鈴木幸夫 (英文学者)
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(千代有三から転送)
1912年1月28日 - 1986年12月24日)は、英文学者、推理作家、早稲田大学名誉教授。
(すずき ゆきお、人物
[編集]大阪府出身[1]。早稲田大学文学部英文科卒業[2]、旧制大学院修了[2]。1939年、早稲田大学理工学部講師[2]。1954年、早稲田大学文学部教授[2]。1982年定年退職、名誉教授。その後は跡見学園短期大学教授、同大学学長を務めた。
1951年、探偵作家クラブ新年会の犯人当てゲームで2年連続して正解した実績を買われ[2]、同ゲームのために「痴人の宴」を書き下ろし[2]、同作が千代 有三の筆名で『宝石』に掲載されて探偵作家としてデビューする[1][2]。1957年、ワセダミステリクラブ初代会長。
1958年にワセダミステリクラブ会員の大藪春彦が作家デビューするが、これは鈴木が彼の作品『野獣死すべし』を江戸川乱歩に紹介し、乱歩が『宝石』への掲載を推薦したことによる。
探偵作家クラブ(日本推理作家協会)会員で[1]、1958年8月より会報の編集を担当[1]。乱歩賞や協会賞の予選委員を務めた[1]。英米文学研究のかたわら海外ミステリの紹介にも従事した[2]。
ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』の翻訳を『早稲田文学』に連載したが、後半は単行本化されなかった。
著書
[編集]- 『アメリカ現代文学 作家と作品』(白桃書房) 1946
- 『現代英吉利文学作家論』(新美社) 1947
- 『イギリス文学主潮』(青山書院) 1949
- 『アメリカ文学主潮』(早稲田大学出版部、早稲田選書) 1955
- 『英米の推理作家たち』(評論社、英米文学シリーズ) 1980.12
- 『道草ばなし』(弓書房) 1987.12
千代有三名義
[編集]- 『千代有三探偵小説選 I』(横井司編、論創社、論創ミステリ叢書) 2015.2
- 『千代有三探偵小説選 II』(横井司編、論創社、論創ミステリ叢書)2015.4
共編著
[編集]- 『コンサイス英文法辞典』(東浦義雄共編、拓文社) 1949
- 『入門英文法辞典』(東浦義雄共編、拓文社) 1950
- 『英文法一週間』(東浦義雄共著、十字屋書店、入試対策叢書) 1951
- 『詳解英文法辞典』(東浦義雄共編、拓文社) 1952
- 『英文法辞典』(東浦義雄共著 三省堂出版) 1955
- 『世界文学鑑賞辞典 第1 イギリス・アメリカ』(東京堂) 1962
- 『英文法用例辞典』(東浦義雄共著、三省堂) 1965
- 『文学思潮』(東京堂出版) 1967
- 『新選英文解釈補習問題集』(三省堂) 1967.2
- 『現代英米文学鑑賞辞典』(東京堂出版) 1976
- 『英米文学辞典』(東京堂出版) 1978.12
- 『ジョイスからジョイスへ ジェイムズ・ジョイス研究集成』(東京堂出版) 1982.7
- 『英語反対語・対比語辞典 対比連想による語彙拡大の書』(岡田秀穂共編、東京堂出版) 1984.2
- 『英米文学名句名言辞典』(東京堂出版) 1986.1
翻訳
[編集]- 『波』(ヴァージニア・ウルフ、昭南書房) 1943、のち角川文庫
- 『ロビンソン・クルーソ漂流記』(デフォー、小峰書店、少年少女のための世界文学選) 1951
- 『判事への花束』(マージヨリイ・アリンガム、早川書房、世界探偵小説全集) 1956
- 『ポールの場合 / 悪い噂』(ウィラ・キャザー、浜田政二郎共訳、英宝社、英米名作ライブラリー) 1956
- 『雪の上の血』(ヒルダ・ロレンス、東京創元社、世界推理小説全集) 1957
- 『ヴォスパー号の喪失』(F・W・クロフツ、早川書房、世界探偵小説全集) 1957
- 『手をやく捜査網』(M・アリンガム、六興出版部、六興推理小説選書) 1957
- 『汝再び故郷に帰れず』(トマス・ウルフ、荒地出版社、現代アメリカ文学全集20) 1959
- 『殺人芸術』(編訳、レイモンド・チャンドラー他、荒地出版社) 1959
- 『ハムレット / ヴェニスの商人』(シェイクスピア、平凡社、世界名作全集2) 1960
- 『僧正殺人事件』(ヴァン・ダイン、角川文庫) 1961、のち旺文社文庫
- 『黒猫 / 黄金虫』(エドガー・アラン・ポー ポプラ社、世界の名著) 1969
- 『まぼろしの証人』(ウィリアム・アイリッシュ、千代有三名義、偕成社) 1969
- 『トム・ソーヤーの冒険』(マーク・トウェイン、旺文社文庫) 1969
- 『フィネガン徹夜祭 その1』(ジェイムズ・ジョイス、都市出版社) 1971
- 『もう森へなんか行かない』(エドゥアール・デュジャルダン、柳瀬尚紀共訳、都市出版社) 1971
- 『アメリカ株式会社』(モートン・ミンツ, ジェリイ・S・コーエン、斎藤志郎共訳、早川書房) 1972
- 『白い牙』(ジャック・ロンドン、旺文社文庫) 1972
- 『シャーロック・ホウムズ読本』(エドガー・W・スミス編、研究社出版) 1973
- 『推理小説の美学』(H・ヘイクラフト編著、編訳、研究社出版) 1974
- 『現代小説の世界』(B・バーゴンジー、紺野耕一共訳、研究社出版) 1975
- 『推理小説の詩学』(H・ヘイクラフト編著、編訳、研究社出版) 1976
- 『冒険小説・ミステリー・ロマンス 創作の秘密』(J・G・カウェルティ、研究社出版) 1984.10
コナン・ドイル
[編集]- 『シァーロク・ホウムズの回想』(コナン・ドイル、角川文庫) 1955
- 『シャーロク・ホウムズの生還』(コナン・ドイル、角川文庫) 1956
- 『バスカーヴィル家の犬』(コナン・ドイル、角川文庫) 1956
- 『シァーロク・ホウムズの冒険』(コナン・ドイル、角川文庫) 1957 - 1959
記念論集
[編集]- 『フェニックスを求めて 英米小説のゆくえ』(鈴木幸夫先生古稀記念論文集刊行委員会、南雲堂) 1982.6
脚注
[編集]参考
[編集]- 日本人名大事典