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斎藤忠 (評論家)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
尾浜惣一から転送)

斎藤 忠(さいとう ちゅう、1902年明治35年)12月29日 - 1994年平成6年)1月12日)は日本の国際政治評論家、軍事評論家、ジャーナリスト大日本言論報国会常務理事、『ジャパンタイムズ』論説主幹等を歴任した。尾浜惣一の筆名で翻訳も行っている。

考古学者の斎藤忠(さいとう ただし)は同姓同名の別人である。

経歴

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1902年明治35年)12月29日新潟県に生まれる[1][2]。本籍地は東京市麹町区富士見町二丁目[3](現在の千代田区九段南)。

1928年昭和3年)、東京帝国大学文学部英文科を卒業[1]、大学院に進学し1930年(昭和5年)4月に2年の課程を修了、1933年(昭和8年)4月まで在籍[3]。大学院での研究題目は「文芸復興期以後ノ欧羅巴ニ於ケル浪漫精神ノ研究」[3]イギリスドイツおよび北欧に留学[1]後、1933年、国際文化振興会英文百科辞彙編纂所長[4][5]

1933年以後、国防・軍事・外政に関する評論活動を生業とする[6]

1936年(昭和11年)より1940年(昭和15年)まで、東京帝国大学附属図書館前館長の姉崎正治とともに、図書館内において日本文化資料を調査する研究会を主宰する[7][2]

1937年(昭和12年)から1947年(昭和22年)まで読売新聞論説客員[4]。日本評論家協会常任委員・軍事外交部会長、海軍省外交懇談会委員、内閣委員、日本放送協会対外放送委員、海洋文化協会理事などを歴任する[7][1][5][2]1942年(昭和17年)の大日本言論報国会設立に際して理事に就任、津久井龍雄(1901-1989)の退任を受け、常務理事(総務局長)に就任[2]。このため占領中は、GHQにより公職追放となる[注釈 1]

公職追放中、極東国際軍事裁判(東京裁判)にて、東郷茂徳広田弘毅の弁護に関係した[1][4]

1952年(昭和27年)に講話発効により追放解除し、国士舘大学教授、防衛協会常務理事に就任[4]。また調達庁英文顧問、民主政治教育連盟顧問に就任[4]した。

1957年(昭和32年)『ジャパンタイムズ』論説主幹に就任、1967年(昭和42年)より同顧問[4]日本青年協議会の機関紙『祖国と青年』で、時事評論を1970年代から没する2年前の1992年1月号まで連載執筆した。

この他に、国民新聞社取締役会長・同最高顧問、総理府公務員制度審議会委員、文部省教科書用図書検定審議会委員、安全保障国民会議議長、日本郷友連盟顧問、英霊にこたえる会参与、日本を守る会代表委員・同東京都民会議議長、靖国国防研究会最高顧問、北方協会特別顧問、日本教師会顧問、新教育者連盟顧問、全日本教育父母会議特別顧問、アジア・アフリカ圏協会顧問、日華復交国民同盟顧問、人権擁護調査会顧問、時事通信社『パシフィック・コミュニティ』主席顧問、外交時報社顧問、自由アジア擁護連盟理事、新日本文化人会議理事、協和協会常務理事、靖国忠霊祭総代、核兵器禁止平和建設国民会議(核禁会議)副議長などを歴任した[1][4][8]

元々社の『最新科学小説全集』の翻訳に「尾浜惣一」名義で参加しており、エル・ロン・ハバードの『宇宙航路』と、ヴアン・ヴォーグトの『新しい人類スラン』を訳している[9][2]。また、同全集でブラドベリー火星人記録』を訳した斎藤静江は、斎藤忠の妻である[9]

1994年平成6年)1月12日死去[2]

著書

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  • 『英米包囲陣と日本の進路』春陽堂書店、1941年
  • 『太平洋戦略序論』春陽堂書店、1941年12月
  • 『日本戦争宣言』春陽堂書店、1942年4月
  • 『世界維新戦論』第一公論社、1942年
  • 『海戦 1914-1918』海洋文化社、1942年
  • 『原子力以後の国防』元々社〈民族教養新書〉、1954年2月
  • 『北欧神話』元々社〈民族教養新書〉、1955年6月
  • 『世界政局の焦点』報国新聞社〈時事叢書〉、1961年2月
  • 『ベルリン危機後の極東』外交知識普及会、1961年11月
  • 『艨艟の名を語る』出版協同社、1962年2月
  • 『祖国復興の宿願』日本教文社、1982年4月[10]

翻訳

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脚注

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注釈

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  1. ^ 公職追放の該当事項は「言論報国会常務理事、著書」。(総理庁官房監査課 編『公職追放に関する覚書該当者名簿』日比谷政経会、1949年、517頁。NDLJP:1276156 

出典

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  1. ^ a b c d e f 斎藤 1982, 著者略歴.
  2. ^ a b c d e f 佐藤 2015.
  3. ^ a b c 関西大学図書館 2000, p. 260.
  4. ^ a b c d e f g 人事興信所 1993.
  5. ^ a b 堀 2006.
  6. ^ 関西大学図書館 2000, pp. 260–261.
  7. ^ a b 関西大学図書館 2000, p. 261.
  8. ^ 「平和人物大辞典」刊行会 2006.
  9. ^ a b 高橋 1991, p. 77.
  10. ^ 『祖国と青年』で執筆した時事評論の一部

参考文献

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  • 関西大学図書館 編『日本文学報国会 大日本言論報国会 設立関係書類』 上、関西大学出版部〈関西大学図書館影印叢書 第一期第十巻〉、2000年3月31日。ISBN 4-87354-316-9 
  • 斎藤忠『祖国復興の宿願』日本教文社、1982年4月1日。 
  • 佐藤卓己 著「斎藤忠」、吉田裕; 森武麿; 伊香俊哉 ほか 編『アジア・太平洋戦争辞典』吉川弘文館、2015年11月10日、245頁。ISBN 978-4-642-01473-1 
  • 人事興信所 編『人事興信録 第三十七版』 上、人事興信所、1993年2月24日、さ130頁。 
  • 高橋良平「日本SF戦後出版史②元々社「最新科学小説全集」の巻 その2」『本の雑誌』第16巻、第4号、本の雑誌社、74-77頁、1991年4月。 
  • 「平和人物大辞典」刊行会 編『平和人物大辞典』日本図書センター、2006年6月25日、254頁。ISBN 4-284-10000-9 
  • 堀幸雄『最新 右翼辞典』柏書房、2006年11月25日、247頁。