十字軍のロンバルディア人

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十字軍のロンバルディア人』(I Lombardi alla prima crociata)は、ジュゼッペ・ヴェルディが作曲した4作目のオペラ。全4幕。『イ・ロンバルディ』、『第一回十字軍のロンバルディア人』とも呼ばれている。

概要[編集]

バルトロメオ・メレッリの委嘱により作曲され、台本トマッソ・グロッシ叙事詩『第一回十字軍のロンバルディア人』を基に、テミストークレ・ソレーラが脚色して完成させた。

1847年11月26日、ロワイエとヴァエーズがフランス語に訳して『エルサレム』に改訂し、オペラ座で上演されたものの、バッシがイタリア語に翻訳した『ジェルサレムメ』がスカラ座1850年12月に披露された。これは後に舞台をフランスに変えてトゥールーズパレスチナとされた。1851年1月にコンスタンティノープルでトンディが改作した『ジゼルダ』が上演された。

完成直後にミラノ枢機卿オーストリアの司政官に訴えたため、司政官が警視総監にメレッリ、ソレーラ、ヴェルディの調査を命令し、彼らに出頭を要求したが、ヴェルディは「上演が無理なら作品を破るしかない」と言ったため、ミラノ市民の多くがヴェルディを支持した。警視総監の計らいにより、第1幕の「アヴェ・マリア」を「サルヴェ・マリア」に変更するのみで初演が許された。初演は1843年2月11日スカラ座にて行われた。

楽器編成[編集]

ピッコロフルートオーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、バストロンボーンティンパニ打楽器3、ハープ2、オルガン弦五部バンダ

演奏時間[編集]

約2時間20分

登場人物[編集]

  • アルヴィーノ:ファルコの息子 テノール
  • パガーノ:ファルコの息子。バス
  • ヴィクリンダ:アルヴィーノの妻。ソプラノ
  • ジゼルダ:アルヴィーノの娘。ソプラノ。
  • ピルロ:アルヴィーノの臣下。バス。
  • プリオーレ:ミラノ市民。テノール。
  • アッチャーノ:アンティオキア王。バス。
  • ソフィア:アンティオキア王の妻。バス。
  • オロンテ:アンティオキア王の息子。テノール。

あらすじ[編集]

11世紀末に行われた第1回十字軍の聖地奪回を舞台に、兄弟が恋敵同士になったロンバルディアの貴族、そしてその娘とサラセン王子の恋の葛藤を扱っている。

参考文献[編集]

  • 最新名曲解説全集 補巻第3巻(音楽之友社
  • 井上和男『改訂版 クラシック音楽作品名辞典』三省堂、1998年2月10日、70頁。 

外部リンク[編集]