太洋社 (出版取次)
種類 | 株式会社 |
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本社所在地 |
日本 〒112-8540 東京都千代田区外神田6-14-3 神田KSビル |
本店所在地 |
〒104-0061 東京都中央区銀座2-2-20 |
設立 | 1953年8月 |
業種 | 卸売業 |
法人番号 | 9010001049176 |
事業内容 | 出版取次 |
代表者 | 破産管財人 深山雅也 |
資本金 | 1億8,000万円 |
売上高 | 442億4,400万円 |
従業員数 | 251名 |
外部リンク | http://www.taiyosha.co.jp/ |
特記事項:2016年3月15日に破産手続開始 2023年6月23日法人格消滅(清算の結了等) |
株式会社太洋社(たいようしゃ、英: TAIYOSHA CO.LTD) は、かつて東京都千代田区に本社を置いていた出版物専門商社(出版取次)。
概要
[編集]- 1953年8月 - 創立
- 2016年2月5日 - 取引先に対して自主廃業を通知[1]。
- 2016年3月15日 - 自主廃業を断念、東京地方裁判所に破産を申請し、即日開始決定を受ける[2]。
- 2017年12月22日 - 法人格消滅[3]。
S企画(旧:芳林堂書店)に対する売掛金12億円の内3億円相当は在庫品の換金処分で回収し、約1億円に関しては担保物件の処分で回収したものの、残り8億円に関して破産の為回収のめどが立たず資金計画に齟齬を来した模様。 営業継続する書店の96.5%の仕入れ先変更に関して目途がついたため、これ以上出来る方法が無いとして3月1日付で各出版社に納品停止を要請し、3月15日自己破産を申請した。しかし帳合い変更に伴う売掛金約2億円の回収のめどが立っていない[4]。
太洋社とその主要取引先の芳林堂書店は、もたれ合いの関係を続けた結果、太洋社が回収できない債権が生まれた。このため、帳合変更は難しく、芳林堂書店は事業継続が難しくなった。リスク分散の無いシェア拡大の失敗例と言える[5]。
書籍・雑誌・教科書・ステーショナリーなどの取次販売を手がけており、中でも「コミックの太洋社」と称されるように漫画関連に強みをもっていた[6]。ピーク時の2005年6月期に年売上高約486億6721万円を計上しており、取引店舗数は1200店にまで拡大していたが、バブル崩壊以降の出版不況の影響や、取次業者との競争が激化した影響で取次業者を変更した書店も相次ぎ[4]、ネット通販・電子書籍の普及を受けて得意先の中小書店への売上が落ち込み、取扱出版物も次第に減少、業績が低迷し赤字が散発するようになっていた[2]。2015年6月期には171億円とピーク時の3分の1程度にまで売上高が減少[5]。
自主廃業による影響
[編集]自主廃業の通知に伴い、以下のように複数の書店が廃業・破産に追い込まれている。鈴木書店(後のJRC)や栗田出版販売など、過去の取次業者の倒産時にはこのような事象は発生しておらず、その特異性が話題となっている[7][8][9]。中小の書店では他の取次業者との新規取引開始の交渉がまとまらず(大手取次業者は一定の規模がある書店しか取引しない)、廃業に至った書店もある他[10]、日本雑誌販売と取引を開始した書店も、日本雑誌販売が2019年6月に事後処理を弁護士に一任したことから、再度他の取次業者との新規取引開始の交渉に迫られている[11][12]。
- 連鎖倒産した企業
- S企画(旧:芳林堂書店、東京都豊島区) - 有利子負債が増加した他に、書店事業の売上低下で資金繰りが悪化し、2016年1月に太洋社から取引停止を通告される。太洋社の自主廃業の通知後に会社名を芳林堂書店からS企画に変更。2016年2月23日に店舗事業を書泉へ譲渡する契約を締結し、譲渡された店舗は(新)芳林堂書店として営業を継続し、外商部も2016年2月26日に書泉が「株式会社芳林堂書店外商部」を設立して独立。S企画は2016年2月26日に東京地方裁判所から破産手続開始決定を受け[13][14][15]、2017年4月に法人格消滅[16]。
- 興文堂書店・高知出版販売(高知県高知市) - 2016年3月17日に高知地方裁判所へ破産を申請し[17]、同年4月21日に破産手続開始決定[18]。
- 書籍の店頭販売から撤退した書店
- 廃業した書店
決算
[編集]- 新文化通信社 ニュース特集「決算」 太洋社 による。
決算期(期間) | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
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第62期(2014年7月1日 – 2015年6月30日) | 171億2100万円 | ▲7億1500万円 | ▲7億0900万円 | ▲8億2300万円 |
第61期(2013年7月1日 – 2014年6月30日) | 245億0600万円 | ▲1億7500万円 | ▲7300万円 | 1億5200万円 |
第60期(2012年7月1日 – 2013年6月30日) | 252億5000万円 | ▲2億0900万円 | ▲2億9600万円 | ▲2億7900万円 |
第59期(2011年7月1日 - 2012年6月30日) | 353億6070万円 | ▲1億4300万円 | ▲3億1880万円 | ▲5億4180万円 |
第58期(2010年7月1日 - 2011年6月30日) | 389億2300万円 | ▲1億1200万円 | ▲2億9900万円 | ▲1億8400万円 |
第57期(2009年7月1日 - 2010年6月30日) | 400億3434万円 | 66万円 | ▲1億3806万円 | 5億2595万円 |
第56期(2008年7月1日 - 2009年6月30日) | 418億8700万円 | 1億0670万円 | 949万円 | 5900万円 |
第55期(2007年7月1日 - 2008年6月30日) | 442億4400万円 | ▲5500万円 | ▲1億2200万円 | ▲8000万円 |
第54期(2006年7月1日 - 2007年6月30日) | 475億1230万円 | ▲1520万円 | ▲1億5350万円 | ▲6億0160万円 |
第53期(2005年7月1日 - 2006年6月30日) | 482億7400万円 | 7700万円 | ▲7900万円 | ▲4500万円 |
第52期(2004年7月1日 – 2005年6月30日) | 486億6700万円 | ▲4648万円 | ▲1億2183万円 | ▲7800万円 |
第51期(2003年7月1日 - 2004年6月30日) | 468億3898万円 | ▲1億0049万円 | ▲1億5438万円 | 6231万円 |
第50期(2002年7月1日 - 2003年6月30日) | 451億6600万円 | 1億1400万円 | 7060万円 | 2700万円 |
脚注
[編集]- ^ “(株)友朋堂書店”. 東京商工リサーチ (2016年2月12日). 2016年2月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月25日閲覧。
- ^ a b “(株)太洋社”. 東京商工リサーチ (2016年3月15日). 2016年3月15日閲覧。
- ^ 太洋社 国税庁法人番号公表サイト
- ^ a b ご報告とお詫び 太洋社 2016年3月15日
- ^ a b 藤森徹『あの会社はこうして潰れた』日本経済新聞出版社、2017年4月10日初版、191-194頁、 ISBN 9784532263379。
- ^ 「コミックの太洋社」と呼ばれた出版取次業者・太洋社が自主廃業を視野に,ITmedia,2016年2月5日
- ^ 芳林堂も破産、書店閉店が止まらない日本--書店復活の米国との違いとは? - CNET Japan・2016年2月26日
- ^ 太洋社の自主廃業に連鎖した書店の倒産・休廃業調査 - 東京商工リサーチ・2016年2月26日
- ^ 太洋社に連鎖した書店の倒産・休廃業調査 - 東京商工リサーチ・2016年3月15日
- ^ a b TSR速報 八重州書店(個人企業) 東京商工リサーチ 2016年2月29日
- ^ TSR速報 日本雑誌販売(株) 東京商工リサーチ 2019年6月10日
- ^ 成人誌が街から消滅危機、大手コンビニも扱い中止へ 東京商工リサーチ 2019年7月16日
- ^ TSR速報(株)芳林堂書店 東京商工リサーチ 2016年2月26日
- ^ TSR速報 (株)S企画(旧:(株)芳林堂書店) 東京商工リサーチ 2016年3月7日
- ^ 株式会社芳林堂書店 破産手続き開始決定受ける - 帝国データバンク・2016年2月26日
- ^ S企画 国税庁法人番号公表サイト
- ^ 大型倒産速報 興文堂書店ほか1社 東京商工リサーチ 2016年4月1日
- ^ 追報:高知出版販売(株)(高知)/破産手続き開始決定 JC-net. 2016年5月10日
- ^ 昼間たかし (2016年2月23日). “大手書店にも経営危機のウワサが……太洋社の自主廃業をめぐり、日本の書店と出版社の苦難は終わらない”. おたぽる. サイゾー. 2016年2月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月25日閲覧。