コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

大寺山洞穴遺跡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
大寺山洞穴遺跡
大寺山洞穴遺跡
別名 大寺山洞窟遺跡
所在地 千葉県館山市沼字大和田東
位置 北緯34度58分32.0秒 東経139度51分07.9秒 / 北緯34.975556度 東経139.852194度 / 34.975556; 139.852194座標: 北緯34度58分32.0秒 東経139度51分07.9秒 / 北緯34.975556度 東経139.852194度 / 34.975556; 139.852194
形状 海食洞穴3基
規模 第1洞(開口部×高さ×奥行)5.5×4×30メートル
第2洞 5.2×1.7メートル(奥行き不明)
第3洞 6×3.6×9.3メートル
埋葬施設 舟葬墓
出土品 舟形木棺、土師器・須恵器・短甲・冑・大刀・鉄鏃・耳環・管玉・勾玉
築造時期 古墳時代
史跡 館山市指定史跡「大寺山巌窟墓及び出土品等」
地図
大寺山 洞穴遺跡の位置(千葉県内)
大寺山 洞穴遺跡
大寺山
洞穴遺跡
地図
テンプレートを表示

大寺山洞穴遺跡(おおでらやまどうけついせき)は、千葉県館山市沼にある海蝕洞穴遺跡。館山市指定史跡に指定されている(指定名称は「大寺山巌窟墓及び出土品等」)。

総持院裏庭の、海抜約30メートル前後の海蝕洞穴3基から構成される[1]

概要

[編集]

洞穴のうち第1洞では12基以上の舟形木棺が発見されており、これらの舟形木棺は丸木舟を棺に用いた「船葬」という葬送形式が発見された初めての例である[2]。この洞穴墓から出土した甲冑須恵器などの遺物から、この遺跡が墓として使用されたのは5世紀前半から7世紀後半であると考えられている[3]

立地

[編集]

大寺山洞穴遺跡は、千葉県館山市沼大字大和田東にある総持院の裏手の山にある[4]。この山は標高約30メートルで[5]、約6,000年前の縄文海進の際、波の浸食作用で形成された隆起によりこの高さに海食洞穴がある[1][6]

発掘調査の概要

[編集]

大寺山洞穴の発掘調査は、1956(昭和31)年以降、数回行われてきた[7][8][9][10]

  • 1956年 - 千葉県教育庁文化財課勤務山岡俊明らによる発掘。
  • 1992年 - 千葉大学文学部考古学研究室による測量調査[11]
  • 1993年 - 1998年 - 千葉大学文学部考古学研究室(麻生優、河原純之、岡本東三ら指導)による7次にわたる調査。1996年 - 1998年は、大寺山洞穴遺跡調査会(千葉大学・千葉県教育委員会・館山市教育委員会)による、国庫補助事業による発掘調査[12]

出土品

[編集]

土師器、須恵器などの土器、甲冑、大刀などの鉄製品、三角板革綴短甲三角板革綴衝角付冑などの武具、勾玉管玉、銅製鈴、舟形木棺などが出土されている[11][13][14]

大寺山洞穴遺跡で、木製の出土品が腐敗せずに残った理由として、洞窟内の安定した湿度、砂質土壌が考えられる[11]

文化財

[編集]

館山市指定文化財

[編集]
  • 史跡
    • 大寺山巌窟墓及び出土品等 - 1972年(昭和47年)1月21日指定。

出典

[編集]
  1. ^ a b 発掘調査報告書 1997, p. 2.
  2. ^ 館山市の文化財 2016, p. 64.
  3. ^ 房総の郷土史25 1997.
  4. ^ たてやまスタディ 2013, p. 33.
  5. ^ 図説安房の歴史 2009, p. 33.
  6. ^ 大寺山洞穴遺跡”. 館山市役所ホームページ. 館山市 (2012年4月26日). 2020年2月23日閲覧。
  7. ^ 館山市史 1981, p. 914.
  8. ^ 大寺山洞穴遺跡調査団『館山市大寺山洞穴遺跡発掘調査報告書』千葉県教育委員会、1997年3月。 
  9. ^ 千葉大学文学部考古学研究室『千葉県館山市大寺山洞穴第一次発掘調査概報』千葉大学文学部考古学研究室、1994年3月。 
  10. ^ 「大寺山洞穴遺跡調査の概要」『房総の郷土史』第25巻第41-43号。 
  11. ^ a b c 館山湾の洞窟遺跡 2010, p. 45.
  12. ^ 館山湾の洞窟遺跡 2010, pp. 45–47.
  13. ^ 図説安房の歴史 2009, p. 32.
  14. ^ Graphルックたてやま13 1997, pp. 10–12.

参考文献

[編集]
  • 大寺山洞穴遺跡調査団/編 編『館山市大寺山洞穴遺跡発掘調査報告書』千葉県教育委員会、1997年3月。 
  • 館山市史編纂委員会/編著 編『館山市史』国書刊行会、1981年5月。 
  • 千葉県郷土史研究連絡協議会(編)「大寺山洞穴遺跡調査概要」『房総の郷土史』第25号、千葉県郷土史研究連絡協議会、1997年3月。 
  • 館山市教育委員会、館山市文化財保護協会/編 編『館山市の文化財』館山市教育委員会、2016年3月。 
  • 館山市教育委員会生涯学習課編/編 編『たてやまスタディ:知って得する館山ガイド』館山市教育委員会、2013年3月。 
  • 天野努・高梨友子/監修 編『図説安房の歴史』郷土出版社〈千葉県の歴史シリーズ〉、2009年12月。ISBN 978-4-86375-053-1 
  • 館山市立博物館/編 編『館山湾洞窟遺跡:棺になった舟。黄泉の国への憧憬』館山市立博物館、2010年2月。 
  • 『Graphルックたてやま』第13号、館山市役所、1997年7月。 

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]