吉崎清富
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吉崎 清富(よしざき きよとみ、1940年 - )は、日本の現代音楽作曲家。
略歴
[編集]秋田県大館市生まれ。中学卒業と同時に上京し、桜美林高等学校卒業。東京芸術大学卒業、同大学院修了。作曲を下総皖一、石桁眞禮生に師事。ドイツ政府給費留学生としてベルリン国立音楽大学に留学。ボリス・ブラッハー、ジェルジ・リゲティに学ぶ。在学中の69、70、72年、ダルムシュタット夏季現代音楽講習会に参加。ヴィオッティ国際音楽コンクール、ベルリン国際作曲コンクールなどの国際コンクールで入賞を果たす。同大卒業後、ベルリン工科大学電子音楽スタジオ研究員に着任。79年、スタンフォード大学コンピュータ音楽セミナーに参加。
鹿児島大学講師着任後、東京学芸大学教授、国立音楽大学講師、鹿児島大学教授を歴任。『杵屋正邦における邦楽の解体と再構築』により博士号(文学)取得(2000年、大阪大学)。2021年、瑞宝中綬章受章[1][2]。
石桁眞禮生門下生による「環」、三枝成彰、西村朗、松平頼暁、水野修孝らと結成した「オーケストラ・プロジェクト」、自らが主宰する作曲グループ「パッケージ21」等において、ユニークで鮮烈な作品を多数発表。NHK電子音楽スタジオ等からの委嘱による電子音響作品やコンピュータ音楽作品も手掛ける。実験精神に溢れながらも正統な現代作曲技法に裏打ちされた作風は、極めて独創的な音楽世界を確立したものとして高く評価されている。
主要作品
[編集]管弦楽
[編集]- オーケストラのためのマスク(1975年)
- オーケストラのための秩序と無秩序の宮(1979年)
- オーケストラのための問いと答え(1981年)
- オーケストラのための甘美なゲーム(1983年)
- 新しい天地 -独唱、電子オルガン、オーケストラのために-(1990年)
室内楽
[編集]- ヴィオラ・ソロ(1969年)
- 6~9人の奏者のための音楽(1969年)
- クラリネット四重奏のためのマスク(1970年)
- ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲(1971年)
- 詩篇 -ピアノのための-(1972年)[3][4][5]
- マリンバのためのグリーン・スペース [Green space for marimba]. Contemporary Japanese music series (175). 音楽之友社. (1979). NCID BA50911091
- 打楽器のための秩序と無秩序の宮(1980年)[6]
- エトスとパトスの広場 -ピアノのための-(1982年)[7]
- 赤い虹の詩 : マリンバカルテットのための [Red rainbow rhyme for marimba quartet]. 日本作曲家協議会. (1985). NCID BA65207664
- カバラ バラカ ラカバ -不特定楽器のための-(1985年)
- 日本作曲家協議会 [編] (1985). “キツネとレストラン”. ピアノのゆうえんち : 329人の作曲家による小曲集. 4. 音楽之友社- 独奏・独唱譜(無伴奏)
- Viola Sola(1986年)
- 神聖な舞踏 -フルート、オーボエ、ファゴットのために-(1987年)
- 東京ストリート -2ヴァイオリン-(1988年)
- SEOUL・TOKYO・SEOUL -2ユーフォニウム、2チューバ-(1989年)
- The realm of cabala : for flute and piano = カバラの王国 : (1987) : フルートとピアノのために. 日本作曲家協議会. (1989). NCID BA39716820
声楽
[編集]電子音楽
[編集]著書
[編集]- 『対位法の泉 : 実習と理論史』音楽之友社、1989年。 NCID BN03671799。[10]
- 『杵屋正邦における邦楽の解体と再構築』出版芸術社、2001年。 NCID BA5443003X。
- 『シンメトリーの楽しみ』幻冬舎メディアコンサルティング,幻冬舎 (発売)、2016年。 NCID BB23103987。
訳書
[編集]- Brindle, Reginald Smith『新しい音楽 : 1945年以降の前衛』アカデミア・ミュージック、1988年。 NCID BN02321951。- R.スミスーブリンドルの邦訳
録音
[編集]- 『無秩序の宮の時』(In time of the disorderly palace for percussionists)[11]
- 『カバラ』[12]
- 『エトスとパトスの広場』(The place of ethos and pathos)[11]
- 『新しい天地 : 独唱・電子オルガン・オーケストラのために』(New heaven and earth for soli, electronic organ and orchestra)[13]
- 『電子音楽のためのグリーンスペースの宮』(Palace of green space for electronic music)[14]
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ 『官報』号外第99号、令和3年4月30日
- ^ “令和3年春の叙勲 瑞宝中綬章受章者” (PDF). 内閣府. p. 25 (2021年4月). 2023年2月16日閲覧。
- ^ 「Psalm lieder. 其の1」『東京学芸大学紀要』第28巻、東京学芸大学、1976年、61-74頁。
- ^ 「Psalm lieder. 其の2」『東京学芸大学紀要』第29巻、東京学芸大学、1977年、59-72頁。
- ^ 「Psalm lieder. 其の3」『東京学芸大学紀要』第30巻、東京学芸大学、1978年、79-96頁。
- ^ In time of the disorderly palace = 無秩序の宮の時 : 打楽器のための. 日本作曲家協議会. (1981). NCID BA6582988X
- ^ エトスとパトスの広場 [Platz für Ethos und Pathos] : (1982). Contemporary Japanese music series (210). 音楽之友社. (1983). NCID BA66886051
- ^ For restless night = 眠れぬ夜のために. 日本作曲家協議会. (1979). NCID BA65935683
- ^ 小島努; 佐藤茂; 岡坂慶紀; 湯浅譲二; 近藤譲; 甲斐説宗; 坪能克裕; 下山一二三; 吉崎清富; 西村朗; 志田笙子; 北爪道夫「2: 電子音楽のためのグリーンスペースの宮 [Palace of green space for electronic music]」『Tsutomu Kojima work』[出版者不明],サウンドスリー〈音の始源 (はじまり) を求めて (7)〉、2007年。 NCID BB20513938。
- ^ 『対位法の泉 : 実習と理論史』吉崎清富、1987年。 NCID BN01409467。
- ^ a b 池辺晋一郎; 増本喜久子; 北爪やよひ; 三枝成彰; 服部公一; 小森昭宏; 浅川春男; 香月修; 安彦善博; 小西奈雅子; 神良聡夫; 中村滋延; 塩見允枝子; 池野成; 松本日之春; 小橋稔; 菅野由弘; 尾崎敏之; 寺原伸夫; 吉川和夫; 吉崎清富; 飯田隆(作曲家); 小林新; 早川和子『Japanese composers』(Sound Disc, 33 1/3 rpm; v. 1: 1; v. 1: 2; v. 2: 1; v. 2: 2; v. 3: 1; v. 3: 2; v. 5; v. 6; v. 7; v. 8; v. 9; v. 10)Japan Federation of Composers, Kojima Recordings、1980年。 NCID BA83673250。JFC-R8001, R8002 -- R8501, R8502。文化庁助成金事業
- ^ 高橋美智子 [マリンバ]; 水野佐知香 [ヴァイオリン]『驚異のコントラバス・マリンバ』(CD 1枚; Content)CBS/Sony Group、1988年。CBS Sony 32DC 5027。
- ^ 桑原英子, soprano (4th work) ; 大野徹也, tenor (4th work) ; 赤塚博美, electronic organ (4th work) ; 東京交響楽団 ; 小松一彦 (指揮); 岡坂慶紀; 下山一二三; 松永通温; 吉崎清富; 松永加也子; 桑原英子; 大野徹也; 赤塚博美; 東京交響楽団; 小松一彦『オーケストラプロジェクト'90 [Orchestra project '90]』(Compact disc)Alm Records、東京文化会館大ホール、1990年6月11日。 NCID BA39523623。ALCD-3024--3025。
- ^ 小島努; 佐藤茂; 岡坂慶紀; 湯浅譲二; 近藤譲; 甲斐説宗; 坪能克裕; 下山一二三; 吉崎清富; 西村朗; 志田笙子; 北爪道夫『Tsutomu Kojima work』7号、サウンドスリー〈音の始源 (はじまり) を求めて〉、2007年。 NCID BB20513938。