大千島列島
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大千島列島(だいちしまれっとう)、または大クリル列島(だいクリルれっとう、露: Большие Курилы、英: Greater Kuril Chain)は、千島列島の一部で、太平洋上にある列島である。択捉・国後両島、歯舞群島及び色丹島を千島列島に含める場合における呼称であり、北千島と択捉島、国後島を含む。色丹島や歯舞群島などが含まれる小千島列島とは南千島海峡で隔てられている。列島の長さは1200キロ、総面積は10,100km²、列島内の最高峰は阿頼度島にある阿頼度山で2,339mとなっている。
「大千島列島」は小千島列島が千島列島に含まれるという前提での呼び方であり、日本及びアメリカ合衆国の見解である小千島列島が千島列島に含まれないとする立場からは大千島列島を単に「千島列島」と呼ぶ[1][2]
全島をロシアが実効支配しているが、日本は択捉島・国後島の2島を千島列島に含まれない北方領土の一部として返還を求めている。
構成する島の一覧
[編集]日本語名 | ロシア語名 | 英語名 | 名前の由来となったアイヌ語 | 面積 |
最高標高 |
北緯 | 東経 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Шумшу (シュムシュ) |
Shumshu | シュム・ウシ(南西・<そこに>ある→南西に存在する、或いは南西に入る)」※ 諸説あり | 388 | 189 (三塚山) |
50°45' | 156°20' | |
Атласова (アトラソフ) |
Atlasov | アウ・ライト(噴火口の内が地獄のようにどろどろに溶けた溶岩の溜池) | 150 | 2339 (阿頼度山) |
50°50' | 155°30' | |
Парамушир (パラムシル) |
Paramushir | パラ・モシル(広い・島) や ポロ・モシル(大きい・島)など | 2053 | 1816 (千倉嶽) |
50°30' | 155°40' | |
Анциферова (アンツィフェロヴァ) |
Antsiferov | シ・リン・キ(甚だ・波・所→ひどく波立つ所) | 7 | 747 (蓮華嶽) |
50°12' | 154°58' | |
Маканруши (マカンルシ) |
Makanrushi | 「温禰古丹島の後ろにあって、潮の中に立つ島」の意とする説がある。 | 49 | 1171 (三高山) |
49°45' | 154°25' | |
Онекотан (オネコタン) |
Onekotan | オンネ・コタン(大きな・村→大きな村) | 425 | 1324 (黒石山) |
49°25' | 154°45' | |
Харимкотан (ハリムコタン) |
Kharimkotan | ハリム・コタン(オオウバユリ・村→オオウバユリの多い所)」 ハル・オマ・コタン(オオウバユリの鱗茎・そこにある・村→ オオウバユリがそこにある村) |
68 | 1157 (春牟古丹嶽) |
49°05' | 154°30' | |
Экарма (エカルマ) |
Ekarma | エカリ・マ・ウシ(安全な船着場の多い所) | 30 | 1170 (越渇磨嶽) |
48°55' | 153°55' | |
Чиринкотан (チリンコタン) |
Chirinkotan | チリン・コタン(汚れた波<泥流>・村)→泥流に呑まれた村」 | 6 | 742 | 48°58' | 153°30' | |
Шиашкотан (シアシュコタン) |
Shiashkotan | シャク・コタン(夏の・村)や シャシ・コタン(昆布・村)など諸説あり | 122 | 934 (赤嶽) |
48°50' | 154°05' | |
Скалы Ловушки (スカルラ・ロヴシュキ) |
モシリ(島) | ||||||
Райкоке (ライコケ) |
Raikoke | ライ・コツ・ケ(地獄・穴、又は噴火口・所→地獄穴の所)」 | 4,6 | 551 | 48°17' | 153°15' | |
Матуа (マトゥア) |
Matua | モト・ア(土着の者だ吾々は)( かつて千島アイヌが千島列島を行き来していた中で、本島に土着したアイヌ人が存在した。) |
52 | 1446 (芙蓉山) |
48°05' | 153°10' | |
Расшуа[7] (ラスシュア) |
Rasshua | ルシ・オ・ア(毛皮が・そこに・豊富にある)など諸説あり | 67 | 948 (幌茶登山) |
47°45' | 153°00' | |
Среднего (スレドネワ) |
Srednego | ロシア語の「スレドネワ(Среднего/間の、中間の)」が変化したとされる | 36 | ||||
Ушишир (ウシシル) |
Ushishir | ウセイ・シル(温泉・大地→温泉のある大地) | 5 | 401 (御笠山) |
47°30' | 152°50' | |
Кетой (ケトイ) |
Ketoy | ケウ・トイ(骸骨・悪い)[8] | 73 | 1172 (計吐夷岳) |
47°20' | 152°30' | |
Симушир (シムシル) |
Simushir | シ・モシリ(大きい・島→大きい島) | 353 | 1539 (冠山) |
47°00' | 151°55' | |
Броутона (ブロウトナ) |
Broutona | 7 | 800 | 46°43' | 150°45' | ||
Чирпой (チルポイ) |
Chirpoy | チリ・オ・イ(小鳥・そこに沢山いる・所→小鳥がそこに沢山いる所)」 北島と南島は、千島アイヌにはそれぞれ レプンモシリ[12]、ヤンケモシリ[13] と呼ばれていた。 |
21 | 691 (硫黄山) |
46°30' | 150°55' | |
Брат Чирпоев[15] (ブラト・チルポエフ) |
Brat Chirpoev | 16 | 749 (知理保以岳) |
46°28' | 150°50' | ||
Уруп (ウループ) |
Urup | ウルプ(紅鱒) | 1450 | 1426 (岩尾山) |
45°50' | 149°55' | |
Итуруп (イトゥルップ) |
Iturup | エトゥ・オロ・プ(岬の・ある・所) | 3200 | 1634 (西単冠山) |
44°50' | 147°50' | |
Кунашир (クナシル) |
Kunashir | クンネ・シリ(黒い・島→黒い島)または キナ・シリ または キナ・シル(草の・島→草の島) (どちらが本当の由来かははっきりとしていない) |
1490 | 1822 (爺爺岳) |
44°05' | 146°00' |
脚注
[編集]- ^ “北方領土問題とは?”. 日本の領土を巡る情勢. 外務省 (2021年3月31日). 2022年1月9日閲覧。
- ^ “米、北方領土問題で日本支持を正式表明”. 日本経済新聞. (2010年11月2日) 2022年1月9日閲覧。
- ^ 「ほろむしろとう」とも読まれる。
- ^ 史料によって名称が多少異なっている。詳細は磨勘留島の項を参照のこと。
- ^ 「はるむこたんとう」とも読まれる。また、加林古丹(かりんこたん)とも言い、由来は「カ・リン・ム・コタン(上・波<泥流>・這う・村→村の上を波<泥流>が這うように流れ下った村)」である。
- ^ 日本語では「らしゅわとう」「らすつあとう」とも読まれる。
- ^ "Расшя"とも。
- ^ 元禄御国絵図、正保御国絵図には島にある谷を「ケトナイ(両岸が骸骨のように聳立(しょうりつ)した渓谷)」との表記したことから島の名前に転じた。
- ^ 「しんしるとう」とも読まれる。
- ^ 島の名前は、1796年(寛政8年)から2年に渡り千島・サハリン沿岸を調査した、
イギリス海軍プロヴィデンス号のブロートン艦長に由来する。アイヌ語では
「マック・アン・ルル(後ろ・ある・潮→後方の潮の中にある島) - ^ 「ちぇるぽいとう」とも読まれる。
- ^ 、レプ・ウン・モシリ(沖・ある・島→沖にある島)を意味する。
- ^ 、ヤ・ウン・ケ・モシリ(陸、又は岸・ある・場所・島→陸の方にあるその島)を意味する。
- ^ 「ちぇるぽいみなみとう」とも読まれる。
- ^ 「チルポイの弟(兄)」の意。