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小原敬士

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小原 敬士(おはら けいじ、1903年4月27日 - 1972年3月26日)は、日本経済史学者、経済地理学者。専門はアメリカ経済で、一橋大学経済研究所所長、アメリカ学会会長、経済地理学会会長等を歴任した。学位は、経済学博士一橋大学論文博士・1962年)。

来歴

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静岡県浜名郡浜名町で誕生する。名古屋市立名古屋商業学校を経て、神戸高等商業学校(現神戸大学)に進み、さらに東京商科大学(現一橋大学)に入学して、金子鷹之助に師事して外国経済史を学ぶ[1]

1929年大学卒業、同年横浜市立商業専門学校(現横浜市立大学)助教授[2]。同教授を経て、1938年に早瀬利雄とともに治安維持法違反で寿町警察署連行され[3]、1941年から休職となり[4]、1942年に懲役2年執行猶予3年の裁判が確定し失職[5]、金融経済研究会研究主任となった[6]

日本の降伏後、金融経済研究所研究員を経て[7]、1949年に一橋大学経済研究所に着任。アメリカ経済研究部門教授として、同部門の中心的存在として、伊東政吉佐藤定幸本田創造らとともにアメリカ経済研究にあたった[8][2]

1957年から都留重人の後任として一橋大学経済研究所所長を務め、1959年に所長を高橋長太郎と代わる[9]。1962年3月、「アメリカにおける産業資本形成過程の研究」[10]により、一橋大学から経済学博士の学位を受ける。1967年に一橋大学を退職[11]後、関東学院大学教授を務めた[12]。1972年旅行先の香港で急逝[2]

アメリカ学会会長[13]。アメリカ資本主義を研究し、ソースティン・ヴェブレンを紹介した。ほかにジョン・ケネス・ガルブレイス軍産複合体などを研究、紹介。指導学生に長沼秀世[14]など。

著書

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単著

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  • 『社会地理学の基礎問題』古今書院、1936
  • 『アメリカ統制経済論』一元社、1937
  • 『アメリカの通貨金融政策』世界経済調査会、1946
  • 『アメリカ資本主義の分析』東洋経済新報社、1947
  • 『近代資本主義の範疇:ゾンバルト資本主義理論』青木書店、1948
  • 『アメリカ資本主義の形成』時潮社、1948
  • 『資本主義発展の理論』東洋経済新報社、1948
  • 『アメリカ経済学の諸形態』実業之日本社、1949
  • 『社会地理学の基礎理論』古今書院、1950
  • 『アメリカ経済思想の潮流』勁草書房、1951
  • 『アメリカ独占資本主義の形成』岩波書店、1953
  • 『アメリカの財閥』東洋経済新報社、1954
  • 『資本主義』要書房、1954 (要選書)
  • 『ヴェブレン』勁草書房、1965 (思想学説全書)
  • 『近代資本主義の地理学』大明堂、1965
  • 『ヴェブレンの社会経済思想』岩波書店、1966
  • 『資本主義入門:その歴史と将来』社会思想社、1966
  • 『ニューディール政策の社会経済史』清明会出版部、1969
  • 『ガルブレイスの経済思想』鹿島研究所出版会、1970
  • 『ビッグビジネス論』丸善、1971

共著

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編著

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  • 『近代雇傭理論の展望』東洋経済新報社、1949
  • 『アメリカとアメリカ人』毎日新聞社、1956
  • 『高校人文地理』実教出版、1957
  • Japanese trade & industry in the Meiji-Taisho era, translated and adapted by Ōkata Tamotsu, Tokyo : Ōbunsha, 1957
  • 『アメリカ軍産複合体の研究』日本国際問題研究所、1971

共編著

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翻訳

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  • ジエー・エフ・ホラビン『国際政治情勢地図』大畑書店、1934
  • G.イースト『世界史の自然的基礎』生活社、1940
  • A.H.ハンセン『経済政策と完全雇傭』好学社、1949
  • A.H.ハンセン『貨幣理論と財政政策』伊東政吉との共訳、好学社、1949
  • K.C.ホイーア『リンカン:その生涯と思想』 本田創造との共訳、岩波新書、1957
  • ジョン・ガルブレイス『大恐慌:その教えるもの』経済往来社、1958
  • G.ミュルダール 『経済理論と低開発地域』東洋経済新報社、1959
  • D.G.クーソーラス『人民資本主義入門』監訳、鏡浦書房、1959
  • アルヴィン・H.ハンセン『アメリカの経済』伊東政吉との共訳、東洋経済新報社、1959
  • ヴェブレン『有閑階級の理論』岩波文庫、1961
  • アルヴィン・H.ハンセン『1960年代の経済問題』 ダイヤモンド社、1961
  • ヴェブレン『技術者と価格体制』 未來社、1962
  • J.K.ガルブレイス『経済開発の展望』ダイヤモンド社、1962
  • G.ミュルダール『豊かさへの挑戦』 池田豊との共訳、竹内書店、1964
  • D.コンデ 『アメリカの夢は終った』岩波新書、1965
  • T.ヴェブレン 『企業の理論』勁草書房、1965
  • E.キーフォーヴァー『少数者の手に:独占との戦いの記録』竹内書店、1966
  • ポール・バランポール・スウィージー 『独占資本:アメリカの経済・社会秩序にかんする試論』岩波書店、1967
  • W.G.イースト 『地理学の本質:その歴史と将来』古今書院、1967
  • ハロルド・U.フォークナー『アメリカ経済史』至誠堂、1968-69
  • H.マグドフ『現代の帝国主義』岩波新書、1969
  • ガルブレイス 『軍産体制論:いかにして軍部を抑えるか』小川出版、1970
  • ガルブレイス『大恐慌:1929年は再びくるか』徳間書店、1971
  • S.レンズ 『軍産複合体制』岩波新書、1971
  • ガルブレイス『経済学・平和・人物論』新川健三郎との共訳、河出書房新社、1972
  • エレノア・M・ハードレー『日本財閥の解体と再編成』有賀美智子との共監訳、東洋経済新報社、1973

脚注

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  1. ^ 岡田俊裕著 『日本地理学人物事典 [近代編 2] 』 原書房 2013年 251ページ
  2. ^ a b c 長沼秀世, 「故小原敬士会長の足跡」 『アメリカ研究』 1973年 1973巻 7号 p.236-244, アメリカ学会, doi:10.11380/americanreview1967.1973.236
  3. ^ 斉藤毅憲「Y専(横浜市立横浜商業専門学校)の歴史」横浜市立大学論叢社会科学系列 2018年度:Vol.70 No.2
  4. ^ 官報 1941年06月02日
  5. ^ 官報 1942年05月18日
  6. ^ イギリスの極東経済政策の動向 (国際経済事情叢書 ; 第1輯) 図書 小原敬士 著 日本商工経済会国際局, 1946
  7. ^ 現代出版文化人総覧 昭和23年版 補修版
  8. ^ 佐藤定幸「一橋大学経済研究所の国際経済研究活動 」一般社団法人如水会
  9. ^ 「歴代所長」一橋大学経済研究所
  10. ^ 小原敬士, 「アメリカにおける産業資本形成過程の研究」 博士論文 一橋大学, 1962年, [報告番号不明], NAID 500000319418
  11. ^ 「過去に研究所に在籍した研究者」
  12. ^ 「小原 敬士 オハラ ケイジ」日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)
  13. ^ 第7号(1973年3月) 特集 比較研究 アメリカ学会
  14. ^ 「昭和46年度 学位授与・単位修得論文」 『一橋研究』 23巻 p.143-146, 一橋大学大学院生自治会, doi:10.15057/6632

参考文献

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関連項目

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