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山村昌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
やまむら さかえ
山村 昌
生誕 (1918-02-26) 1918年2月26日
鳥取県
死没 2005年6月7日(2005-06-07)(87歳没)
東京都稲城市
国籍 日本
研究分野 電気工学
出身校 東京大学、オハイオ州立大学(博士課程履修[1]
博士論文
  • Immobility phenomena and reverse driving phenomena of the electric arc driven by the magnetic field
    アークの磁気駆動を受けている電弧の膠着現象と逆駆動現象
※a (1956)
指導教員 山下英男[2]
主な業績 リニアモーターの理論的研究
主な受賞歴
補足
プロジェクト:人物伝
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山村 昌(やまむら さかえ、1918年(大正7年)2月26日 - 2005年(平成17年)6月7日)は、日本の電気工学者リニアモーターの理論的研究で知られる[3]。長女は化学者の松本和子[要出典]。日本学士院会員[4](1988年12月12日-2005年6月7日[5])。

略歴

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山村昌は1918年、鳥取県生まれ。父は第9代鳥取市長を務めた山村栄太郎である[6]

鳥取県立鳥取第一中学校(現・鳥取県立鳥取西高等学校)を1936年に卒業すると[注 1]東京大学工学部電気工学科に進み、1940年に卒えて翌1941年より同学工学部に助手として奉職。同学部講師(1943年)を経て助教授(1944年–)在職中の1950年、オハイオ州立大学に留学し[1]研究を続けると、同学から博士号(Ph.D)を授与される(1953年[要出典])。帰朝し[1]1956年より東京大学工学部教授[7][8][9](Paid subscription required要購読契約)

1959年に横浜国立大学(教授)、1963年に工学院大学教授に転じると、1969年(54 - 55歳)で電力中央研究所の理事に就任する(1984年名誉理事)。1983年に工学院大学の定年を迎え名誉教授。

老衰のため2005年に東京都稲城市の病院で永眠[10]、87歳[3]

研究

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山村はリニアモーターの理論的研究において先駆的な業績を残した[11]。特に、誘導機型リニアモーターの基礎方程式や推力特性[注 2]、安定性[注 3]などに関する研究で知られる[19][20][21][22][23][24]。リニアモーターの応用分野として提唱した新交通システムリニアモーターカーなどの実現に向け、多くの実験や試作を行った。その研究は、日本だけでなく、世界中のリニアモーター技術の発展に貢献した[3]

山村はまた、電気機器電力システムの設計や制御に関する研究も手がけ、教科書の『電気機器設計法』や『電気機器制御法』を執筆し、多くの後進の指導にあたった。電気工学の教育や普及にも力を注ぎ、電気学会[25]IEEEなどの学会活動にも積極的に参加した[3]。国際規格による技術用語集『電気・電子基本用語辞典』[26]、『情報処理システム用語辞典』[27]の編纂に参加した。

受賞

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主な著作

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論文
  • 山村昌 (1956). Immobility phenomena and reverse driving phenomena of the electric arc driven by the magnetic field [アークの磁気駆動を受けている電弧の膠着現象と逆駆動現象] (工学博士 [報告番号不明]). 東京大学. NAID 500000490309. 博士論文
  • 山村 昌「ニコラテスラとその業績」『電氣學會雜誌』第111巻第5号、一般社団法人 電気学会、1991年、421-425頁、CRID 1390001205141453184doi:10.11526/ieejjournal1888.111.421ISSN 0020-2878 
単著
  • 『制御用電気機器』オーム社〈現代電気工学講座 29〉、1965年。 NCID BN06624591 
  • 『Theory of linear induction motors』Wiley, Tokyo: 東京大学出版 Univ. of Tokyo Press、1972年。 NCID BA0755694X ISBN 0470970901
  • 『ある電気工学者の研究の道程』オーム社、1979年。 NCID BN03762996 
  • 『AC motors for high-performance applications : analysis and control』Dekker〈Electrical engineering and electronics 30〉、1986年。 NCID BA00134474  ISBN 0824774922
  • 『交流モータの解析と制御』オーム社、1988年。 NCID BN02417358 ISBN 4274031993
  • Spiral vector theory of AC circuits and machines. Monographs in electrical and electronic engineering 26. Clarendon Press. (1992). NCID BA1817081X  ISBN 0198593791
  • 『電気回路と回転機の解析と制御 : スパイラルベクトル理論』オーム社、1998年。 NCID BA36727059 
共著
  • 山下 英男『電気機器および材料』コロナ社〈第2種電検問題標準解答集 5〉、1957年。 NCID BA36026484 
  • 『電気機器設計法』(共立出版、1957年)
  • 山下 英男『電気機器学』コロナ社〈標準電気工学講座 4〉、1959年。 NCID BN04669318 
  • Storm, Herbert F.『磁気増幅器』コロナ社、1959年。 NCID BN04355681 
  • 『電気機器制御法』(共立出版、1960年)[疑問点]
  • 『リニアモーター』(朝倉書店、1964年)[疑問点]
  • 『リニアモーターの基礎と応用』(朝倉書店、1976年)[疑問点]
  • 『サイリスタ実用便覧』オーム社、1978年。 NCID BN01404645 
教材〈電気学会大学講座シリーズ〉
  • 電気学会 編『放電現象』電気学会〈電気学会大学講座〉、1951年。 NCID BN12590778 
  • 電気学会通信教育会 編『超電導工学』電気学会〈電気学会大学講座〉、1974年。 NCID BN10171220 
  • 電気学会通信教育会 編『超電導工学』(修正版)電気学会〈電気学会大学講座〉、1978年。 NCID BN01570804 
  • 電気学会通信教育会、電気学会『電気機器工学』(改訂版)電気学会、オーム社 (発売)〈電気学会大学講座〉、1987年。 NCID BN01880255 ISBN 4886861156, 4886861164

参考文献

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本文の典拠に使用。主な執筆者の順。

リニアモーター関連(共著)
その他
  • 対訳電気・電子・情報処理用語辞典編集委員会 編『電気・電子基本用語辞典(国際規格による対訳)』日本規格協会、1987年。 NCID BN00954560 ISBN 4542202011、英語題名『Bilingual dictionary of basic terms on electrical engineering and electronics based on IEC standards』。
  • 対訳電気・電子・情報処理用語辞典編集委員会 編『情報処理システム用語辞典(国際規格による対訳)』日本規格協会、1987年。 NCID BN01680427 ISBN 454220202X
  • デジタル版『日本人名大辞典+Plus』 (2015年). “山村昌(やまむら さかえ)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 講談社. 2023年11月18日閲覧。

脚注

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  1. ^ 鬼塚喜八郎(現アシックス創業者)と同期ASICS通信」(pdf)第54期(2007年4月1日–9月30日)、アシックス。 
  2. ^ 科学研究費助成事業
    • 1968年「超電導機器用大電流リードと磁束ポンプの研究」山村 昌(東京大学)[12]
    • 1969年「超電導機器用大電流リードと磁束ポンプの研究」山村 昌(東京大学)[13]
    • 1973年一般研究「B」「推力と案内力を同時に発生するリニア誘導電動機」山村 昌(東京大学)[14]
    • 1973年「推力と案内力を同時に発生するリニア誘導電動機」山村 昌(東京大学)[15]
    • 1982年「誘導機による高速応性交流サーボモータの試作」山村 昌(東京大学)[16]
  3. ^ 科学研究費助成事業
    • 1974年-1975年「吸引電磁石による車両の支持案内方式」山村 昌(東京大学)[17]
    • 1979年-1980年「吸引形磁気浮上車の制御方式の研究」山村 昌(東京大学)[18]

出典

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  1. ^ a b c Ohio State University Monthly October 1955”. osupublicationarchives.osu.edu. Ohio State University Newspaper Archives. Ohio State University (1955年10月). 2023年11月18日閲覧。 “Tokyo Club: Prof. Francis P. Robinson, department of psychology, was a guest at the June 23 (引用注:1955) dinner meeting of the Tokyo Alumni Club. Present for the affair, held at the Tokyo University, were: Kimiko Anno, Kazuo Gomi, Santa Ichikawa, Shonosuke Ishii, Nakaji Kojima, Yozo Nogami, Mieko Nogami, Takizo Minagawa, Chiyoko Takeda, Sakae Yamamura, Dairoku Yokoi, Muneshige Yoshida and Tadashi Yoshida. Prof. Robinson spent the summer in Japan as a staff member of an institute sponsored by the American Council on Education and Tokyo University. (太字は引用者による。)”
  2. ^ 博士論文 1956
  3. ^ a b c d 『日本人名大辞典+Plus』 2015, 山村昌(やまむら さかえ)とは?
  4. ^ a b 恩賜賞・日本学士院賞・日本学士院エジンバラ公賞授賞一覧 第71回(昭和56年)~第80回(平成2年)”. www.japan-acad.go.jp. 日本学士院. 2024年3月12日閲覧。
  5. ^ 山村昌”. www.japan-acad.go.jp. 物故会員一覧(50音順)ヤ行. 日本学士院. 2024年3月13日閲覧。
  6. ^ 【付録】歴代三役・歴代正副議長・現市議会議員”. www.city.tottori.lg.jp. 鳥取市. 2023年11月18日閲覧。 “山村栄太郎 大正12年11月1日就任”
  7. ^ NAID 500000490309
  8. ^ 博士論文.
  9. ^ 茅陽一(6)理論と実験」『日本経済新聞』日本経済新聞、2019年11月6日。2023年11月18日閲覧。「機械制御の山村昌教授に師事(攻略)」
  10. ^ 山村昌氏死去/東大名誉教授」『四国新聞』2005年6月10日。2023年10月15日閲覧。
  11. ^ 山村 1972, pp. 368–376
  12. ^ 超電導機器用大電流リードと磁束ポンプの研究」。 
  13. ^ 超電導機器用大電流リードと磁束ポンプの研究」。 
  14. ^ 推力と案内力を同時に発生するリニア誘導電動機」。 
  15. ^ 推力と案内力を同時に発生するリニア誘導電動機」。 
  16. ^ 誘導機による高速応性交流サーボモータの試作」。 
  17. ^ 吸引電磁石による車両の支持案内方式」。 
  18. ^ 吸引形磁気浮上車の制御方式の研究」。 
  19. ^ 山村, 伊藤 & Ismal 1970, pp. 459–468
  20. ^ 山村, 伊藤 & 石川 1971, pp. 309–318
  21. ^ 山本, 伊藤 & 石川 1971, pp. 2075–2084
  22. ^ 山村 & 伊藤 1976, pp. 155–161
  23. ^ 伊藤 1996, pp. 189-
  24. ^ 山村, 伊藤 & 増田 1979, pp. 120–124
  25. ^ 山村 1991, pp. 421–425, 『電氣學會雜誌』
  26. ^ 日本規格協会 1987a
  27. ^ 日本規格協会 1987b
  28. ^ 「工学博士山村昌君の『誘導機型リニアモーターの理論的研究』に対する授賞審査要旨」『日本学士院紀要』第39号、日本学士院、昭和58年、57-60頁。 

関連文献

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関連項目

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