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利用者:Omotecho/sandbox/Statin-associated autoimmune myopathy

スタチン関与横紋筋融解症
SAAM
別称 [注 1]
概要
診療科 膠原病内科
症状 筋力の低下
治療 コルチコステロイド投与、免疫補助療法、病因と見られるスタチン摂取の中止
頻度
分類および外部参照情報

スタチン関与横紋筋融解症 (−かんよ おうもんきん ゆうかいしょう : SAAM= Statin-associated Autoimmune Myopathy スタチン関与自己免疫性ミオパチー) は非常にまれな筋肉損傷 (ミオパチー) の形態で、コレステロール阻害剤のスタチン薬を服用する人々の免疫系に起因する[1]

正確な原因は不明。全身の身体所見を突き合わせ、筋障害を起こした人の抗HMG-CoAレダクターゼ抗体筋肉破壊の証拠および筋肉生検診断の組み合わせによりSAAMかどうか診断する[2]

治療には関与が疑われるスタチン薬の投与中止と免疫抑制剤の処方を含む。

SAAMの発生率はスタチン投与を受けた10万人中2〜3人と推定される。50歳以上の割合が高い傾向が見られる[2]

徴候と症状

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SAAMの徴候は体の両側の近位筋肉(上腕太もも)に重度の脱力が見られ、症状を引き起こすと疑われるスタチンの摂取中止後も、骨格筋の破壊を示す酵素クレアチンキナーゼ (CK)血中濃度が非常に高い[1][2]。通常、他の形態のスタチン関連筋肉損傷(ミオパチー)は関与するスタチン摂取の停止後に解決する。軽度の関節痛および発疹を認める場合がある。SAAMの影響を受けた人々ではスタチンの投与期間の中央値は、筋肉症状の発症前の38ヶ月である。SAAMはそれまでスタチン使用により筋肉に副作用がなかった人でも、長期使用後に影響を受ける可能性がある [3]

病因

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スタチンが自己免疫性ミオパチー (横紋筋融解症) を導く機序は正確には解明されていない[1]。この障害は HLA-DR11 およびDRB1 * 11:01 対立遺伝子と明確に関連づけられる。対象グループにおける DRB1 対立遺伝子の有病率と自己免疫発生率の低さを考えると、他の未確認の遺伝因子および環境危険因子の可能性がある[2]。スタチンはHMG-CoAレダクターゼ活性を阻害し、血中コレステロール値を低下させる。ただし、これによりHMG-CoAレダクターゼタンパク質の産生も増加させる。SAAMは仮説的にHMG-CoAレダクターゼの産生を増加させることにより、遺伝的に影響を受けやすい個人がこのタンパク質の処理不全を起こす引き金となり得る。理論的には処理不全により生成された抗体が、HMG-CoAレダクターゼタンパク質を標的とするためSAAMを発症すると言える。別の見方ではスタチンと結合したHMG-CoA還元酵素タンパク質の構成が変化して特定の抗原を露出し、免疫系がそれに反応して抗体の産生を止められないという仮説が立てられる。

診断

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スタチン曝露後の壊死性ミオパチーの発症をもってSAAMの診断を下すのは充分ではない。まず筋炎および壊死性ミオパチーの他の原因を除外する必要がある[4]。SAAMと一致する筋生検では筋線維再生を伴う筋肉細胞死を示し、通常は炎症細胞がほとんど認められない[4][5]。免疫組織化学検査によりSAAMの追加の病理学的特徴が示される場合があり、その所見には非壊死性筋線維における内皮細胞膜攻撃複合体の存在およびMHCクラスI発現が併存する。

HMG-CoAレダクターゼの抗体は罹患者の94%に発生する[6]が、スタチン薬を服用していない人でも発生することが知られている[2]。反対に、これらの抗体はスタチン薬服用者でミオパチーを発症しない人には存在しない。したがってスタチンの服用者であり、なおかつミオパシーの発症が見られる場合に抗HMG CoAレダクターゼ抗体が存在するという診断が強く支持される。90%超の事例でCKレベルは通常(2000-20,000 IU / L)の10-100倍に増加する[5]筋電値(EMG)は一般的な知見の筋原性パターンを示す。MRI画像解析により筋肉の腫れを診断する 。

治療法

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SAAMの治療には問題のあるスタチン薬の投与中止と免疫抑制薬を処方する [7]。スタチンを止めるだけで自然治癒に向かう場合は稀である[2]が、ほとんどの場合、免疫抑制薬の使用が欠かせない[5]

第一選択治療にはコルチコステロイドを処方し、通常はプレドニゾンの体重1kgに対する推奨量1mgを毎日投与する[2]。軽度の筋力低下の場合、コルチコステロイド療法単独で合理的な場合がある。より重症の場合はメトトレキサートアザチオプリンまたはミコフェノール酸とコルチコステロイドを併用する。重篤なSAAMの症例で8〜12週間の併用療法に反応しない場合、追加療法としてリツキシマブまたは免疫グロブリンの静脈内投与が推奨され、第一選択療法として後者の免疫グロブリンは特定の個人に適している。静脈内免疫グロブリンを第一に選ぶ候補者には、真性糖尿病患者またはコルチコステロイド療法を避けるべき人が含まれる。

予後

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適切な処置により多くの場合、SAAMは完治する[2]クレアチンキナーゼ(CK)の数値が持続的に上昇していても快復する場合がある反面、SAAMの一部の罹患者は CK レベルの正常化にもかかわらず、筋力を完全には回復しない。筋力の回復をもって免疫抑制薬の投与は徐々に減らす。減薬中の再発は依然として可能性があり、一部の人々は長期の免疫抑制を要する。長期間にわたり適切な治療を受けない罹患者には、筋肉損傷が永久に継続する可能性が高い。筋力低下は一部の筋肉の脂肪への置換により引き起こされる。

参考文献

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  • Mammen, AL (February 2016). “Statin-Associated Autoimmune Myopathy” (英語). New England Journal of Medicine 374 (7): 664-669. doi:10.1056/NEJMra1515161. PMID 26886523. 
  • Christopher-Stine, L; Basharat, P (April 2017). “Statin-associated immune-mediated myopathy: biology and clinical implications.” (英語). Current Opinion in Lipidology 28 (2): 186-192. doi:10.1097/MOL.0000000000000399. PMID 28207435. 
  • “Statin-induced necrotizing myositis - a discrete autoimmune entity within the "statin-induced myopathy spectrum".” (英語). Autoimmunity Reviews 12 (12): 1177–1171. (October 2013). doi:10.1016/j.autrev.2013.07.001. PMC 4589155. PMID 23851103. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4589155/. 
  • Selva-O'Callaghan, A; Alvarado-Cardenas, M; Pinal-Fernández, I; Trallero-Araguás, E; Milisenda, JC; Martínez, MA; Marín, A; Labrador-Horrillo, M et al. (March 2018). “Statin-induced myalgia and myositis: an update on pathogenesis and clinical recommendations.” (英語). Expert Review of Clinical Immunology 14 (3): 215-224. doi:10.1080/1744666X.2018.1440206. PMC 6019601. PMID 29473763. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6019601/.  name="Selva2018"
  • Thompson, PD; Panza, G; Zaleski, A; Taylor, B (May 2016). “Statin-Associated Side Effects” (英語). Journal of the American College of Cardiology 67 (20): 2395–2410. doi:10.1016/j.jacc.2016.02.071. PMID 27199064. 

関連資料

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  • 【新連載】18.脂質異常症治療薬の副作用について」、副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)」2016年11月16日
  • 【神経・筋骨格系】横紋筋融解症:全文患者の皆様へ・医療関係者の皆様へ・引用文献及び参考資料等(pdf形式、2006年11月)- 鑑別基準ほか[8]
  • Hansen KE, Hildebrand JP, Ferguson EE, Stein JH. Outcomes in 45 patients with statin-associated myopathy. Arch Intern Med. 165(22):2671-6 (2005).
  • Ballantyne CM, Corsini A, Davidson MH, Holdaas H, Jacobson TA, Leitersdorf E, Marz W, Reckless JP, Stein EA. Risk for myopathy with statin therapy in high-risk patients. Arch Intern Med. 163(5):553-64 (2003).
  • Sipe BE, Jones RJ, Bokhart GH. Rhabdomyolysis causing AV blockade due to possible atorvastatin, esomeprazole, and clarithromycin interaction. Ann Pharmacother. 37(6):808-11 (2003).

脚注

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[編集]
  1. ^ 症状名の英語の別名に次のものがある。
    • Anti-HmG Coenzyme A Reductase Myopathy
    • Immune-mediated necrotizing myopathy associated with statins
    • Statin-associated immune-mediated myopathy, Statin-induced autoimmune myositis
    • Statin-induced necrotizing autoimmune myopathy。

出典

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  1. ^ a b c Thompson他 2016, pp. 2395–2410.
  2. ^ a b c d e f g h Mammen他 2016, pp. 664–669.
  3. ^ Christopher-Stine他 2017, pp. 186–192.
  4. ^ a b Hamann 2013, pp. 1177–1181.
  5. ^ a b c Selva-O'Callaghan他 2018, pp. 215–224.
  6. ^ Thompson 2016, pp. 2395–2410.
  7. ^ Hamann 2013, pp. 1177–1171.
  8. ^ 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル”. 厚生労働省 (2006年11月). 2020年2月4日閲覧。

関連項目

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[[Category:スタチン]] [[Category:リウマチ学]]