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国難突破解散

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

国難突破解散(こくなんとっぱかいさん)とは2017年9月28日衆議院解散の俗称。

概要

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2017年、安倍晋三首相は当初は2018年9月の自民党総裁選で3選を果たした上で、衆院選と同日に憲法改正の国民投票を行う戦略を描いていた[1]。しかし、加計学園問題・森友学園問題などで内閣支持率が急落し、同年7月の東京都議会議員選挙で自民党は敗北した[1][2]。8月に入り、同月3日の内閣改造などを行い、内閣支持率が回復した[1][3]。民進党代表に前原誠司に代わるも、山尾志桜里を幹事長に据える人事が週刊誌報道で撤回される等つまづいて細野豪志元環境相らが離党する等し、民進党への逆風は与党に有利に働くことになった[1][3]。また、都議会議員選挙で都民ファーストの会代表として勝利した小池百合子東京都知事が国政進出を目指す動きが出るも候補者準備などに入ったばかりであった[1][3]

国際社会に目を向けると、8月26日8月29日北朝鮮ミサイル発射実験をし、さらに9月3日に北朝鮮が6回目の核実験を行うなどして北朝鮮情勢が緊迫化し、外務省から「年末にかけて緊迫する」との分析が寄せられた[3][4]

安倍首相は国際社会情勢から「中国共産党大会が開かれる10月中は大きな動きはない」「衆院選による組閣後のトランプアメリカ大統領の来日にも間に合う」として9月下旬に国会召集して冒頭解散して10月に衆院選を行うことを考えていった[5]。自民党が9月8日から9月10日にかけて行った衆院選情勢調査では現有286議席から「12~30議席減」となるが自民単独で過半数は維持するという結果が安倍首相の解散総選挙の決断を後押しした[5]。9月10日夜に東京都渋谷区富ヶ谷の安倍首相の私邸で麻生太郎副総理財務大臣に「臨時国会冒頭の9月28日解散・10月10日衆院選公示・10月22日投開票」のスケジュールで衆議院解散する決断を伝えた[5]。麻生大臣も「追い込まれて解散して勝った試しはない。解散を見送れば政権運営のハンドリングが難しくなる」と自身が首相だった経験を踏まえて解散に同意した[5]菅義偉内閣官房長官は早期解散に慎重だったが、最終的に安倍首相の決断に同意した[5]

9月11日に安倍首相は二階俊博自民党幹事長山口那津男公明党代表と首相官邸で相次いで会談し「臨時国会中の解散」を模索する考えを伝えた上でインド訪問に旅立った[5]。9月15日にインドから帰国した安倍首相は冒頭解散の意向を二階自民党幹事長やロシア訪問中の山口公明党代表に伝えた[5][6]。これにより自民党と公明党の支持母体である創価学会は10月衆院選の準備に入り、解散情報は政界に知られることとなった[5][6]

9月25日に安倍首相は首相官邸で記者会見を開き、臨時国会冒頭の9月28日に衆議院を解散すると表明した。今回の解散を「国難突破解散」と位置づけ、少子高齢化や北朝鮮情勢に触れて「国民と国難を乗り越えるため、国民の意見を聞かなければならない」と述べた[7]

9月28日に第194回国会が召集された初日に安倍内閣は衆議院を解散した。

脚注

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  1. ^ a b c d e “衆院選 来月22日 首相、28日解散へ 消費税10% 使途変更問う”. 読売新聞 (読売新聞グループ本社). (2017年9月18日) 
  2. ^ “臨時国会:首相、冒頭解散で調整来月22日投開票が軸”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2017年9月18日) 
  3. ^ a b c d “議席減も覚悟、首相の賭け、電撃解散、決断の裏、極秘の情勢調査、盟友が後押し。”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2017年9月23日) 
  4. ^ “首相、政権維持へ賭け 麻生氏「解散、今しか」”. 神戸新聞 (神戸新聞社). (2017年9月26日) 
  5. ^ a b c d e f g h “検証 二階氏、山口氏 反対せず冒頭解散 麻生氏と連携 北朝鮮緊迫「年末以降」と判断”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2017年9月24日) 
  6. ^ a b “衆院解散表明 首相「今しかない」 北朝鮮、野党横目に計算”. 大阪日日新聞 (新日本海新聞社). (2017年9月26日) 
  7. ^ “首相、衆院28日解散表明 来月22日投開票 消費税使途「信問う」 北朝鮮への圧力路線も”. 大阪日日新聞 (新日本海新聞社). (2017年9月26日) 

関連項目

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外部リンク

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