コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

姦の忍法帖

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
姦の忍法帖
著者 山田風太郎
発行日 1967年
ジャンル 時代小説
形態 文学作品
前作 〆の忍法帖
ウィキポータル 文学
[ ウィキデータ項目を編集 ]
テンプレートを表示

姦の忍法帖』(かんのにんぽうちょう)[1]は、山田風太郎の時代小説。1967年に発表された忍法帖シリーズ中編小説。『オール読物』(文藝春秋)1967年11月号に掲載された。

物語

[編集]

慶安年間、将軍の気まぐれ、思いつきで 「矛(ほこ)VS盾(たて)」をはじめ、攻めと守りの強弱を競う御前試合が行なわれた。軍学者の由井正雪が、審判および進行役を務める。

登場人物

[編集]

大名

[編集]
  • 天童 出羽守(てんどう でわのかみ) - 天童藩主[2]
  • 那智 熊野守(なち くまののかみ) - 熊野藩主[3]
  • 五条 大和守(ごじょう やまとのかみ) - 五条藩主[4]
  • 筑摩 信濃守(ちくま しなののかみ) - 筑摩藩主[5]
  • 更科 諏訪守(さらしな すわのかみ) - 更科藩主[6]
  • 信夫 岩代守(しのぶ いわしろのかみ) - 信夫藩主[7]
  • 島原 天草守(しまばら あまくさのかみ) - 天草藩主[8]
  • 出雲崎 越後守(いずもざき えちごのかみ) - 出雲崎藩主[9]
  • 信楽 近江守(しがらき おうみのかみ) - 信楽藩主[10]
  • 剣山 阿波守(つるぎやま あわのかみ) - 剣山藩主[11]

忍者

[編集]
  • 甲賀 兵四郎(こうが へいしろう) - 公儀甲賀組組頭の息子。
  • おまみ - 四谷伊賀町組屋の敷頭領の妹。

その他

[編集]
  • 由比正雪(ゆい しょうせつ) - 軍学者。号を張孔堂と称す。牛込榎坂に道場を開き「軍学兵法」を教授している。
  • 松平信綱(まつだいら のぶつな) - 幕府老中
  • 将軍 - 御前試合の主催者[12]

試合に出場の武器

[編集]

攻撃側

[編集]

防禦側

[編集]

特徴

[編集]
  • 作中に登場する外様大名が、みな架空の人物である。
  • なぜ「姦(よこしま)」な忍法帖なのかは、最後に判明する。

書誌情報

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ 「姦」の読みは、単行本や雑誌によっては「みだら」「よこしま」などの場合があるが、短編全集の「ちくま文庫」では「かん」とふりがながつけられている。
  2. ^ 史実では、天童氏は天正12年(1584年)最上義光に滅ぼされた。天童藩の成立は織田氏の入部から
  3. ^ 史実では、熊野和歌山藩紀伊徳川家の所領。また「熊野守」の官名は存在しない(郡司では「牟婁大領」など)。
  4. ^ 史実では、五条氏は柳河藩立花家の重臣。
  5. ^ 江戸時代の筑摩の読みは「つかま」が多かったが、明治維新時に「ちくま」に変更された。筑摩神社(つかまじんじゃ)は例外。
  6. ^ 律令制初期にあった「諏訪国」は、江戸時代には信濃に含まれており、「諏訪守」を名乗る大名は存在しない。
  7. ^ 史実では、陸奥国信夫伊達二郡は米沢藩上杉家の所領。上杉重臣である福島城の本庄氏・芋川氏らが統治した。また「岩代国」が復活するのは明治になってからである。
  8. ^ 史実の律令制で「天草守」の官名は存在しない。
  9. ^ 史実では、「越後守」は松平家越後中将家)の独占。
  10. ^ 史実では、信楽(多羅尾)氏は信楽(幕府領)などの代官。
  11. ^ 史実では、剣山は徳島藩蜂須賀家の所領。
  12. ^ 作中での記述はないが、徳川家光と思われる(ちくま文庫「姦の忍法帖」解説)。