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国際裁判所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

国際裁判所(こくさいさいばんしょ、: international court、またはinternational tribunal)とは、国際裁判を行うために、複数の国家により構成される国際機関によって設立される組織の総称である[注 1]。「裁判所」、「委員会」など、様々な名称がつけられ、固有の施設や裁判官の有無を問わない[1]

分類

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アドホック仲裁裁判

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個々の紛争ごとに設置される臨時の国際裁判所が行う国際裁判のことを、総称して国際仲裁裁判という。裁判官の選任方法や裁判の基準は、紛争ごとに紛争当事国の間で結ばれる協定(仲裁契約)によって決定される[2]。1872年に英米間のアラバマ号事件英語版を解決したことによりその効果が認められるなど[3]、最も古くから用いられている国際裁判の方式であり[2]、現代においても国際裁判の多くは、特定の紛争を処理するため個々に設置されるこうした仲裁裁判所で行われる。これらは裁判終了後に解散される[1]

アドホック刑事裁判

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個人の国際犯罪を裁くための裁判所である。古くは第一次世界大戦後に戦争犯罪を裁くために設置が主張され、第二次世界大戦後に設置されたニュルンベルク国際軍事裁判所極東国際軍事裁判所、1990年代に設置された旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所ルワンダ国際刑事裁判所を経て、2003年には常設的な国際刑事裁判所が設置された[4]アドホック刑事裁判所のうち、主なものを以下に挙げる。

裁判所名 英語略称 設置機関・国 活動期間 公式HP[注 2]
ニュルンベルク国際軍事裁判所 IMT 連合国 1945-1946
極東国際軍事裁判所 IMTFE 連合国 1946-1948
旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所 ICTY 国連安保理 1993-2017
ルワンダ国際刑事裁判所 ICTR 国連安保理 1994-2015 [1]
東ティモールディリ地区裁判所特別パネル英語版 DDC 国連東ティモール暫定行政機構 2000-2006
シエラレオネ特別裁判所 SCSL 国連安保理 2002-2013 [2]
カンボジア特別法廷 ECCC 国連総会、およびカンボジア政府 2006-現在 [3]
レバノン特別裁判所英語版 STL 国連安保理 2009-現在 [4]

常設

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現在設置されている常設的な国際裁判所のうち、全世界的なものとしては、固有の施設を持ち15人の裁判官が常駐する国際司法裁判所をはじめ、国連海洋法条約の解釈・適用に関する紛争を処理する国際海洋法裁判所などがあり、また地域的な常設の裁判所としては欧州司法裁判所米州人権裁判所英語版などがある[1]。以下活動地域ごとに分けて主なものを紹介する。

全世界

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英語略称 裁判所名 設置機関・国 活動期間 公式HP[注 2]
ICJ

PCIJ

国際司法裁判所

常設国際司法裁判所

国際連合

国際連盟

1946-現在

1922-1946

[5]
PCA 常設仲裁裁判所 万国平和会議 1899-現在 [6]
DSB WTO紛争解決機関英語版 WTO 1994-現在 [7]
ITLOS 国際海洋法裁判所 国連海洋法条約締約国 1996-現在 [8]
ICC 国際刑事裁判所 国際刑事裁判所規程締約国 2003-現在 [9]
ICSID 投資紛争解決国際センター 国際復興開発銀行 1966-現在 [10]
特に無し 自由権規約人権委員会 国際人権B規約第1選択議定書締約国 1976-現在 [11]

アフリカ地域

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裁判所名 英語略称 設置機関・国 活動期間 公式HP[注 2]
アフリカ人権裁判所英語版 AfCHPR アフリカ連合 2004-現在 [12]
東アフリカ司法裁判所英語版 EACJ 東アフリカ共同体 2000-現在 [13]
南部アフリカ開発共同体裁判所英語版 SADC
Tribunal
南部アフリカ開発共同体 1992-現在 [14]

アメリカ地域

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裁判所名 英語略称 設置機関・国 活動期間 公式HP[注 2]
カリブ司法裁判所英語版 CCJ カリブ共同体 2001-現在 [15]
中米司法裁判所(戦前)英語版 CACJ 中米和平会議 1907-1918
中米司法裁判所(戦後)英語版 CCJ 中米統合機構 1992-現在 [16]
アンデス共同体司法裁判所 TJAC アンデス共同体 1979-現在 [17]
東部カリブ上級裁判所英語版 ECSC 東カリブ諸国機構 1967-現在 [18]
米州人権裁判所英語版 IACHR 米州人権条約締約国 1978-現在 [19]

ヨーロッパ地域

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裁判所名 英語略称 設置機関・国 活動期間 公式HP[注 2]
ベネルクス司法裁判所英語版 特に無し ベネルクス三国 1975-現在 [20]
独立国家共同体経済裁判所英語版 特に無し 独立国家共同体 1994-現在 [21]
欧州会計監査院 ECA EU 1977-現在 [22]
欧州人権裁判所 ECtHR 欧州評議会 1959-現在 [23]
欧州連合司法裁判所 ECJ EU 1952-現在 [24]
欧州自由貿易連合裁判所英語版 EFTA Court 欧州経済領域加盟国 1994-現在 [25]
欧州原子力裁判所英語版 ENET 欧州地域の16カ国[注 3] 1960-現在 [26]
欧州連合公務員裁判所 特に無し EU 2005-現在 [27]
ボスニア・ヘルツェゴビナ人権裁判部英語版 HRC デイトン合意締約国 1996-2003

注釈

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  1. ^ よって、国際性を有する紛争を処理する権限を持つ組織であっても、私的組織によって設立されたものは本項の対象外とする。例:スポーツ仲裁裁判所IOC設立。
  2. ^ a b c d e 裁判所自身が作成したHPか、もしくは裁判所を設置した機関のHP。主に英語やフランス語で書かれたものが多い。現在活動中のものに限る。
  3. ^ オーストリアベルギーデンマークフランスドイツアイルランドイタリアルクセンブルクオランダノルウェーポルトガルスペインスウェーデンスイストルコイギリスの16カ国。公式HPより。

出典

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  1. ^ a b c 筒井(2002)、102頁。
  2. ^ a b 筒井(2002)、113-114頁。
  3. ^ 筒井(2002)、6頁。
  4. ^ 筒井(2002)、99頁。

参考文献

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#出典における略記を太字で示した。

  • 筒井若水『国際法辞典』有斐閣、2002年。ISBN 4-641-00012-3 

関連項目

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