対空レーダ装置 JTPS-P14
開発・運用史 | |
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開発国 | 日本 |
就役年 | 1988年 |
別名 | P-14 |
送信機 | |
周波数 | Sバンド |
アンテナ | |
形式 | フェイズド・アレイ・アンテナ |
その他諸元 | |
重量 | 約4,000kg |
体積 |
6,000mm×2,400mm×2,500mm (全長×全幅×全高) |
対空レーダ装置 JTPS-P14(たいくうレーダそうち ジェイティーピーエスピーじゅうよん)は、陸上自衛隊の装備。
概要
[編集]対空警戒用のレーダー装置として高射特科部隊に配備される。三菱電機が開発・製造している。
特徴
[編集]中高度から高高度より侵入する敵を探知するためのものである。71式対空レーダ装置 JTPS-P5の後継として1988年度から配備が始まった。配備先は、主として師団・旅団隷下の高射特科大隊、本部管理中隊であり、師団・旅団の野戦防空における主たるセンサーとなる。なお、強力な探知能力と引き換えに機動力に欠け、また、低空域での探知能力にもやや不足があることから、より小型で機動性に優れ、低高度に重点をおいたJTPS-P9やJTPS-P18と組み合わされるかたちで運用されることが多い。
通常73式大型トラックに搭載されるが、地上に器材を降ろして使用することもできる。移動時はアンテナを倒しているが、使用時はフェイズド・アレイ・アンテナを立てて使用する。地上設置時は、固定脚を伸ばして機器を安定させる。なお、表示方式はPPI・RSI方式である。また、本体のほかに電源車が必要となっており、その諸元は115V・60Hz・10kVAである。
なお探知距離については正確な数値は不明であるが、2010年4月29日に行われた下志津駐屯地創設55周年記念行事の展示にて、下志津から仙台や名古屋上空の航空機を探知可能(双方とも下志津から約300kmの距離)と解説されている。
2020年8月、フィリピン空軍の防空レーダーとして三菱電機が開発・製造する固定式レーダー3基と移動式レーダー1基の輸出契約が成立した[1]。固定式はJ/FPS-3、移動式は本機を三菱電機が開発した経験から新たに開発するという[1]。契約額は約1億ドル(約100億円)で、2021年後半から2022年に配備予定[2]。2014年に「防衛装備移転三原則」を決定後、国産防衛装備の完成品の輸出は初めてのことである[1]。
後継装備
[編集]配備から20年以上が経過しており、更新という形で探知精度や中・高空域の目標情報の迅速・正確な収集・処理・伝送及び機動性の向上を図った新たな対空レーダ装置 JTPS-P25が対空戦闘指揮統制システムの一つとして開発され、2012年度より配備された。
配備部隊・機関
[編集]- 中部方面隊
- 第8高射特科群本部管理中隊通信レーダ班
脚注
[編集]- ^ a b c “フィリピンへの警戒管制レーダーの移転について”. 防衛省. 2020年8月28日閲覧。
- ^ “Japanese firm bags P5.5-B PH Air Force air defense radar project”. INQUIRER.net. (2020年3月9日)
参考文献
[編集]- 朝雲新聞社編集局『自衛隊装備年鑑』朝雲新聞社、2006-2007。ISBN 4-7509-1027-9。
関連項目
[編集]- 陸上自衛隊の装備品一覧
- 師団対空情報処理システム - 高射特科部隊が使用するC4Iシステム。JTPS-P14はそのサブシステムとして動作する。
- AN/TPS-75 - アメリカ空軍が運用する同級機。Sバンドを採用している。