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小樽ゆき物語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
小樽ゆき物語
余市ゆき物語
Otaru Snow Story
Yoihci Snow Story
「青の運河」開催中の小樽運河 2023年12月23日撮影
「青の運河」開催中の小樽運河
2023年12月23日撮影
イベントの種類 キャンペーン
開催時期 11月 - 2月
初回開催 小樽ゆき物語 : 2013年11月11日 - 2014年1月13日[1]
余市ゆき物語 : 2015年11月21日 - 2016年2月14日[2]
最終開催 2023年11月1日 - 2024年2月18日
会場 小樽運河、小樽市観光物産プラザ(運河プラザ)、小樽駅余市駅、他
主催 小樽観光協会、余市観光協会
後援 小樽市、小樽商工会議所、小樽物産協会、小樽市商店街振興組合連合会
協賛 おたる水族館北海道銀行北陸銀行北海道中央バスルタオ、他
最寄駅 JR北海道 小樽駅、余市駅
公式サイト
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小樽ゆき物語(おたるゆきものがたり)は、北海道小樽市で11月から翌年1月、2月までの冬季に行われていた観光キャンペーン。主催は小樽観光協会[3]。冬季の小樽への観光客の集客を目的として2013年(平成25年)に企画されたものであり、小樽運河を青色のイルミネーションで彩る「青の運河」や[4]、小樽市観光物産プラザ(運河プラザ)に飾られるワイングラスタワーなどで、観光客たちを相手に好評を博していた[5]。本記事では、2015年(平成27年)より本キャンペーンと連携して、余市観光協会によって開催されていた余市町余市ゆき物語(よいちゆきものがたり)についても記述する[6]

沿革

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小樽市では2005年(平成17年)から2012年(平成24年)にかけて、冬場の集客を目的としたイベント「小樽ロングクリスマス」が開催されていた[7][1]。このイベントに代わって企画されたものが、小樽ゆき物語である[1]

小樽ロングクリスマスはその名の通り、クリスマス12月25日までの開催であったため、年末年始も盛り上げることを意図して企画された[1]。11月から1月にかけては、観光客が夏季の最盛期のほぼ半数に落ち込んでいたことから、その打開策としての企画でもあった[8]。名称の「ゆき」は「」と「行き」をかけて名付けられた[1]

2014年(平成26年)までは翌年1月までの開催であり[9][10]、2015年(平成27年)からは後述する余市ゆき物語と共に、翌年2月まで開催されていた[11][12]

観光客数が伸び悩みが指摘されたことで、余市ゆき物語共々、2023年度で開催が終了した[13][14]。2024年(令和6年)度からは、実施期間を短縮した上で、地元の食と酒に重点を置いた「YOI-TARU(ヨイタル)プロジェクト」が開始される[13]。小樽ゆき物語の企画「青の運河」「ワイングラスタワー」、余市ゆき物語の「琥珀色の夢」は、このプロジェクトとは別に、閑散期対策として引き続き実施される[13]

余市ゆき物語

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2015年から開催された、余市町の観光キャンペーン。日本放送協会で2015年3月まで放映された連続テレビ小説マッサン』の影響で、ドラマの舞台である余市への観光客が増加していることから、冬季も継続して観光客を招くことを目的として、小樽ゆき物語と連携して開催された[2]。それ以降、小樽と余市で共同での企画を立てたり、両市で独自の企画を立てたりしながら、観光キャンペーンが続けられていた[15]

主な企画

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  • 冬の流星
    • 2013年の第1回のみ開催されたクリスマスイベント。2012年の小樽ロングクリスマスに引き続いて開催されたもので[16]、小樽運河に「いのり星」 と呼ばれる青い発光ダイオード(LED)電球5千個を流して、運河を彩る[17][18]。LEDは直径8.5センチメートルで、水に着水すると点灯する仕組みである[16]。太陽光パネルと充電池を搭載し[19]、再生可能エネルギーによる環境負荷の少ない演出を実現している[16]。この電球を有料で購入し、散策路から投げ入れることもできた[20]
青の運河(2023年12月23日撮影)
イルミネーションで彩られたクルーズ船(2023年12月16日撮影)
  • 青の運河
    • 「冬の流星」に代わり、2014年の第2回より開催されている[21]。小樽運河の欄干やフェンスを、日没時刻から夜間にかけて、海をイメージした青色のLED電球1万個によるイルミネーションで彩る[21][22]。期間中は運河上を巡るクルーズ船である小樽運河クルーズにも、青の電飾が施される[23]。2015年には本キャンペーンと小樽雪あかりの路のPRのため、小樽市内の牛乳・乳製品製造業者である北海道保証牛乳の牛乳パックに、両イベントの写真がプリントされた[24]。2023年(令和5年)に小樽運河100周年を記念して市立小樽美術館で開催された美術展「小樽暮らしの中の運河」でも取り上げられた[25]
  • ワイングラスタワー
    • ワイングラスをピラミッド状に積み重ねた、全高数メートルの展示品[10][26]。小樽市民らが小樽市観光物産プラザ(運河プラザ)で作るもので、第1回では、小樽桜陽高等学校出身の女子アーティスト集団がデザインを考案し[27]小樽商科大学のボランティアが5日間をかけて制作した[28]。2014年には、同年より企画された「青の運河」のイメージに合わせ、タワーに水を流してゆらめく水面を表現、LEDで青く照らされた[10]。2018年(平成30年)からは小樽未来創造高等学校の生徒が製作に参加している[12][29]。小樽ゆき物語の中心的存在となる企画の一つ[30]。写真撮影スポットとしての人気も高い[31]
  • ガラスアートギャラリー
    • 小樽市内の複数のガラス工房が、雪や冬をテーマにしたガラス工芸品を、JR小樽駅のコンコース内に飾る[27]。観光客のみならず、通勤・通学客にも人気を博している[31]
  • スタンプラリー
    • 2014年に、小樽市内の飲食店100店舗で、指定された料理を食べるとスタンプを貰える「Otaru Machi Go-han」(小樽まちご飯)として開催された[32]。その後も小樽市内の観光名所や各店舗でスタンプを集める形式で開催されている[33][34]。余市ゆき物語の開催後は、小樽と余市の連携で開催されている[35][36]
琥珀色の夢(2023年12月17日撮影)
  • 琥珀色の夢
    • 余市ゆき物語での企画。JR余市駅の駅前公園の、イチョウの木から国道までの街路樹を、イルミネーションで彩る。ニッカウヰスキー創業の地である余市にちなんで、イルミネーションはウイスキーの色をイメージしたメープルゴールドの琥珀色であり[37]、ニッカウヰスキーの正面にもメモリアルアーチにチューブライトが設置される[2]

反響

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2013年の第1回では、「冬の流星」では、サンタクロース姿のスタッフがボートに乗って運河に電球を流し、ガス灯が運河を照らす情景も相まって、観客から一斉に歓声が上がった[20]。「青い光が幻想的できれい」との声もあった[38]。電飾で輝くワイングラスタワーも、来場者の目を引いた[28]

第1回開催後の2014年の小樽観光協会の発表によれば、2013年12月の運河プラザの来場者は約2万6900人であり、前年同月の約1.5倍に達した[9]。クリスマスケーキ飾りつけ教室や小学生対象の絵日記コンクールなど、市民参加型の行事を充実させたため、観光客だけでなく、小樽市民の来場者が多かったと見られている[9]。「machi・nabe100選」で、店舗100選を写真で紹介したマップも好評を博した[9]。一方で「冬の流星」の有料企画参加者は、目標の3割程度である約900人に留まった[9]

小樽観光協会の公式ウェブサイトも、11月から12月までのアクセス数が約108万7千件に上り、前年同期の2倍以上の数字となった[9]。同2014年6月の後志総合振興局の発表によれば、2013年度の小樽への観光客入り込み数は710万人、前年度から50万人の増加であり、小樽ゆき物語のイベントなどのPRが功を奏したものと報道された[39]

2015年(平成28年)冬季の観光客数は、事業開始前のシーズンと比べて4割以上増加し、2016年11月も好調な数字を見せた[8]ウォーカープラスKADOKAWA)による「北海道の人気イルミネーションランキング」では、「青の運河」が2020年から2022年にかけて第1位[40][41][42]、2023年には第2位として掲載された[43]

2018年には、9月に発生した北海道胆振東部地震の影響で、10月の観光客の数が前年より減少したものの、11月には回復に至った[44]。財務省北海道財務局では、本キャンペーンや小樽しゃこ祭の開催によるものと分析されている[44]

余市のニッカウヰスキー蒸溜所は、余市を訪れる観光客の半数以上が訪れる集客力があり、冬季にナイトツアーが開催されていたこともあって、小樽にとって観光面で魅力的な町であった[45]。逆に余市にとっても小樽は、集客力と宿泊施設の収容力の面において魅力的であった[45]。公益財団法人東北活性化研究センターの発表資料によれば、このことで双方の町が、小樽ゆき物語と余市ゆき物語を共催することにより、観光客を招くと共に、宿泊施設や飲食店へ招くという結果をもたらしたものと見られている[45]

脚注

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  1. ^ a b c d e 志村直「鍋食べて景品ゲット 1000点超すXマスグッズ 恒例「冬の流星」小樽ゆき物語 概要固まる 来月11日〜1月13日」『北海道新聞北海道新聞社、2013年10月10日、樽B朝刊、27面。
  2. ^ a b c 小樽・余市ゆき物語 11/21(土)開幕”. 小樽ジャーナル. 小樽ジャーナル社 (2015年11月14日). 2023年12月24日閲覧。
  3. ^ 「雪の思い出 絵日記に 小樽観光協会 児童作品募集」『北海道新聞』2013年10月5日、樽A朝刊、26面。
  4. ^ 宮本夕梨華「「青の運河」幻想的 小樽」『北海道新聞』2021年11月8日、全道朝刊、1面。
  5. ^ 宮本夕梨華「闇に輝くグラスタワー「小樽・余市ゆき物語」開幕」『北海道新聞』2020年11月2日、樽B朝刊、13面。
  6. ^ 余市ゆき物語”. 余市町. 2023年12月24日閲覧。
  7. ^ 中沢弘一「小樽 冬の集客へスクラム 来月1日から「ロングクリスマス2005」電飾やスタンプラリー 天狗山夜景観光充実へ」『北海道新聞』2005年11月12日、樽A朝刊、30面。
  8. ^ a b 市村信子「「ゆき物語」小樽観光にも光 冬の集客 4割増」『北海道新聞』2016年12月10日、全道夕刊、9面。
  9. ^ a b c d e f 山中いずみ「小樽ゆき物語 高い関心 期間中の観光客 大幅増 参加型行事に市民も」『北海道新聞』2014年1月16日、樽A朝刊、28面。
  10. ^ a b c 「輝くワイングラスタワー」『読売新聞読売新聞社、2014年11月15日、東京朝刊、34面。
  11. ^ 市村信子「初開催の余市とタッグ 青の運河やワイングラスタワー 21日から「小樽ゆき物語」」『北海道新聞』2015年11月19日、樽A朝刊、26面。
  12. ^ a b 雨の中開幕! 小樽ゆき物語・余市ゆき物語2023”. 小樽ジャーナル (2023年11月1日). 2023年12月24日閲覧。
  13. ^ a b c 熊谷知喜「小樽と余市 秋冬観光へタッグ「ゆき物語」→食、酒軸の「ヨイタル」」『北海道新聞』2024年11月6日、小樽朝刊、15面。
  14. ^ 小樽ゆき物語・余市ゆき物語公式サイト”. 小樽観光協会・余市観光協会 (2024年8月20日). 2024年11月17日閲覧。
  15. ^ 【月刊小樽自身2021年12月号】徹底解剖 小樽ゆき物語&夜のまちなみ散策ツアー”. 小樽観光協会公式サイト「おたるぽーたる」. 小樽観光協会 (2021年11月25日). 2023年12月24日閲覧。
  16. ^ a b c 小樽運河で冬の流星、開幕迫る - 幻想的な満天の星空を演出”. 小樽経済新聞 (2023年12月18日). 2023年12月24日閲覧。
  17. ^ 「街角きらり」『朝日新聞朝日新聞社、2013年12月22日、北海道朝刊、27面。
  18. ^ 「この冬、小樽で新しい物語がはじまります! 小樽ゆき物語 第1章 Otaru Snow Story 2013〜2014」『開発こうほう』第605号、北海道開発協会、2013年11月25日、表紙、NCID AN1012624X 
  19. ^ 「青く光る 小樽運河」『読売新聞』2013年12月22日、東京朝刊、35面。
  20. ^ a b 「小樽運河に流星群 LED電球5000個漂う」『北海道新聞』2013年12月22日、全道朝刊、31面。
  21. ^ a b 来年1月31日まで! ロマンチックに青く輝く「小樽運河沿い」を散策”. 北海道Likers. INCLUSIVE (2022年12月9日). 2023年12月24日閲覧。
  22. ^ 「花火とLED 運河の共演 小樽でイベント」『北海道新聞』2014年12月21日、全道朝刊、1面。
  23. ^ 元井麻里子・竹内博「冬の街 華やかに 小樽・余市「ゆき物語」」『北海道新聞』2017年11月14日、樽A朝刊、16面。
  24. ^ 市村信子「冬の小樽 紙パックにプリント 北海道保証牛乳 観光協会、誘客に期待」『北海道新聞』2015年10月23日、樽B朝刊、27面。
  25. ^ 小樽暮らしの中の運河 市立美術館で眞柄利香写真展”. 小樽ジャーナル (2023年6月21日). 2023年12月24日閲覧。
  26. ^ 志村直「食べ歩きやグラスタワー 楽しんで きょうから「小樽ゆき物語」駅でガラスアート展示も」『北海道新聞』2014年11月15日、樽A朝刊、28面。
  27. ^ a b 新しい冬の64日間!“小樽ゆき物語”始まる”. 小樽ジャーナル (2013年11月11日). 2023年12月24日閲覧。
  28. ^ a b 山中いずみ「小樽ゆき物語 開幕祝うグラスタワー 64日間 アート展示や雑貨販売」『北海道新聞』2013年11月12日、樽B朝刊、31面。
  29. ^ 日野夏美「ワイングラス2000個でタワー 樽未来創造高生も参加「ゆき物語」の名物」『北海道新聞』2019年10月31日、樽A朝刊、16面。
  30. ^ 前野貴大「インスタ映え ココが一押し スマホ手に記者が道央巡り」『北海道新聞』2018年12月29日、央広朝刊、12面。
  31. ^ a b 小樽・余市ゆき物語”. 北海道の「今」をお届け Domingo -ドミンゴ-. クリプトン・フューチャー・メディア (2022年). 2023年12月24日閲覧。
  32. ^ 志村直「100店食べ歩き スタンプラリー 小樽観光協会 来月から冬企画」『北海道新聞』2014年10月4日、樽A朝刊、28面。
  33. ^ 市村信子「小樽で語ろう ゆき物語 来年2月12日まで」『北海道新聞』2016年11月17日、樽A朝刊、26面。
  34. ^ 渡辺佐保子「冬の小樽と余市巡って 観光協会、連携キャンペーン」『北海道新聞』2018年10月31日、樽B朝刊、21面。
  35. ^ 「北海道おでかけナビワイド いこーよ 小樽・余市ゆき物語」『北海道新聞』2018年11月1日、全道朝刊、23面。
  36. ^ 久慈陽太郎「「小樽ゆき物語」開幕 光が織りなす幻想世界」『北海道新聞』2023年11月3日、樽B朝刊、17面。
  37. ^ 余市ゆき物語「琥珀色の夢」”. ウォーカープラス (2023年). 2023年12月24日閲覧。
  38. ^ 「小樽 LED運河染める」『東奥日報東奥日報社、2013年12月23日、朝刊、17面。
  39. ^ 小池伸之「外国人宿泊最多58万人 昨年度管内 中国人客88%増」『北海道新聞』2014年6月17日、樽B朝刊、29面。
  40. ^ 小樽ゆき物語「青の運河」 (小樽市)”. ウォーカープラス. KADOKAWA (2020年). 2020年11月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月10日閲覧。
  41. ^ 小樽ゆき物語「青の運河」 (小樽市)”. ウォーカープラス (2021年). 2021年10月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月10日閲覧。
  42. ^ 小樽ゆき物語「青の運河」 (小樽市)”. ウォーカープラス (2022年). 2022年11月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月10日閲覧。
  43. ^ 小樽ゆき物語「青の運河」 (小樽市)”. ウォーカープラス (2023年). 2023年12月24日閲覧。
  44. ^ a b しりべし経済レポート Vol. 97” (PDF). 財務省北海道財務局小樽出張所. p. 3 (2020年11月). 2023年12月24日閲覧。
  45. ^ a b c 2018年度 東北圏社会経済白書」(PDF)『東北活性研』第35号、東北活性化研究センター、2019年4月、110頁、CRID 15205733300600451842023年12月24日閲覧 

外部リンク

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