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大人買い

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

大人買い(おとながい)は、食玩(玩具付きの菓子)などの子供向けの商品を、大人が一度に大量に買うことを表す俗語[1]。転じて、低価格なシリーズ商品やシリーズ作品を一括して買うことを指す場合もある[2]。類似の表現に「箱買い[3]がある。

大人買いされる物品の例に、食玩漫画などがある[4]

2008年改訂の『広辞苑』第六版は「大人買い」を新たに収録した[5]文化庁の2014年の調査で「大人買い」という表現を78.6%が「聞いたことがある」と回答している。

発祥とその背景

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「大人買い」という語の発祥の詳しい経緯は必ずしも明らかではないが、本来はオタク用語[6]とも言われる。 背景にはペプシコーラ1998年以降に商品のおまけとして付けたキャラクター型ボトルキャップや、1999年9月からフルタ製菓が発売したチョコエッグのおまけなどを熱心に集める大人たちによる「食玩ブーム」があった[6]。食玩収集を目的に、子どもにはできないまとめ買いをする行為を指して「大人買い」という言葉が誕生した[7]

絵本作家相原博之は、キャラクター商品の大人買いについて、1997年頃の(女子高生女子大生OLなどを巻き込んだ)ハローキティのブームがきっかけで始まった現象だとする[8]

用法の拡大

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この語の流布にともない語義の拡大傾向も見られるようになっていった。ネット上ではすでに2000年の時点でマンガ本の全巻一括購入やボウリング場のレーンの一日中の独占、あるいは子供時代にできなかった習い事を自腹で始めることなどを「大人買い」と表現したサイトが存在し、食玩に代表されるような子供向けの商品とは無関係なものへの使用例が見られた[6]。一方、雑誌などでも2000年代前半から、古書(2002年[9]、あるいは万年筆の詰め替え用インクや帽子(2003年[10]など、必ずしも子供向けでないものや明らかに大人向けの商品であっても、一度にまとめて購入することを大人買いと表現する例が見られる。さらに2000年代半ば以降では、単に子供向けではないというだけではなく、グッチ2006年[11]ルイ・ヴィトン(2006年)[12]、あるいは一流の仕立て職人を呼んで採寸させる一着60万円以上のオーダースーツ(2007年[13]といった、一般的な大人でさえ大量には買わないような高額商品のまとめ買いにも使用されるようになり、語義が拡大・拡散した。

大人買いの心理

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人を大人買いに駆り立てる心理には、子供時代に貧乏で買ってもらえなかった恨みを自分で埋め合わせしようとする動機、子供時代への郷愁などが考えられる[14][15][16][17]

大人が子ども向け商品をまとめ買いすることはむしろ「大人気おとなげない」行為だとの見方がある[2]

商法

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日経エレクトロニクス学習研究社が子ども向けだった商品、電子ブロックEX-15の復刻版を30代から40代に多く売ったことを報じ、大人買い需要を利用した成功例だとした[18]

漫画全巻ドットコムは子ども時代の想い出をきっかけにまとめ買いをする「大人」消費者に焦点を当て、過去の漫画作品を簡単にまとめ買いできるサービスを2010年までに提供した[19]

脚注

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  1. ^ 新村出(編)『広辞苑』第六版(普通版)、岩波書店、2008年、410頁。ISBN 978-4-00-080121-8 C0500
  2. ^ a b 「〔早耳〕 大人買い」(読売新聞 2005年10月21日 西部版朝刊 35頁 社会面)-「大人買い」の解説-
  3. ^ 谷川建司, 王向華, 呉咏梅『拡散するサブカルチャー 個室化する欲望と癒しの進行形』 p.37
  4. ^ 今日から役に立つ! 常識の「国語力」2600、p.79
  5. ^ 「[日本語・日めくり]大人買い」読売新聞東京朝刊2010年1月5日13ページ
  6. ^ a b c 片桐圭子「大人買いという快楽 お菓子のおまけにはまってしまう」(『AERA』 2001年1月1日号 83頁)
  7. ^ 「新製品トレンド リポート 鉄人28号、キョロちゃん…おまけつき菓子が人気 懐かしいキャラに大人もうっとり」日経ビジネス 2002/03/11号
  8. ^ 相原博之 『キャラ化するニッポン』 講談社、2007年、42-43頁。ISBN 978-4062879101
  9. ^ 「本の虫が薦める本好きのための極上読書案内 予算2万円!古本買い物ゲーム 大西祥平さん・吉田豪さん 降ってわいた臨時ボーナスで古本“大人買い”を実況中継!」(『ダカーポ』2002年8月21日号 32-33頁)
  10. ^ 石田衣良「私のごひいき 138回『大人買い』がたのしいそこそこ価格のグッズベスト3」(『週刊文春』2003年11月13日号 119頁)
  11. ^ 「芸能ワイド ネタウンミーティング ホリエモン 裁判のストレス!? 銀座グッチで超大人買い?」(『週刊女性』2006年12月12日号 175-176頁)
  12. ^ 「芸能人のお値段 日米スター買いまくり伝説 忙しいスターは値段きにせず大人買い」(『日経エンタテインメント』2006年12月号 38頁)
  13. ^ ニック・フォークス「スーツ200着の『大人買い』」(『ニューズウィーク日本版』2007年12月26日号 62頁)
  14. ^ 「乗れるチョロQ、お酌ロボ‥‥ 少子化ゆえ大人向け おもちゃメーカー必死」(読売新聞 2002年7月17日 東京付夕刊 18頁)の記事中における関沢英彦(博報堂生活総合研究所長)による分析。
  15. ^ 爆笑問題「爆笑問題の世紀末ジグソーパズル 147回 大人買い ゲットできなかったガキ時代の恨み、大人になって晴らします」(『週刊プレイボーイ』2001年4月17日号 82-83頁)
  16. ^ カーツさとう「カーツさとうの一度はやってみたい!庶民の夢 5回 駄菓子を大人買い! 食った!当たった!遊んだ!30数年来の“庶民の夢”お値段はビックリの…」(『DIME』2004年3月16日号 171-175頁)
  17. ^ 野口豊「いまこそサンダーバード大人買い いよいよ実写版映画公開で再び『国際救助隊』に入隊!」(『ラピタ』2004年9月号 92-97頁)
  18. ^ 日経エレクトロニクス、2003/01/20号, 59-66ページ
  19. ^ “大人買い心理”をくすぐる絶妙な戦略 「漫画全巻まとめ買いサイト」が大人気! これが気になる! - 第261回 , 2010年3月2日 , DIAMOND online

関連項目

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