利用者:Quark Logo/sandbox1おつやの方・下書
おつやの方（おつやのかた、生年不詳 - 天正3年11月21日（1575年12月23日））は、戦国時代から安土桃山時代にかけての女性。織田信定の娘で、信秀の妹、信長の叔母にあたる。岩村城主遠山景任(修理亮または内匠助)の正室であったことから、通称は岩村殿や修理夫人、岩村御前などの呼び方がある[1]が、「おつや[2]」という名は物語に登場するもので、史料では確認できず実際の名は不明である[3]。
生涯[編集]
織田弾正忠家の信定の娘。前半生など詳細は不明。東美濃恵那郡の地頭遠山氏（岩村遠山氏）の景任に嫁いだ。
元亀元年（1570年）、武田信玄は東美濃の攻略を秋山虎繁（俗に信友とも）を命じたが、景任の防衛にあって撃退された。
元亀3年（1572年）5月、景任は子供が無いまま病死したため、後家となったおつやの方[4]は信長の五男坊丸（後の織田勝長）を猶子（養嗣子）として、坊丸はまだ幼かったので、おつやの方が当主の座を引き継ぎ岩村城の女城主となった。また信長は軍勢を岩村城に送り込んだ。
。信玄はそれまで各地に上洛する旨を喧伝していたが、実際の行動は山県昌景と秋山虎繁（俗に信友とも）の別働隊3,000を三河に向かわせ、自身も遠江に出陣するという、徳川家康の領土を奪取することを主目的とした作戦であったが、
おつやの方は信玄の動きに呼応し、武田軍に寝返ってしまう。
同年11月14日、
武田方に属することになった岩村城には、信玄は娘婿である下条信氏を東美濃に派遣されて在番した[7]。
このおつやの方の行為に他の東美濃諸豪族は反発し、おつやの方と上村合戦と呼ばれる合戦が起こったとみられる。
11月14日に信玄は遠山氏に岐阜の信長を牽制せよと命じており、また12月12日には遠藤加賀守に岩村城へ兵を増援すると伝えている。一方信長も11月15日に延友佐渡守へ遠山氏が裏切ったにも関わらず忠節を尽くしたことを賞し日吉郷・釜戸本郷を与えている。
信玄はこのおつやの方の裏切りによって作戦を変更し、三河から東美濃へ入って信長を攻めることにした。（『三河物語』）その途中12月22日、三方ヶ原の戦いが起こり、信玄は家康を破る。
元亀4（1573年）3月6日、信玄は美濃に秋山虎繁を送り、岩村城城主とした。
この時におつやの方と秋山との婚姻が行われたとみられる。坊丸もまた甲斐に送られた。しかし同年4月12日に信玄は病死し、武田軍は撤退する。
織田軍は天正3年（1575年）の長篠の戦いで武田軍を敗ると、織田信忠らが岩村城を包囲。武田勝頼は岩村城を救援するべく出陣したが、勝頼が着くより前の11月21日、岩村城は落とされた（天正3年の岩村城の戦い）。信長は虎繁らを赦免すると見せかけ、礼に来たところを捕らえ、長良川近くで磔刑にした。その理由は、長篠城の奥平信昌が徳川家康に寝返った際、武田勝頼が奥平の妻を磔にしたので、その報復だということだった（『甲陽軍鑑』）。
おつやの方もまた信長に捕らえられて逆さ磔で処刑された。あるいは信長が裏切られた鬱憤を晴らすために自ら斬ったとも言われる（『当代記』）。
余談[編集]
岐阜県恵那市岩村町では、おつやの方にちなみ、1992年から本通り沿いの家々で家族の女性の名前を記した暖簾を掛けたり、地元の醸造会社岩村醸造が「女城主」と名付けた日本酒を売り出したりして、地域おこしに活用している[8]。また、愛知淑徳大学現代社会学部の石丸緑常勤講師のゼミと同地区住民らでつくる「城下町ホットいわむら」が共同制作する創作ドラマ「みつけもの」を撮影した[9]。
おつやの方が登場する作品[編集]
脚注[編集]
- ^ a b 川口素生『戦国軍師人名事典』, P72
- ^ さらに「おつや」は草書体の難読により「おなお[1]」「おゆう」などの誤植または派生も見られる。
- ^ 西ヶ谷 2000, pp.234-235
- ^ 俗称であるが、名前は不明のため、便宜上、以下これに統一する。
- ^ 草書体で難読であるが、松平記の該当部分は、塙保己一の『増訂故実叢書- 武家名目抄, 公事, 文書, 歳時部』に活字化された文章があり。
- ^ 坪井九馬三, 日下寛 (校訂) 1897, pp.9-10[5]
- ^ 国書刊行会 編「国立国会図書館デジタルコレクション 当代記」『史籍雑纂. 第二』国書刊行会〈国書刊行会刊行書〉、1912年、16頁。
- ^ 朝日新聞「岩村城 結婚受け入れた女城主」
- ^ 毎日新聞（2010年8月14日付）「女城主：ブランド化へ ドラマ「みつけもの」クランクイン－－恵那の岩村／岐阜」
参考文献[編集]
- 西ヶ谷恭弘『考証織田信長事典』東京堂出版、2000年、234-236頁。ISBN 4490105509。
- 『戦国軍師人名事典』学習研究社、2009年
- 国民文庫刊行会 編「国立国会図書館デジタルコレクション 三河物語」『雑史集』国民文庫刊行会、1912年。
- 柴田顯正 編「国立国会図書館デジタルコレクション 第壹節 家康諏訪原二股城等を降す 岩村城陷る」『岡崎市史. 別巻中巻』岡崎市、1934年。
- 坪井九馬三, 日下寛 (校訂) 編『国立国会図書館デジタルコレクション 文科大学史誌叢書. 松平記 下』吉川半七等、1897年。
- 甲斐志料刊行会 編「国立国会図書館デジタルコレクション 甲陽軍鑑卷十九 品五三」『甲陽軍鑑（本編20巻）』 9巻、甲斐志料刊行会〈甲斐志料集成〉、1935年。
外部リンク[編集]
- 林辰浩 (2009年8月18日). “東海の古戦場をゆく-岩村城 結婚受け入れた女城主”. 朝日新聞 2015年9月22日閲覧。