四旬斎
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四旬斎(しじゅんさい、英語: Great Lent)とは、キリスト教(正教会、非カルケドン派、カトリック教会、聖公会、プロテスタント)において、復活祭を準備する期間[1][2][3][4][5]。
正教会では大斎[1](おおものいみ[6])、カトリック教会・ルーテル教会では四旬節[3][5]、聖公会では大斎節、大方のプロテスタントでは受難節と呼ばれるのが一般的である[注 1][7]。
約40日間の起源
[編集]「四旬」(しじゅん、四十の意)の名は、復活祭前のこの準備期間が約40日間のものであることから名付けられている[8]。40日に近い日数が設定されていることには、以下が起源として挙げられるが、三つ目のイエス・キリストのものが重要なものとして特に頻繁に言及される[9][10]。
- モーセがシナイ山で40日間行った断食(出エジプト記34章28節)[9][10][11]
- エリヤがホレブ山に40日間飲み食いせずに行ったこと(列王記上19章8節)[9][10][11]
- イエス・キリストが荒野で断食して過ごした40日間(マタイによる福音書4章2節、マルコによる福音書1章13節、ルカによる福音書4章2節)[3][9][10][11]。
過ごし方
[編集]この期間中、食品の品目や量を節制したり、祈りを増やしたりして過ごすことが求められる[1][3][5][12]。この期間中の食品の節制方法については、教派ごとに違いがある。
- 西方教会
- カトリック教会の四旬節では、節制を大斎と小斎に分けて実施している(正教会や聖公会と「大斎」の語義が異なる)。肉を食べないという節制は、各自の判断で償いの他の形式(愛徳のわざ、信心業、節制のわざの実行)に代えることができるとされている[8]。詳細は四旬節を参照
- 聖公会の大斎節では、祈りを増やしたり聖書を読む時間を増やしたりするよう求められている。食事の節制についてはあまり指導されず精神的な側面が強調される傾向にあるが、食事の節制についての意義を見直すべきとする意見もある[14]。
- プロテスタントは様々な教派を含む総称であり一概に言えない。食品についてカトリック教会と同様の勧めがされる事もあれば[5]、特に勧められない場合もある。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 「四旬斎」という単語を単体で使うのは、現代では正教会のみであり、しかもその登場頻度は多く無いが、本項では「大斎」「四旬節」「大斎節」といった語彙と共通点が多いことから「四旬斎」としている
出典
[編集]- ^ a b c 祈り-祭と斎:日本正教会 The Orthodox Church in Japan
- ^ RELIGIOUS HOLIDAYS AND CALENDAR (The Ethiopian Orthodox Tewahedo Church)
- ^ a b c d 典礼解説 四旬節(カトリック中央協議会)
- ^ 日本聖公会大阪教区報411号2010年2月14日発行(司祭ペテロ松山龍二) (PDF)
- ^ a b c d 日本福音ルーテル下関教会
- ^ かたち-信仰生活:日本正教会 The Orthodox Church in Japan
- ^ 明治時代には他教派のものも指して四旬斎と呼んでいる事例がある。宗教学講義 宗教制度
- ^ a b 四旬節 断食(大斎・小斎)カーニバル(カトリック中央協議会)
- ^ a b c d e f 大斎の意味 カリストス・ウェア主教著ダビッド水口優明神父 翻訳
- ^ a b c d カトリック鍛冶ケ谷教会 : 四旬節について
- ^ a b c 教会暦(Church Year)(白根ルーテルキリスト教会)
- ^ 京都聖マリア教会 月報「コイノニア」1997年3月号
- ^ 復活祭前の大斎期 | ロシアNOW
- ^ 聖マルコ教会月報「きずな」3月号巻頭言(藤沢聖マルコ教会牧師エドワード宇津山武志) (PDF)