山形県笑いで健康づくり推進条例
山形県笑いで健康づくり推進条例 | |
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通称・略称 | 笑い条例 |
法令番号 | 山形県条例第59号 |
効力 | 現行法 |
成立 | 2024年7月5日 |
公布 | 2024年7月9日 |
施行 | 2024年7月9日 |
主な内容 | 笑いにより健康づくりを推進する |
条文リンク | 山形県例規集 |
山形県笑いで健康づくり推進条例(やまがたけんわらいでけんこうづくりすいしんじょうれい)は、2024年7月5日に山形県議会で可決された同県の条例。笑いによる心身の健康作りを推進することを目的とする[1]。同条例は日本全国でもほかに類型のないものであるが、内心の自由を軽んじていると批判的な見方もある[2]。
制定経緯
[編集]山形県議会の自由民主党会派が2024年6月の定例県議会に提出した条例案で、7月5日の本会議で可決され成立した[3]。9日に施行された[4]。本会議前の常任委員会では賛成・反対が同数となり、委員長採決で可決となっていた[5]。本会議では県議会最大会派(当時)の自民党および公明党が賛成し、立憲民主党などからなる県政クラブと共産党が反対した[5]。
この条例案を提出した自民党の渋間佳寿美は、北海道が「道民笑いの日」を制定していることを知ったのが提案のきっかけだと述べている[4]。また、この条例は笑う頻度が高いほど死亡リスクが低下するという山形大学医学部の研究結果を踏まえている[2]。
内容
[編集]県民に対して毎日笑うよう努めることを求める[2]。毎月8日を「ハハハ」という笑い声にちなんで「県民笑いで健康づくり推進の日[1]」とする[3]。事業者には「笑いに満ちた職場環境」をつくるよう求める。
他方、第6条で「個人の意思を尊重」することを明記している[2]。なお、この条例に法的な拘束力はなく努力義務である[3]。
第1条 この条例は、笑いによる心身の健康づくりの推進に関し、県民笑いで健康づくり推進の日を設けるとともに、県、事業者及び県民の役割を明らかにすることにより、明るく健康的な県民生活の実現に寄与することを目的とする。
(県民笑いで健康づくり推進の日)
第2条 笑いによる心身の健康づくりについて、県民の関心と理解を深めるとともに、笑いによる心身の健康づくりへの取組が積極的に行われるようにするため、県民笑いで健康づくり推進の日を設ける。
2 県民笑いで健康づくり推進の日は、毎月8日とする。
(県の役割)
第3条 県は、この条例の目的を達成するため、健康、医療、福祉等に関する団体、笑いに満ちたまちづくりに取り組む者等と連携し、県民の笑いによる心身の健康づくりに関する意識の啓発に努めるものとする。
(事業者の役割)
第4条 事業者は、その業務の遂行に支障のない範囲内において、笑いに満ちた職場環境の整備等、従業員の笑いによる心身の健康づくりを推進するよう努めるものとする。
(県民の役割)
第5条 県民は、笑うことが健康にもたらす効果について理解を深めるとともに、1日1回は笑う等、笑いによる心身の健康づくりに取り組むよう努めるものとする。
(個人の意思の尊重等)
第6条 県、事業者及び県民は、この条例の実施に当たっては、個人の意思を尊重し、及びその置かれている状況に配慮するものとする。 — 山形県条例第59号
反対
[編集]条例の撤回を求めるオンライン署名運動が行われた[6]。署名を立ち上げた「山形行政チェック有志会」は笑うことが困難な人の「感情、苦しみを無視している」ほか、笑うことの努力義務化は「内心の自由を侵害する恐れ」があると主張した[6][7]。本会議において県政クラブは「笑うことが健康によいことを否定するものではない」としたうえで、「笑うことが困難な方々の人権を損なうことがあってはならない」と述べた[5]。
同県知事吉村美栄子は条例について、反対はしていないものの「やや戸惑った部分もある」と定例記者会見で表明した[8]。
脚注
[編集]- ^ a b “山形県笑いで健康づくり推進条例” (PDF). 山形県. 2024年9月18日閲覧。
- ^ a b c d 「「1日1回は笑う」条例が山形県議会で可決 「人権軽視」と反対も」『朝日新聞』2024年7月7日。2024年9月15日閲覧。
- ^ a b c 「「笑いで健康づくり推進条例」が定例県議会で可決・成立」『日本放送協会』2024年7月5日。2024年9月15日閲覧。
- ^ a b 「笑いで健康づくり条例、提案の真意は? 山形で都道府県初の施行」『毎日新聞』2024年7月19日。2024年9月18日閲覧。
- ^ a b c 「「笑いで健康づくり推進条例」可決 自民・公明の賛成多数 野党は反対 山形県議会」『日テレNEWS』2024年7月5日。2024年9月19日閲覧。
- ^ a b 安田聡子「山形県で1日1回笑うことが努力義務に。「笑うに笑えない」条例と反発も」『ハフポスト日本版』2024年7月5日。2024年9月19日閲覧。
- ^ “県民に笑いを義務づける「笑いで健康づくり推進条例」は具体化しないでください”. change.org. 要請趣旨. 2024年9月19日閲覧。
- ^ 「「笑い条例」成立に吉村美栄子山形知事が困惑「周知に努める」」『河北新報』2024年7月11日。2024年9月19日閲覧。