大気リンク層を用いた地域的ブロードキャスト
大気リンク層を用いた地域的ブロードキャスト(たいきりんくそうをもちいたちいきてきブロードキャスト)は、大気に航空機のスモークで文字を書くことによってIPデータグラムのブロードキャストを行う通信プロトコルである。
このプロトコルは2011年のエイプリルフールにRFC 6217として発行されたジョークRFCで提案された[1]。
概要
[編集]このプロトコルは、大気を伝送媒体として複数のローカル・エリア・ネットワーク向け、あるいはメトロポリタン・エリア・ネットワーク向けのブロードキャスト伝送をする方法を提案している。
具体的には、送信者は航空機のスモークで空に文字を描き、受信者はそれを光学的にスキャンすることで伝送を行う。広範囲な受信者を対象に効率的に伝送できる配信方法である。
本プロトコルの特徴として、天候や日照条件などにより、通信が制限されることがある。また、表示したデータグラムは時間が経つにつれ符号誤り率が急激に上昇する。受信側が様々な理由から受信できないことがあるため、この配信方法はベストエフォート型となる。
プロトコル詳細
[編集]物理層
[編集]高度 7000 - 17000フィート(2133 - 5181メートル)の大気を伝送媒体として使用してデータグラムを表示する。伝送媒体には、局所的に微小な残留物や微量元素が存在することがあるが、たいていの場合にはブロードキャストに影響することは少ない。
表示方法は、ドットマトリクスに似た「skytyping」方式を利用する。
データリンク層
[編集]データリンク層は隣接するノード間のデータグラム伝送に関係するものである。本プロトコルではブロードキャスト伝送のみをサポートするため、データリンク層は不要である。
ネットワーク層
[編集]ネットワーク層のプロトコルは任意のものを使用してよいが、以下の方法を推奨する。
IPv4およびIPv6のヘッダ構造に含まれるフィールドで本プロトコルには不要な項目を除外すると、以下のようなデータグラムとなる。
Content | Source |
- Content:高次のプロトコルのカプセル化を含む可変長フィールド。
- Source: メッセージの送信者。IPアドレス、電話番号、メールアドレス、URI、住所のいずれか。
このプロトコルを ADVERT(Asynchronous Dumb Visual Exchange of Raw Transmissions)プロトコルと呼ぶ[注釈 1]。
トランスポート層
[編集]トランスポート層についても任意のプロトコルを使用してよいが、以下の方法を推奨する。
TCPヘッダに含まれているフィールドについても本プロトコルには不要な項目が多くあり、伝送するデータがプレーンテキストであり人間が見て判断する場合には、トランスポート層のプロトコルを用いないで直接 ADVERTプロトコルに埋め込むことを推奨する。
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コンピュータに受信させることを意図したメッセージ(バイナリコンテンツなど)については、トランスポート層のプロトコルとして TCP よりもコンパクトな UDP の使用を推奨する。その場合には、UDPのポート、長さ、チェックサムを10進数(先頭ゼロサプレスを行う)で、データ本体をBase64でエンコードすべきである。
Src Port | Dst Port |
Length | checksum |
Data | |
Source Address |
0 | 80 |
24 | 62670 |
R0VUIC8gSFRUUC8xLjENCg0K | |
203.0.113.8 |
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ Regional Broadcast Using an Atmospheric Link Layer (英語). 1 April 2011. doi:10.17487/RFC6217. RFC 6217。
注釈
[編集]- ^ 英語で Advert は広告の意味
関連項目
[編集]- en:Skywriting - skytyping あるいは skywriting とよばれる航空機のスモークで文字を書く方法
- 鳥類キャリアによるIP
- 手旗信号システムによるIP伝送
- 音響伝送メディアによるIP伝送