和漢朗詠註抄
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『和漢朗詠註抄』(わかんろうえいちゅうしょう)は、釈無名によって編まれた『和漢朗詠集』の注釈書。『註抄』、『註略抄』とする写本もある。
院政最末期から鎌倉時代の極初期に成立したと考えられる。先行する『和漢朗詠集』の諸注釈を大成することを意図して編まれたらしく、『朗詠江注』など先行する注釈書を引用している。特に、『和漢朗詠集私注』を多く引用しており、著者の釈無明は、『和漢朗詠集私注』の信阿とほぼ同時代の学僧ではないかとの指摘もある(山崎誠)。漢文体を採用し、さらに故事や関連する資料を徹底して集成しているところから、漢学に詳しい人々向けの注釈書であると考えられている。
参考文献
[編集]- 『和漢朗詠集古注釈集成第一巻』 大学堂書店 1997年
- 黒田彰 「室町以前〈朗詠注〉書誌稿」『中世説話の文学史的環境』 和泉書院 1987年
- 山崎誠 「「和漢朗詠註抄」攷」『中世学問史の基底と展開』 和泉書院 1993年
- 三木雅博 「鎌倉前期における和漢朗詠集注釈の展開―『和漢朗詠集私注』から『和漢朗詠集永済注』『和漢朗詠註抄』へ―」『和漢朗詠集とその享受』 勉誠社 1995年