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大日本軌道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
大日本軌道株式会社
Dai-Nippon Light Railway Co., Ltd.
種類 株式会社
略称 大軌[注 1]
本社所在地 東京府東京市京橋区築地3丁目[1]
支社所在地 小田原支社
神奈川県足柄下郡小田原町[1]
伊勢支社
三重県津市山元馬場屋敷[2]
熊本支社
熊本県熊本市宮内町[2]
設立 1908年(明治41年)7月28日[3]
解散 1920年(大正9年)7月1日[4]
業種 鉄軌道業
事業内容 旅客鉄道事業
代表者 社長 雨宮豊次郎[1]
小田原支社長代理 保坂良澄[2]
伊勢支社長 若原鐐太郎[2]
熊本支社長 犬飼真平[2]
歴代社長 雨宮敬次郎(初代社長)
雨宮亘(2代社長)
公称資本金 3,000,000円[1]
特記事項:上記データは1920年(大正9年)現在[1]
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大日本軌道(だいにっぽんきどう、英文社名:Dai-Nippon Light Railway Co., Ltd.[5][6][注 2])は、甲州出身の実業家雨宮敬次郎が経営していた軽便鉄道会社。「大軌」とも略される[注 1]

概要

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1906年明治39年)に公布された鉄道国有法によって、これまで雨宮敬次郎が投資してきた鉄道事業は地方交通が対象になると見て1908年(明治41年)に設立された。

1911年(明治44年)1月に雨宮が死去し、各支社は独自色を強めつつも、1910年(明治43年)8月軽便鉄道法施行後の流行の波に乗り、全国規模で地方中小都市近郊に地元小資本家からも出資を募りながら軽便鉄道を建設した。

また、鉄工部では主に小型蒸気機関車の製造を行なっていた。1919年大正8年)に、それを母体に雨宮製作所が発足した。なお各支社の路線のうち過半数は廃線となったが、静岡、浜松、広島支社の路線は改軌電化などの変遷を経て、今もなお営業中である。各支社のその後は以下の通り。

福島支社 信達軌道→福島電気鉄道→福島交通飯坂東線1971年(昭和46年)廃止[注 3]
小田原支社 熱海軌道組合を経て1924年(大正13年)廃止。もと熱海鉄道
静岡支社 駿遠電気→静岡電気鉄道→静岡鉄道静岡清水線(営業中)
浜松支社 遠州軌道→遠州電気鉄道→遠州鉄道鉄道線(営業中)
伊勢支社 中勢鉄道を経て1943年(昭和18年)廃止。
広島支社 可部軌道→広島電気→広浜鉄道→国有化JR可部線(営業中)
山口支社 1913年(大正2年)廃止。国鉄山口線開業に伴う。
熊本支社 鹿本軌道を経て1920年(大正9年)廃止。もと熊本軽便鉄道

沿革

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1918年に鉄工部が製造したケ90。銘板に「大日本軌道會社製造」とある。(リニア・鉄道館

脚注

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注釈

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  1. ^ a b 大阪電気軌道近畿日本鉄道の前身)の略称も「大軌」と称していたが、大日本軌道とは全く無関係の会社である。
  2. ^ 社名の英訳としては「Dai-Nippon Tram Co.[7]」とする例もみられる。
  3. ^ 現存する飯坂線は大日本軌道由来ではない。

出典

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  1. ^ a b c d e 『日本全国諸会社役員録. 第28回』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  2. ^ a b c d e 『日本全国諸会社役員録. 第28回』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  3. ^ a b 『官報』1908年8月19日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  4. ^ a b 『官報』1921年3月2日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  5. ^ 『全国銀行会社決算報告集 : 英和対照 41年度 下半期』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  6. ^ 湯口徹「カタログに見る〈雨宮〉車」『鉄道史料』No. 155、鉄道史資料保存会、2018年1月、32頁。 龍崎鉄道2号機銘板写真)
  7. ^ 『全国公債社債明細表 大正7年』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  8. ^ 『日本全国諸会社役員録. 明治41年』(国立国会図書館デジタルコレクション)より
  9. ^ 『日本全国諸会社役員録. 明治42年』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  10. ^ 雨宮敬次郎没す 明治44年1月22日東京朝日新聞『新聞集成明治編年史. 第十四卷』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  11. ^ 『鉄道院年報. 明治42年度』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  12. ^ 備考欄『鉄道院年報. 大正4年度』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  13. ^ 12月20日許可「軌道敷設特許権譲渡」『官報』1917年12月21日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  14. ^ 2月18日許可「軌道敷設特許権譲渡」『官報』1919年2月21日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  15. ^ 5月23日許可「軌道敷設特許権譲渡」『官報』1919年5月24日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  16. ^ 『日本全国諸会社役員録. 第28回』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  17. ^ 10月3日許可「軌道敷設特許権譲渡」『官報』1919年10月6日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  18. ^ 2月18日許可「軌道敷設特許権譲渡」『官報』1920年2月20日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  19. ^ 7月1日許可「軌道敷設特許権譲渡」『官報』1920年7月7日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  20. ^ 「軌道特許失効」『官報』1921年1月20日(国立国会図書館デジタルコレクション)

参考文献

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  • 岡本憲之『軽便鉄道時代―北海道から沖縄まで“せまいせんろ”の軌跡』JTBパブリッシングキャンブックス〉、2010年2月1日。ISBN 978-4533077562 
  • 中川浩一ほか『軽便王国雨宮』丹沢新社、1972年1月15日https://dl.ndl.go.jp/pid/11956980 (国立国会図書館デジタルコレクション)

関連項目

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