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学園特捜ヒカルオン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
学園特捜ヒカルオン
ジャンル SFアクション
OVA
原作 越智一裕
監督 越智一裕
脚本 越智一裕
キャラクターデザイン 越智一裕
音楽 渡辺宙明
アニメーション制作 AIC
製作 ネットワーク
発売日 1987年1月28日 (VHS/β)
2022年10月12日 (BD)
収録時間 30分
話数 全1話
テンプレート - ノート
プロジェクト アニメ
ポータル アニメ

学園特捜ヒカルオン』(がくえんとくそうヒカルオン)は、1987年1月28日にエモーション(現:バンダイビジュアル)からビデオカセット (VHS/β) で発売されたOVA。30分。

概要

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本作は、OVAブーム中の当時における大人の特撮ファンにも大人気だった宇宙刑事シリーズへのオマージュリスペクトの濃い[1]、学園SFアクション作品である[注 1]。ただし、エモーションのヤングアダルト向けレーベル「C-MOON」向けに制作された[注 2]ことから、子供向けでもある原典では描けないレベルの暴力描写や出血描写のほか、主人公・四方堂光のパートナーにしてヒロインの美女教師・葉月あづみがチンピラたちに襲われて衣服を破られるといった、性的暴行調のエロ描写も盛り込まれている。

原作脚本絵コンテ作画監督など大半の主要役職は、宇宙刑事シリーズの大ファンであるアニメーター越智一裕が担当した。音楽は宇宙刑事シリーズと同じく渡辺宙明が担当した(詳細は#LPレコードを参照)ほか、主題歌も同じく串田アキラが担当した。また、声優も敵・妖魔獣役は宇宙刑事シリーズの悪役で知られる飯塚昭三が担当した。

越智によれば、光役の声優だけはベテランから新人まで10人ほどが参加したオーディションを経て、本作が初主役となる当時新人の関俊彦が起用された[2]。このオーディションには水島裕も参加しており、上手さでは当時ベテランの彼が一番だったが、主役は新人でという視点から関の起用になったそうである[2][注 3]。また、本作は高山みなみの声優デビュー作でもあり、女子生徒役で出演している[2][注 4]。音響制作は、当時81プロデュースの代表者であった中野徹が担当した[2]

アイキャッチに映っている実写キャラクターは、越智が『アニメージュ増刊 ザ・モーションコミック』に連載していた漫画『ひらきなおってマイヒーロー』[4]の主人公・宇宙戦士ギャリバン[注 5]であり、本作に登場する超人戦士ヒカルオンのデザインベースにもなっている[2]。越智の自主映画用に制作されたこのスーツは彼自身が着ており[注 6]、撮影は本作の原画にも参加している亀垣一が担当した[2][注 7]

ストーリーは(宇宙刑事シリーズを熟知している人向けの)駆け足となっており、金田伊功山下将仁田村英樹大平晋也といった個性的な絵柄や動かし方で知られたアニメーターが多数参加しているため、前述のエロ描写と併せてアクションシーンでは原画マンの個性が強く発揮されている。また、原画マンには漫画家・那州雪絵[注 8]や、アニメーター当時のいのまたむつみも名を連ねている。

1988年3月30日にはよみうりテレビ(『アニメだいすき!』枠)[8]にて、後年にはAT-X[9]にてそれぞれテレビ放送された。

VHS/β版の発売後にLD化された(初回版:NRAL-1004、廉価版:BEAL-1187)ものの、それ以降は長らく再販はおろかDVD化もされず絶版状態にあったが、2022年10月12日には35ミリネガフィルムからの5Kスキャンマスターを用いたBD版が東映ビデオから発売された[1][注 9]

ストーリー

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主人公の高校生・四方堂光は悪の犯罪組織「ウラー」を倒すため、パートナーの美女教師・葉月あづみと共に影の科学捜査組織「学園特別捜査委員会」の一員としての正体を隠しながら戦っている。そんな光とあづみが生徒の相次ぐ自殺に不審を持って私立凌徳学園高等学校へ編入してまもなく、あづみは人外の力を発揮するチンピラたちに襲われ、女子高生・椎名弥生と共にウラーのもとへ囚われてしまう。あづみと弥生を救うため、光はファイティングスピリッツ・スーツを装着して超人戦士ヒカルオンとなり、彼女たちのところへ向かう。

キャスト

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スタッフ

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主題歌

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「裂空! 学園特捜ヒカルオン」
作詞 - 越智一裕 / 作曲・編曲 - 渡辺宙明 / 歌 - 串田アキラ金子久美
越智によれば、作詞は厳密には渡辺との共作であり[13]、越智の書いた元詞を渡辺が組み替えた1番を元に越智が2番以降を書いて詞を完成させたという[注 10]。また、後年にキッズステーションにて放送された音楽番組『アニぱら音楽館』でのインタビューによれば、串田は本曲がデュエットになるとは思わずに録音したため、完成した曲の出だしを聴いて金子の歌声が流れてきたことに驚いたそうである[16]。後述のLPレコードには、1番が金子のソロ、2番が串田のソロ、リピートが金子と串田のデュエットでそれぞれ収録されている[17]
なお、LPレコードのライナーノートでは「裂空! 学園特捜ヒカルオン -テーマ オブ ヒカルオン-」と表記されており[17]、後年でも同様に表記されているもの[注 11]があるが、越智は「『-テーマ オブ ヒカルオン-』は付かない形が正しい」と明言している[20]。また、プロレスラーのミステル・カカオによれば、2009年に開催された串田の40周年記念ライブ「夢中者」で本曲が披露された際には、ものまねタレント桜井ちひろが金子パートの歌唱を担当していたという[21]

LPレコード

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『裂空! 学園特捜ヒカルオン』[17]
1987年1月21日リバスターレコードから発売された。BGM全15曲や主題歌「裂空! 学園特捜ヒカルオン」に加え、OVAボディジャック 楽しい幽体離脱』の主題歌「夜に泣いて」がスペシャルボーナスとして収録されている[17]
録音は、アバコスタジオと山中湖スタジオ[注 12]にて、3日間に渡って行われた[17]越智一裕によれば、当初は渡辺宙明を起用する予定ではなかったリバスターを越智が説得して渡辺の起用に漕ぎ着けたうえ、「夜に泣いて」についてもリバスターの指示で本作の主題歌として用いられるところを越智が策を講じて阻止した結果、渡辺による「裂空! 学園特捜ヒカルオン」の作曲や串田アキラの起用が実現した[13]金子久美の起用についてもリバスターの指示だったため、越智は当初こそ否定的だったが、アバコスタジオにて目の当たりにした金子の歌唱力に驚いて考えを改め、彼女の担当した1番をエンディングに起用した[13]。「夜に泣いて」が本盤に収録されているのは、その名残りだそうである[13][注 13]
なお、2016年4月27日日本コロムビアから発売された渡辺の卒寿記念アルバム『渡辺宙明 卒寿記念 〜SELF SELECTION & MORE〜』には本作の楽曲も復刻収録されているが、マスターテープが現存していなかったため、LPレコードからのマスタリングとなっている[24]

脚注

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注釈

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  1. ^ 当時は多くのファンが同人やコスプレ、自主映画などでオリジナルの宇宙刑事を作っており、本作にもプロの手による二次創作(パロディ)という側面がある。
  2. ^ そのため、VHS/β版やLD版の紙パッケージのタイトルロゴには、「C-MOON」のシリーズ名とボリューム名「PINK NOISE SERIES VOL.2」も冠されている。
  3. ^ 後年、関はアニメ雑誌『アニメディア』2021年7月号(イード)によるインタビューに、幼少期に『仮面ライダー』を観ていた自分にとって本作はとっつきやすかったうえ、新人の自分を声優として育ててくれた恩人でもある藤山房伸が本作でも音響監督を担当していたからこそ、光を頑張って演じられたとの旨を答えている[3]
  4. ^ その後、越智が制作したPCエンジンゲーム『コズミックファンタジー』では高山が主人公・ユウ役で、水島がライバル・シルフ役で、2作目の『コズミックファンタジー2』では関が主人公・バン役で出演している。
  5. ^ 日本物産アーケードゲームコスモポリス ギャリバン』の主役ヒーローとは同名の別人。
  6. ^ 越智が自身のTwitterにて明かしたところによれば、電飾を仕込んだ面は視界なしで、現像してみたら使える写真は少なかったという[5]
  7. ^ 越智が自身のTwitterにて明かしたところによれば、当時スタジオNo.1が入っていた練馬区のマンション脇の私道にて撮影したという[6]
  8. ^ 越智が自身のTwitterにて明かしたところによれば、那州はキャラクターの私服デザインも担当してくれたという[7]
  9. ^ 越智が自身のTwitterにて明かしたところによれば、フィルム原版が35ミリだったことは今まで知らなかったという[10]。なお、BD版のジャケット画については、子供に誤って観られることを防ぐためにVシネっぽさを意識した[11]ほか、ジャケットがDVDのトールケースサイズである理由については、自分のジャケット画は横長構図のものが多いこと、BDのケースサイズは小さいので好きではないこと、封入される解説書のサイズを少しでも大きくしたかったことを、それぞれ挙げている[12]
  10. ^ 2022年6月23日に渡辺が死去した際、越智は自身のTwitterにて『裂空! 学園特捜ヒカルオン』のジャケットと本曲の歌詞の画像を挙げ、渡辺への追悼と感謝を述べている[14]。また、渡辺の死去当日がBD版の情報解禁日直前だったこともあり、越智は発売後にも特典CDの画像を挙げて追悼を述べている[15]
  11. ^ 串田のアルバム『串田アキラ BEST 〜Feel So Nice〜』[18]エクシングの通信カラオケ「JOYSOUND[19]など。
  12. ^ サウンドビレッジの敷地内に存在していた、ビクター音楽産業録音スタジオ[22]
  13. ^ この一連の件について、ムック『アニメディスクガイド80's レコード針の音が聴こえる』(河出書房新社)による本盤の紹介ページでは、現場の折衷案として芸能界の闇を感じさせるとの旨が述べられている[23]。なお、BD版の特典CDに「夜に泣いて」は収録されておらず、代わりに「裂空! 学園特捜ヒカルオン」のオリジナル・カラオケが収録されている[15]

出典

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  1. ^ a b “越智一裕の宇宙刑事愛が炸裂!『学園特捜ヒカルオン』がBlu-rayで復活”. アニメージュプラス (徳間書店). (2022年6月30日). https://animageplus.jp/articles/detail/45137 2022年7月5日閲覧。 
  2. ^ a b c d e f (cache) 昔話-その25-: 漫画映画家@越智一裕のblog(ウェブ魚拓2009年5月18日分キャッシュ)
  3. ^ 『アニメディア』2021年7月号、イード、2021年6月10日、78頁。 
  4. ^ ■コミックワークスリスト”. まんが映画家@越智一裕のblog. 2016年11月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月24日閲覧。
  5. ^ @kazuhiro_ochiの2022年6月30日午後5:16のツイート2022年7月5日閲覧。
  6. ^ @kazuhiro_ochiの2022年8月12日午前4:45のツイート2022年7月5日閲覧。
  7. ^ @kazuhiro_ochiの2022年6月30日午前10:36のツイート2022年7月5日閲覧。
  8. ^ 諏訪道彦 (2020年7月13日). “アニメだいすき!4”. すわっち日記. note. 2022年1月19日閲覧。
  9. ^ 学園特捜ヒカルオン”. AT-X. エー・ティー・エックス. 2022年1月19日閲覧。
  10. ^ @kazuhiro_ochiの2022年6月30日午前10:24のツイート2022年7月5日閲覧。
  11. ^ @kazuhiro_ochiの2022年6月30日午前10:43のツイート2022年7月5日閲覧。
  12. ^ @kazuhiro_ochiの2022年10月11日午後8:15のツイート2022年10月14日閲覧。
  13. ^ a b c d (cache) 昔話-その24-: 漫画映画家@越智一裕のblog(ウェブ魚拓2009年5月18日分キャッシュ)
  14. ^ @kazuhiro_ochiの2022年6月27日午後11:58のツイート2022年7月5日閲覧。
  15. ^ a b @kazuhiro_ochiの2022年10月12日午後0:23のツイート2022年10月14日閲覧。
  16. ^ ゲストインタビュー #277「串田アキラ40周年記念特番”. アニぱら音楽館. キッズステーション. 2013年2月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月24日閲覧。
  17. ^ a b c d e 裂空! 学園特捜ヒカルオン〈オリジナルサウンドトラック〉[15RL0013]”. まんだらけオークション. まんだらけ. 2022年5月24日閲覧。
  18. ^ “「串田アキラ」のアニメソング人気ランキングTOP24! 1位は「疾風ザブングル」に決定!【2022年最新投票結果】”. ねとらぼ調査隊 (アイティメディア): p. 4. (2022年8月22日). https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/864592/4 2022年10月14日閲覧。 
  19. ^ 裂空!学園特捜ヒカルオン -テーマ オブ ヒカルオン-/串田アキラ・金子久美”. JOYSOUND.com. エクシング. 2022年10月14日閲覧。
  20. ^ 越智一裕による2021年9月20日のツイート2022年1月19日閲覧。
  21. ^ <試合写真集>です!”. ミステル・カカオの日記 (2009年11月1日). 2022年5月24日閲覧。
  22. ^ リンク”. Sound Village. 2002年6月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月24日閲覧。
  23. ^ 『アニメディスクガイド80's レコード針の音が聴こえる』河出書房新社、2021年3月15日、244頁。 
  24. ^ 渡辺宙明 卒寿記念 〜SELF SELECTION & MORE〜”. 日本コロムビアオフィシャルサイト. 日本コロムビア. 2022年5月24日閲覧。

外部リンク

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