小オルガン・ミサ
『小オルガン・ミサ 変ロ長調』 Hob.XXII:7(しょうオルガン・ミサ、ドイツ語: Kleine Orgelmesse)は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが1777年ごろ[1]に作曲したミサ曲。正式名称は『神の聖ヨハネのミサ・ブレヴィス』(Missa brevis Sancti Joannis de Deo)という。聖ヨハネ病院修道会のために作曲された小ミサ曲で、同修道会の守護聖人である神の聖ヨハネにささげられている[2]。おそらくアイゼンシュタットにある修道会(実際には病院)の教会で初演された[3]。
通称はベネディクトゥスにオルガン独奏部分があることによる[3]。曲の規模は小さく、独唱はベネディクトゥスにしか存在しない[2]。演奏時間は15分から20分ほど。
ミヒャエル・ハイドン版グローリア
[編集]グローリアでは曲を圧縮するために異なる歌詞を同時に歌わせており、わずか31小節しかなかったが、1795年、弟のミヒャエル・ハイドンによってザルツブルクで演奏するために118小節に拡張された。また、ミヒャエル・ハイドンが元にした楽譜にはトランペット2台が追加されていた[3]。
ほかに、ヨハン・ゲオルク・アルブレヒツベルガーによってオルガンの装飾を増やされたベネディクトゥスが書かれている[3]。
編成
[編集]構成
[編集]Kyrie
[編集]おだやかに始まるが、強弱の変化が激しい。クリステの部分で短調になる。
Gloria
[編集]声部ごとに異なる歌詞を割りあてることで曲を圧縮している。アーメン・コーラスはごく短いが特徴的である。
Credo
[編集]「Et incarnatus est」から「et sepultus est」までのキリストの生涯を歌った部分では速度が遅くなる。グローリアと同様、両端の速い部分では声部によって異なる歌詞を同時に歌わせることによって曲を圧縮している。アーメン・コーラスはグローリアと同じものが使われる。
Sanctus
[編集]半音階的に下がっていく独特の旋律を持つ。ホザンナの部分は対位法的になる。
Benedictus
[編集]オルガン独奏をもつ前奏ではじまり、ソプラノ独唱によって歌われる。ホザンナで再び合唱が現れる。
Agnus Dei
[編集]ゆっくりした曲だが強弱や調性の変化が激しく、かなり緊張感の高い音楽になっている。
脚注
[編集]- ^ 従来1775年と言われていたが、ランドンは自筆原稿の紙の透かしをもとに1777年に作曲年を改めた
- ^ a b 大宮(1981) p.219
- ^ a b c d Bruce C. MacIntyre (1991). “Music Reviews: Missa brevis Sancti Joannis de Deo (Hob. XXII:7) "Little Organ Mass" with Michael Haydn's Prolongation of the Gloria. Edited by Denis McCaldin”. Notes, Second Series 48 (2): 678-681. JSTOR 942089.
参考文献
[編集]- 大宮真琴『新版 ハイドン』音楽之友社〈大作曲家 人と作品〉、1981年。ISBN 4276220025。
外部リンク
[編集]- 小オルガン・ミサの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト