巻き結び
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巻き結び(まきむすび)とは、ロープを芯に縛り付ける結び方(ヒッチ)のひとつ。英語ではクローブ・ヒッチ(Clove hitch)という。
古くから船舶関連で用いられており[1]、Clove hitchとしてはじめて紹介されたのは1769年のウィリアム・ファルコナーの辞典が最初である[2]。
徳利を吊るすのに用いられたことから徳利結びということもあり[3]、またかこ結びという和名もある[4]。
登山関係ではマスト結び[4]、インク・ノット[1]、船乗り結び[5]などと呼ばれ、キャンピングでは止め釘結び[5]と呼ばれる。
結び方
[編集]巻き結びは、芯に対して同じ向きのひと結びを2度施して得られる(異なる向きのひと結びを施した場合はひばり結びとなる)。
閉鎖芯に対しては動端を芯の周りを2周させて結ぶが、開放芯の場合は右図のように同じ向きのループを2つつくりそれらを重ねて芯に通せばよい。
特徴・用途
[編集]巻き結びを施したロープの強度は、結んでいないロープの60~75%程度とされ、水に濡れると解きにくくなる・芯に対して回る方向にロープに荷重がかかるとほどけやすいといった欠点がある。[2]
しかし、簡単に結ぶことができ、(濡れなければ)解くのも容易で確実に結んでおけば強度も高いことから[1]、以下のように幅広い用途で用いられている。
- ボートなどを一時的に係留するために使う[6][7]。長時間の係留の場合は後述の多重巻き結びが使われる[8]。
- 箱状のものを紐で十字に縛るとき、交差部に巻き結びを施して丈夫にする[9]。
- テントの支柱を縛るために使う[5]。
- ロープを束ねたあと、両側に巻き結びを施してまとめる[10]。
- 丸太に巻き結びを施してつなげて柵をつくる[11]。
羽根田治は、(一般的にはもやい結びのことを「結び目の王」と表現することが多いが)巻き結びこそ「結び目の王」にふさわしいと述べている[12]。
関連する結び目
[編集]脚注
[編集]- ^ a b c d 『アウトドア・ロープテクニック』 90頁。
- ^ a b 『結びのテクニック』48頁。
- ^ 『図解 実用ロープワーク』 12頁。
- ^ a b 『ロープの結び方』 54頁。
- ^ a b c 『結びの百科―実用70種の結び方を鮮明な連続写真でマスター』42頁。
- ^ 『暮らしに役立つひもとロープの結び方』231頁。
- ^ 『アウトドア・ロープテクニック』105頁。
- ^ a b 『結びの百科―実用70種の結び方を鮮明な連続写真でマスター』 54頁。
- ^ 『暮らしに役立つひもとロープの結び方』71頁。
- ^ 『暮らしに役立つひもとロープの結び方』99頁。
- ^ 『暮らしに役立つひもとロープの結び方』119頁。
- ^ 羽根田治 『結び方全書―暮らしに使える170の結び』 池田書店、2009年、214頁。ISBN 978-4262152257。
参考文献
[編集]- 和田守健 『ロープの結び方』 舵社、2003年。ISBN 978-4807215119。
- ジェフリー・バドワース著、乙須敏紀訳 『結びのテクニック』 産調出版、2001年。ISBN 978-4882822363。
- 羽根田治 『アウトドア・ロープテクニック』 山と溪谷社、1999年。ISBN 978-4635043052。
- 前島一義 『図解 実用ロープワーク』 成山堂書店、1999年。ISBN 978-4425481125。
- 小暮幹雄 『暮らしに役立つひもとロープの結び方』 新星出版社、2001年。ISBN 978-4405070783。
- マリオ・ビゴン・グイド・レガッツォーニ著、杉浦昭典訳 『結びの百科―実用70種の結び方を鮮明な連続写真でマスター』 小学館、1983年。ISBN 978-4093300261。