海域における安全で効率的な航行(ナビゲーション)その他を実現するためである。
所管するサービスの例として、海事警報または海図通知を発令する。その他のデータ出版およびサービスとして、ほぼリアルタイムの潮位潮汐表(Tide&Current Tables)の発表、水位観測値はほぼリアルタイム、即時および予測値を管轄する。
CHSは、政府機関として、カナダ天然資源省(NRCan)の測地測量部門、地球観測部門(CCMEO)とも緊密に連携する。政府による海洋・水空間データ基盤(MSDI)の実装を主導し調整する責任を負い、カナダの地理空間データ基盤(CGDI)において主要な海洋および淡水要素を管轄する。前者MSDIは「国連グローバル地理空間情報管理」(UN-GGIM[注釈 1])の指示とフレームワークに従い、グローバルに互換性があり相互運用が可能である。安全で高効率な航行にとって標準となり、水路と水空間の動的製品などを即時およびほぼ即時に提供し、将来のニーズを見通して要件選定を導き、また海事自律水上艦(MASS)など新技術を提供している。
沿革
[編集]カナダ政府の連合化(Canadian_Confederation)が成立するまで、北アメリカのイギリス領(British_North_America)の水路測量と海図作成はイギリス海軍の責任で実施した[1]。
1882年に蒸気船アジア号(SS Asia)が遭難して死者150人を出し、当時のカナダ最悪の海難事故となった。この時、事故現場はジョージア湾の未知の浅瀬であったことから、翌1883年8月13日、自治領政府はジョージア湾測量所を設立、法改正を経て権限を与えジョージア湾からヒューロン湖まで、航行可能な海域を専門に調査および図表作成を実施させた。
水路の測量と海図の管轄領域はカナダ太平洋岸に(1891年)、さらに沿海州まで拡大した(1905年)。その間の1893年にはカナダ全国の潮汐と潮位の計測を開始、五大湖の水位測定は1912年に始まった[1]。
枢密院の指令を受けて1904年にジョージア湾調査所をカナダ水路測量所に改称し、複数の職責も変更された。1913年には、カナダで最も著名な水路測量船アーケイディア号(CSS Acadia)を大西洋岸測量に投入する認可がおりる。
第二次世界大戦を経た1949年3月31日に旧領のニューファンドランドがカナダ連合に加盟すると、当機関はイギリス海軍から測量業務を引き継ぎ、同島からラブラドール海岸周辺の海図作成へと責任範囲が拡張した[1]。
測量技術
[編集]当機関は水路測量の新しい技術の採用と研究開発の世界的リーダーとして、担当する領海は世界で2番目に広く、海岸線は世界最長(243,792 km)、総面積655万平方キロメートルの大陸棚にはセントローレンス水路など広大な内陸水路を含む。図表を作成し公開した水路図1千点超を保管するため、ごく早い段階からシングルビームソナーや電波航法測位システムを採用し、コンピュータ処理とデータ保存の技術を高めてきた。
カナダとアメリカが遠距離早期警戒線(DEW線)を合同で管理するには、カナダ北極諸島の遠隔な北部地域全域を対象に、測量技術の革新が求められた。年間10ヵ月から12ヵ月は凍結する海域で測量を実施する当機関は、北極圏の測量を常に実施できる世界で唯一の水路部の1つである。こうして民間の運輸業と建設資材運搬をも支えている。
水産海洋省
[編集]世界の国々と異なり、当部署は民間の科学組織であって、連邦政府の水産海洋省(DFO)[1]の科学部と直接、連携し、海軍の傘下にはない。名目上、測量船のほとんどはDFO傘下のカナダ沿岸警備隊から乗組員および船体、運航計画の提供を受け、またカナダ海軍や他国の国際水路部としては主に米国海洋大気庁(NOAA)国立海洋局(NOS)のアメリカ沿岸測量部(OCS)と、またその他の学術系および商用提携先と協力して活動し、用船を融通したり測地機会の共有を進める。
現職のCHS長官の別名「カナダの水路測量技師『総督』」には、旧役職名「自治領水路測量師」に込められた重み、すなわちカナダで水路測量が始まって以来の重責が反映している。
支庁
[編集]- CHSダートマス支庁:ノバスコシア州ダートマス。ベドフォード海洋学研究所(BIO=Bedford Institute of Oceanography)、 - ヨーク・フリーゼン所長(セントジョンズNL出張所兼務)
- CHSシドニー支庁:ブリティッシュコロンビア州シドニー
- 海洋科学研究所(IOS=Institute of Ocean Sciences) - デイブ・プリンス所長
- セントジョンズ出張所:ニューファンドランド州セントジョンズおよびラブラドール。北西大西洋水産センター(NAFC=Northwest Atlantic Fisheries Centre) - ヨーク・フリーゼン所長。
- ジェイソン・バートレット部長。
- モージョリ支庁:ケベック州モージョリ。モーリス・ラモンターニュ研究所(MLI=Maurice Lamontagne Institute ) - アニー・バイロン所長代理(所長はクロード・M・トレンブレー)
- バーリントン支庁:オンタリオ州バーリントン。カナダ内陸水センター(CCIW=Canada Centre for Inland Waters) - クリス・マーシャル
- オンタリオ州オタワ支庁:CHS測地総督兼務、ジュヌヴィエーブ・ベシャール所長(博士)
- 水路測量および海洋空間水文データ基盤(MSDI)担当クリス・ヘミングウェイ管理部長
- 水路空間情報サービス・支援担当ルイ・マルタス部長
- アルバータ支庁:カナダ内陸水域センター(ベイフィールド研究所に委嘱)
- ニューブランズウィック支庁(ベドフォード海洋学研究所に委嘱)
出版物
[編集]発行年の順。
- Canadian Hydrographic Service.『St. Lawrence and Saguenay Rivers tide and current tables』1900年、OCLC 643757283。セントローレンス川とサグネ川の潮汐潮位表
- 『108: Lake Superior Michipicoten Island to Oiseau Bay』1934年、OCLC 1121278654 , Canadian Hydrographic Service。スペリオル湖、ミチピコーテン島からオワゾ湾の範囲
- Canadian Hydrographic Service ; United States Coast Guard『ECDIS: a view from the bridge : Electronic Chart Display Information System』発行年不明、Canadian Hydrographic Service、OCLC 61423313。電子海図情報表示装置(ECDIS)の解説。アメリカ沿岸警備隊と共著。
- Canadian Hydrographic Service. Marine Sciences Branch. Dept. of Energy, Mines and Resources.『Pilot of Arctic Canada』第2版、Canadian Hydrographic Service、1968年、NCID:BA48481488。北極カナダの水先案内
- Canadian Hydrographic Service. Dept. of Fisheries and the Environment.『Sailing directions, Great Slave Lake and Mackenzie River』第4版、Canadian Hydrographic Service, Dept. of Fisheries and the Environment、1977年、NCID:BA48480612。水路誌。グレートスレーブ湖とマッケンジー川(ノースウエスト準州)
- Canadian Hydrographic Service.『Sailing directions, Labrador and Hudson Bay : East Coast Labrador, Hudson Strait, Hudson Bay, and James Bay, including Chesterfield Inlet』第4版、Dept. of Fisheries and Environment、1979年、ISBN 0660102927、NCID:BA4437417X。(郵便にて通信販売、カナダ政府刊行物センター Canadian Govt. Pub. Centre, Supply and Services Canada)。水路誌。ラブラドルとハドソン湾:ラブラドル東海岸、ハドソン海峡、ハドソン湾、ジェームズ湾(チェスターフィールド湾を含む)
- Fillmore, Stanley ; Sandilands, R. W.『The chartmakers : the history of nautical surveying in Canada』NC Press、Canadian Hydrographic Service, Dept. of Fisheries and Oceans(協力)、1983年、ISBN 0919601928、NCID:BA56165814。カナダの海洋測量の歴史。
- Williams, H. ; Pratt, J. A. Y. ; Geological Survey of Canada.『Geology, Stephenville map area, north half, Newfoundland』Geological Survey of Canada、1985年。Geological Survey of Canada(地図作成、1579年A)、NCID:BA82494915。スティーブンビル地図領域の地質学、ニューファンドランド半島北半分。
- Intergovernmental Oceanographic Commission(IOC/UNESCO=政府間海洋学委員会) ; Akademii︠a︡ nauk SSSR ; ソビエト連邦政府.『Ministerstvo geologii International geological-geophysical atlas of the Atlantic Ocean : Mezhdunarodnyĭ geologo-geofizcheskiĭ atlas Atlanticheskogo Okeana』、ソビエト連邦大臣評議会(測地作図主管)、1989年、ISBN 5851200014、NCID:BA87976560。仮題:『大西洋国際地質学-地球物理学地図』
- Canada. Dept. of Fisheries and Oceans ; Canadian Hydrographic Service.『Small craft guide : British Columbia, Boundary Bay to Cortes Island』8版、Dept. of Fisheries and Oceans、カナダ政府刊行物センター(頒布)、1990年、ISBN 066013618X、NCID:BA59424114。小規模船舶向けの水路図。ブリティッシュコロンビア州バウンダリー湾からコルテス島の範囲。
- Leier, Manfred ; Canadian hydrographic Service.『World atlas of the oceans』Key Porter Books、2000年、ISBN 1552633292、NCID:BB1657230X。世界大洋図。
- Leier, Manfred.『World atlas of the oceans : with the General Bathymetric Chart of the Oceans (GEBCO) published by the Canadian hydrographic service』Firefly Books、2001年、ISBN 9781552095850、NCID:BB12613551。世界の海図、付録としてカナダ水路部発行の大洋水深総図(GEBCO)。
- Minister of Fisheries and Oceans Canada.『Arctic archipelago』The Canadian Hydrographic Service、2004年、NCID:BA6795906X。北極の島々
- 『Canadian tide and current tables = Tables des marees et courants du Canada』オタワ:第1巻より続刊(1967年-)、NCID:AA00598295。カナダ潮汐潮位表。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ UN-CEGGIM(国連グローバル地理空間情報管理)とは、United Nations Committee of Experts on Global Geospatial Information Management の頭字語。
出典
[編集]- ^ a b c d “The Canadian Hydrographic Service”. Ontario Professional Surveyor (Association of Ontario Land Surveyors) 32 (4): 22–23. (1989) 6 October 2015閲覧。. 引用エラー: 無効な
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関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- CHS –公式ウェブサイト
- 水路学
- カナダ水路部について
- CHSの沿革
- CHSの海図ビューア ソフトウェア
[[Category:カナダの連邦省庁]]