山岳リゾート
山岳リゾート(さんがくリゾート、英語: mountain resort)は、山岳地域に立地する休日や休暇を過ごす場所。スキー、スノーボード、アイスクライミング、スケートなどのウィンタースポーツやマウンテンバイク、マウンテンボード、ハイキングなどの夏の活動を行う場所を含み、スキーの場合はスキーリゾートとも称する。高温地域では丘陵・山岳リゾートは避暑地として機能する。
北アメリカ
[編集]アメリカ合衆国およびカナダでは、「山岳リゾート」の語はハイキング、マウンテンバイク、ゴルフ、テニスなど夏の活動とウィンタースポーツの両方が行える通年のリゾートを意味する[1]。
- アスペン(コロラド州)
- マウンテンビレッジ(コロラド州)
- ユアレイ(コロラド州)
- ロングヒルビレッジ(コロラド州)
- ビッグベアレイク(カリフォルニア州)
- フラッグスタッフ(アリゾナ州)
- ティトンビレッジ(ワイオミング州)
- ウィスラー(ブリティッシュコロンビア州)
- アティタッシュ(ニューハンプシャー州)
- クランモア・マウンテンリゾート(ニューハンプシャー州)
- キリントン・スキーリゾート(バーモント州)
日本
[編集]1933年、帝国ホテルを率いていた大倉喜七郎は、北アルプスへの登山をきっかけに長野県上高地の地に上高地帝国ホテルを開業。日本の山岳リゾート地の先駆けとなった[2]。その後、燕岳の山小屋(現在の燕山荘)も帝国ホテルグループ傘下に収めるが、おりしも第二次世界大戦に突入し、山岳リゾートとして発展することはなかった。
日本においては長野県が本格的な山岳リゾートを目指している[3]。松本大学教授の清水聡子は、スキー場を抱える地域は山岳リゾート・スノーリゾートへ転換すべきと提言した[4]。
1999年(平成11年)には野沢温泉、志賀高原、白馬八方尾根、蔵王温泉、妙高高原、草津温泉の6つの伝統的な山岳リゾートによるMt.6(ベスト オブ ザ クラシック マウンテンリゾート)という地域活性化組織が設立された[5]。
インド
[編集]イギリス領インド帝国時代、植民地の支配者はヒマラヤ山脈や南インドの山岳地に避暑地(hill stations)と呼ばれる夏季の平野部の高温を避けるリゾートを建設した[8]。
各国
[編集]中国では清の皇帝が、夏の北京市の暑さを避けるために避暑山荘を18世紀に建設した。フィリピンでは、アメリカ人統治者がマニラの暑さを避けるために第一の夏の首都としてバギオを建設した。
トルコでは都市住民は夏の暑さを避けるため、伝統的に夏休みをヤイラと呼ばれるリゾートで過ごしてきた。キプロスではプラトレスが最も著名な山岳リゾートである。
タイ王国では国内で3番目に標高が高い、チエンマイ県ファーン郡にあるドイアンカーンが著名なリゾートである。
スイスのサンモリッツは、19世紀中ごろから発達してきた山岳リゾートである[9]。
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ Mountain Resort Guide website
- ^ “歴代「上高地帝国ホテル」のシェフの味が勢ぞろい! 日比谷で楽しむ信州グルメ”. LEE. 2018年11月8日閲覧。
- ^ 清水(2013):109ページ
- ^ 清水(2014):162ページ
- ^ 浅利ほか(2007):22ページ
- ^ “世界的山岳リゾート上高地の誕生物語”. シュポトピック. JR東海 (2011年6月). 2015年6月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月19日閲覧。
- ^ a b c “山岳リゾート”. たびネット信州. 2015年6月19日閲覧。
- ^ Kennedy, Dane (1996). The Magic Mountains: Hill Stations and the British Raj. ISBN 0-520-20188-4
- ^ 池永(2013):62ページ
参考文献
[編集]- 浅利一郎・石橋太郎・野方宏・大脇史恵「草津温泉ヒアリング調査報告」『静岡大学経済研究センター研究叢書』第5巻、2007年、17-24頁。
- 池永正人「スイスアルプス・サンモリッツにおける冬季観光の多様性」『2013年人文地理学会大会研究発表要旨』2013年、62-63頁。
- 清水聡子「人口減少に向き合う地域」『松本大学研究紀要』第11巻、2013年、101-115頁。
- 清水聡子「山岳リゾートの再考」『松本大学研究紀要』第12巻、2014年、159-175頁。
- Dorward, Sherry (1990) Design for Mountain Communities: A Landscape and Architectural Guide Van Nostrand Reinhold ISBN 9780442220952