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東京大学生協食堂絵画廃棄問題(とうきょうだいがくせいきょうしょくどうかいがはいきもんだい)とは、1977年以来長らく東京大学中央食堂で掲示されていた宇佐美圭司の絵画《きずな》が、同食堂の工事に伴って廃棄されていたことが判明した問題である。2018年に本件が明るみに出たことにより、美術資源の管理の問題に急速に注目が集まった。
骨組み
[編集]作品について→壁画の設置→廃棄(詳細不明)→廃棄の発覚→反響
所有者の話どうしよ
《きずな》
[編集]宇佐美への打診
[編集]1976年、東京大学生協は創立30周年を迎え、生協役職員の経験者らによる記念事業委員会が結成された。記念事業のために元生協従業員等から募った募金の使途として[1]、新しくなった中央食堂の壁に「学生の刺激になる絵を掛け」ることを決定し、当時美術史科の助教授を務めていた高階秀爾に相談を持ちかけた[2]。高階は宇佐美を紹介し、
生協の歴史の資料欲しいよね
《きずな》
[編集]- ワッツ暴動(読売)
- 宇佐美さんは1963年に初の個展を南画廊で開きました。現代美術を牽引した画廊で無名の新人が個展をできたのは、稀有な才能があったか らこそです。その後、1965年のワッツ暴動の写真をもとに、人型を使う作品の制作を始めます。かがむ、たじろぐ、走る、投げる、と4つの動作を表しますが、いずれも頭はなく、人の形自体への関心が窺えます。レーザーで人型を表す先駆的な作品も手がけました。複数の鏡でレーザー光を反射させ、鑑賞者が間に入ることで光の錯綜が消えて人型の関係が変わります。絵画と違い、レーザー作品では作者の制御が限定的です。完結した構造から作品がいかに抜け出るかを考えたのではないでしょうか。
1971年に行った個展では、分節化された人型の部分が構造(ゴースト)を求めて彷徨うという「ゴースト・プラン」シリーズを発表します。《きずな》もこのシリーズの一つ。この作品では、先述の4動作の人型がいくつも描かれ、各々が形の共通項に応じて色つきの線で結ばれます。共通項は完全に、それ以外は不完全に描かれています。共通性を持つものが完全であり、単独のものは不完全である。そうした関係性から《きずな》の題名がついたと考えられます。シリーズの他作品よりも簡略化されており、学生が考えやすいようにという教育的な意図が見て取れます。宇佐美さんは、学生たちが食事をしながら関係性を築く場に作品があることを想定して制作したのではないでしょうか。(シンポ抄録) 学生や教職員が集まる大食堂という「関係」の場と、「関係」や「連帯」という自分の考えがつながったのではないでしょうか
《きずな》の受容
[編集]《きずな》の廃棄
[編集]中央食堂は次第に老朽化が進展していき、2009年にはすでに、「本郷キャンパスの生協の諸施設が、駒場に比べて見劣りがすることは否めない事実」「老朽化した施設の改善・改良が急務」[3]との見解が生協正副理事長の間で持たれていた。
のちに開かれたシンポジウムで、木下直之は当時のことを回顧して、次のように語っている。
「 | 私はキャンパス計画室の一員でした。中央食堂の改修もそこで協議したはずですが、絵画の問題は出てきませんでした。建物の外部は計画室が確認しますが、内部は管轄外です。外から見える形に重心が置かれがちで内部に対する認識が弱いことは、この事件の一因かと思います。
私は1998年に「博士の肖像」展を開催しました。学内の随所にある肖像画や肖像彫刻は、誰かの身代わりであるがゆえに忘れられ、移動します。その現実を知り、立ち位置を調べました。肖像が様々な扱いを受ける理由は、所有権が曖昧であることです。大学側が管理は行いますが、基本的には有志が置いていったもの、という意味合いが強いのです[4]。 |
」 |
2017年8月から中央食堂の全面改修工事および厨房機器一式の取替が行われた[5]。
翌2018年3月末、リニューアルされた食堂がオープンした[5]。
廃棄の発覚
[編集]2018年3月15日、東大生協のwebページ上の「ひとことカード」コーナー[注釈 1]に、撤去されている《きずな》の移転先を尋ねる[6]投稿があった。それに対する生協側の回答は、「全体にわたって吸音の壁になること」や「意匠の面」から「新中央食堂へ飾ることができず」、「別の施設に移設するということもできない」ため「今回、処分させていただくことといたしました」というものであった[6](太字引用者・現在は回答を変更[7][5])。
その回答を、宇佐美作品を調べる過程で東大生協のホームページにたどり着いていた和歌山県立近代美術館の人間が目にしたことにより事態が発覚[4]。同大教授で美術史家の加治屋健司や造形作家の岡崎乾二郎らを中心にこの話題がネット上で拡散された[8][5][1]。翌4月27日、東大生協は朝日新聞の取材に対し「絵は廃棄した」と回答、詳しい経緯については「現段階で答えられない」とした[9]。
反響・批評
[編集]経緯の分析
[編集]文化資源保存の問題
[編集]所有を巡って
[編集]《きずな》の資産価値を巡って
[編集]大学の役割を巡って
[編集]文化的価値の問題
[編集]アートと法律の問題
[編集]東京大学の対応を巡って
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 主として組合員から要望や質問を募り、生協の職員がそれに回答する欄。
出典
[編集]- ^ a b “宇佐美圭司の巨大絵画を廃棄。東京大学と大学生協が謝罪”. 美術手帖 (2018年5月8日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
- ^ “【話の肖像画】大原美術館館長・高階秀爾(5) 作品は文化遺産、意識高めてほしい”. 産経新聞 (2018年7月20日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
- ^ “生協ニュース 2009年1月号 第723号”. 東京大学消費生活協同組合. 2020年3月28日 (土) 02:09 (UTC)閲覧。
- ^ a b “シンポジウム抄録/宇佐美圭司《きずな》から出発して”. 東京大学 (2019年3月19日). 2020年3月28日 (土) 01:26 (UTC)閲覧。
- ^ a b c d “東大学食に40年あった宇佐美圭司の絵画、改装時に生協が廃棄 「取り返しつかない結果を招いた」と謝罪”. ねとらぼ (2018年5月8日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
- ^ a b “展示されていた宇佐美圭司の絵画は・・・”. 2018年4月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年3月28日 (土) 02:09 (UTC)閲覧。
- ^ “展示されていた宇佐美圭司の絵画は・・・”. 東京大学消費生活協同組合 (2018年3月15日). 2020年3月28日 (土) 02:09 (UTC)閲覧。
- ^ 宇佐美圭司壁画処分問題
- ^ “東大、絵の価値知らず? 食堂飾った著名画家の大作廃棄”. 朝日新聞デジタル (2018年4月27日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
資料
[編集]資料の区分はおおよそ
公式
[編集]“東京大学中央食堂の絵画廃棄処分について”. 東京大学. 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
“東京大学中央食堂の絵画廃棄処分についてのお詫び”. 東京大学消費生活協同組合. 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
時系列
[編集]“生協ニュース 2009年1月号 第723号”. 東京大学消費生活協同組合. 2020年3月28日 (土) 02:09 (UTC)閲覧。
“展示されていた宇佐美圭司の絵画は・・・”. 2018年4月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年3月28日 (土) 02:09 (UTC)閲覧。
“展示されていた宇佐美圭司の絵画は・・・”. 東京大学消費生活協同組合 (2018年3月15日). 2020年3月28日 (土) 02:09 (UTC)閲覧。
“東大、絵の価値知らず? 食堂飾った著名画家の大作廃棄”. 朝日新聞デジタル (2018年4月27日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
“東大食堂から消えた大作 宇佐美圭司さんの絵、3月末の食堂改修時”. 朝日新聞デジタル (2018年4月28日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
“東大、廃棄?行方不明? 食堂の名画問題「改めて回答」”. 朝日新聞デジタル (2018年4月28日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
“東大学食に40年あった宇佐美圭司の絵画、改装時に生協が廃棄 「取り返しつかない結果を招いた」と謝罪”. ねとらぼ (2018年5月8日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
“宇佐美圭司の巨大絵画を廃棄。東京大学と大学生協が謝罪”. 美術手帖 (2018年5月8日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
“東大生協、画家の大作を廃棄「重大さに思い至らず反省」”. 朝日新聞デジタル (2018年5月8日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
“東大破棄作品「福井の収蔵庫に」憤り 父母思い宇佐美圭司さんの娘”. 福井新聞online (2018年5月9日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
論評
[編集]“捨てられた絵の記憶 ― 東大中央食堂の「宇佐美圭司」作品廃棄問題 【きよみのつぶやき】第7回”. 美術展ナビ (2018年12月28日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
石戸諭 (2018年6月4日). “東大の絵画廃棄「理由が不明」の不気味さ”. President Online. 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
木村剛大 (2018年6月16日). “東大絵画廃棄と金魚電話ボックス撤去から考える「アートと法律の関係」”. 現代ビジネスオンライン. 2020年3月28日 (土) 00:50 (UTC)閲覧。
“情報共有されず・実物への敬意低下 2大学でシンポ 東大食堂の絵画廃棄”. 朝日新聞デジタル (2018年11月20日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
“(回顧2018)美術 消えた存在が、照らし出す”. 朝日新聞デジタル (2018年12月18日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
田中純. “谺(こだま)するかたち──岡﨑乾二郎『抽象の力』、ダニエル・ヘラー=ローゼン『エコラリアス』”. 10+1. 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
“《きずな》廃棄をきっかけに考える。美術評論家連盟がシンポジウム「事物の権利、作品の生」を開催”. 美術手帖 (2018年10月2日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
“廃棄された絵画から考える。東京大学で「シンポジウム『宇佐美圭司《きずな》から出発して』」が開催決定”. 美術手帖 (2018年9月7日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
“「シンポジウム『宇佐美圭司《きずな》から出発して』」”. 東京大学 (2018年9月6日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
“第18回文化資源学フォーラム「コレクションを手放す―譲渡・売却・廃棄」”. 東京大学大学院人文社会系研究科 文化資源学研究室. 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
“美術品の価値 保証し創造 東大生協の絵画破棄問題を機に考える美術館の役割”. 東京大学新聞 (2018年8月30日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
“【話の肖像画】大原美術館館長・高階秀爾(5) 作品は文化遺産、意識高めてほしい”. 産経新聞 (2018年7月20日). 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
落合絵美 (2018年5月28日). “日大アメフト問題で分かった「組織を殺す広報」「生かす広報」の差”. 現代ビジネスオンライン. 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。(←対応文に対する世間の反応について記述)
佐々木啓介 (2019年5月30日). “E2138 - 文化資源学フォーラム「コレクションを手放す」<報告>”. 国立国会図書館. 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
“アート作品は「非常に投資効率がいい」 芸術のプロたちが語る、美術館の価値”. ログミーbiz. 2020年3月27日 (金) 23:45 (UTC)閲覧。
加治屋先生のツイート入れないの無理では https://twitter.com/kenji_kajiya/status/990567233364475905 https://twitter.com/kenji_kajiya/status/989885658813497344 https://twitter.com/kenji_kajiya/status/989889106833362944 https://twitter.com/kenji_kajiya/status/1078300231064645632 https://twitter.com/kenjirookazaki/status/990223948255121409
タブロイドの価格とかで騒いでる記事入れてもいいかも
ART TRACE PRESS 05 ポロックの余白に
美術手帖
1992年の「宇佐美圭司回顧展」(セゾン美術館)の展覧会カタログに掲載された高階秀爾の文章
1992年の「宇佐美圭司回顧展」(セゾン美術館)の展覧会カタログに掲載された黒井千次の文章
https://twitter.com/nagasek/status/1066191403900751872 「アートコレクターズ」2018年12月号https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000009491826-00
https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/204404.html
“シンポジウム抄録/宇佐美圭司《きずな》から出発して”. 東京大学 (2019年3月19日). 2020年3月28日 (土) 01:26 (UTC)閲覧。
小林真理 (2019年1月25日). “大学は何を伝えなければならないか” (pdf). 東京大学. 2020年3月28日 (土) 01:26 (UTC)閲覧。
横目で見る用:https://docs.google.com/document/d/1JkPAMUYQIsegRAmN4e16U5DHv7EiBExnw5iQ6kdZ3Ek/mobilebasic (シンポ書き起こし)
使えるか謎:http://art.daimler.com/en/artwork/ghostplan-2-keiji-usami-1971-2/