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平成27年台風第9号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
平成27年台風第9号(Chan-hom、チャンホン)
カテゴリー4の タイフーンSSHWS
ひまわり8号による衛星画像(7月10日)
ひまわり8号による衛星画像(7月10日)
発生期間 2015年6月30日 21:00
- 7月13日 9:00
寿命 300時間
最低気圧 935hPa
最大風速
(日気象庁解析)
45m/s(90kt)
最大風速
米海軍解析)
120kt
平均速度 21.8km/時
523km/日
移動距離 6,548km
被害地域 カロリン諸島北マリアナ諸島グアム日本中国韓国北朝鮮ロシア
プロジェクト : 気象と気候災害
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平成27年台風第9号(へいせい27ねんたいふうだい9ごう、アジア名:Chan-hom、命名:ラオス、意味:木の名前、フィリピン名:Falcon[1])は2015年平成27年)6月30日に発生した台風

概要

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進路図

6月25日、太平洋上で発生した熱帯擾乱が成長し、6月30日には合同台風警報センター(JTWC)が熱帯低気圧番号09Wを割り当てた。09Wは同日21時(協定世界時30日12時)にマーシャル諸島の北緯10度、東経159度25分で台風となって[2]、アジア名チャンホンChan-hom)と命名された[3][4]

台風は当初西へと進み、台風の西側で7月1日に発生していた熱帯低気圧を7月2日午後にかけて吸収したと見られる[5]。一旦、勢力を強めてタイフーンに格上げされたが[6]、再び勢力を弱めて東経148度付近で速度を落として北上[3]。4日頃から進路を北西に変えて、マリアナ諸島に大雨や強風、高波をもたらし、5日にかけてグアム近海を通過[7]

その後、次第に再び勢力を強めながら7日に沖ノ鳥島近海に達し[3][8]、7日午後には「大型で強い台風」となった[9]。また同日夜にはフィリピンの監視エリアに達したため、フィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)は、現地時間7日11時にフィリピン名ファルコンFalcon)と命名している[10]

台風は9日から10日にかけて宮古島の東の海上を通過[11]東シナ海に達したのち、上海の南東の海上で進路を北北西に変えて黄海朝鮮半島方面に進み、13日未明に北朝鮮黄海南道西岸の龍淵郡に上陸[12]。同日9時に北緯40度0分、東経126度0分で温帯低気圧になった[3]

影響

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北マリアナ諸島

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北マリアナ諸島危機管理事務局は台風接近に伴い断続的に台風情報を発表するとともに、エロイ・イノス知事名でサイパンテニアンロタの住民に対して風雨に対する予防措置を取るように警告を発したが[13]、大きな被害は無く、サイパンとテニアンに対する警報は現地時間5日15時に解除された[14]

グアム

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台風接近に伴い、グアム国土安全保障/市民防衛室(Guam Homeland Security | Office of Civil Defense)は洪水についての警告を行なった[15]。アメリカ国立気象局のオフィスでは5日午後までに11.77インチ(約300ミリ)の降雨が確認されており[7]、各地で大雨による道路・低地の冠水が発生[15]。また、アンダーセン空軍基地では5日午後に毎時62マイル(約28メートル/秒)、グアム国際空港では毎時43マイル(約19メートル/秒)の最大瞬間風速を観測している[7]

日本

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台風による倒木(嘉手納飛行場

沖縄本島宮古島地方に暴風警報が、沖縄本島の12市町村に大雨洪水警報が発表された[16]。強風にあおられて転倒するなど重軽傷者27名[17]本部町謝花で9日0時から10日22時までに274.5ミリ[16]座間味村慶良間空港では9日23時からの24時間で189.5ミリの降水を計測[16]南城市玉城で49.9メートル、久米島久米島空港で44.8メートルの最大瞬間風速を記録し[17]、航空機・船舶の欠航、道路・橋の通行止めなどが行なわれた[18][19]

台風が、暖かく湿った空気で日本付近に停滞していた梅雨前線を刺激したことで特に松山市では1時間に48ミリの大雨となった。7月の1時間の降水量としては1890年の統計開始以来最大とされる。この雨で市内では床上・床下浸水が発生した[20]

また、9号が大陸方面に進んだことで太平洋高気圧が西に引き出され、台風から温帯低気圧になったのち中国東岸を進んだことで、南からの湿った暖かい空気が日本列島に流れ込み、台風後には日本各地で猛暑となった[21]

中国

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中国気象局中央気象台は、1949年以降で最大の勢力のまま浙江省を直撃する可能性があるとして避難勧告を発し[22]、沿岸部から約100万人以上が避難した[23]。11日朝までの24時間で300ミリ以上の降水を各地で計り[24]、一部では400ミリを越えた[23]。また、100本以上の列車が運休となり、600便以上の旅客機が欠航[23]。バスやフェリーなども運行を停止した[23]

韓国

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10日、韓国気象庁は済州島や東シナ海に「風浪特報」を発令して警戒を促した[25]。台風が接近した12日には旅客機574便と旅客船164隻が欠航[26]。済州島では1423ミリの豪雨を観測し、全羅南道では建物の倒壊により1名が死亡したほか漁船5隻が沈没している[27]

北朝鮮

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詳細不明。

脚注

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  1. ^ 台風の番号と名前”. 気象庁. 2015年7月6日閲覧。
  2. ^ 平成27年 台風第9号に関する情報”. 気象庁 (2015年6月30日). 2015年7月6日閲覧。
  3. ^ a b c d 台風201509号 (CHAN-HOM) - 詳細経路情報”. デジタル台風. 2015年7月6日閲覧。
  4. ^ 台風9号「チャンホン」発生”. 日本気象協会 (2015年6月30日). 2015年7月6日閲覧。
  5. ^ 実況天気図(アジア) 15070215”. 気象庁 (2015年7月2日). 2015年7月6日閲覧。
  6. ^ “Chan-hom upgraded to a typhoon”. RadioNewZealand News. (2015年7月3日). http://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/277841/chan-hom-upgraded-to-a-typhoon 2015年7月6日閲覧。 
  7. ^ a b c “Tropical Storm Chan-hom Soaks Guam; May Threaten Okinawa, Taiwan, China as a Strong Typhoon (FORECAST)”. weather.com. (2015年7月5日). http://www.weather.com/storms/typhoon/news/chan-hom-typhoon-threat-guam-japan-korea 2015年7月6日閲覧。 
  8. ^ 平成27年 台風第9号に関する情報 第1号 (位置)”. 気象庁 (2015年7月7日). 2015年7月7日閲覧。
  9. ^ 平成27年 台風第9号に関する情報 第5号 (位置)”. 気象庁 (2015年7月7日). 2015年7月8日閲覧。
  10. ^ SEVERE WEATHER BULLETIN #01 TROPICAL CYCLONE ALERT: TYPHOON "FALCON"”. フィリピン大気地球物理天文局 (2015年7月7日). 2015年7月8日閲覧。
  11. ^ 平成27年 台風第9号に関する情報 第40号 (位置)”. 気象庁 (2015年7月10日). 2015年7月11日閲覧。
  12. ^ . 台風9号、北朝鮮に上陸…防災インフラの不備で深刻な被害の恐れ. (2015年7月13日). http://dailynk.jp/archives/48430+2015年7月13日閲覧。 
  13. ^ TYPHOON CHAN-HOM 09W BULLETIN NO.14” (PDF). 北マリアナ諸島危機管理事務局 (2015年7月4日). 2015年7月6日閲覧。
  14. ^ TROPICAL STORM CHAN-HOM 09W BULLETIN NO.18”. 北マリアナ諸島危機管理事務局 (2015年7月5日). 2015年7月6日閲覧。
  15. ^ a b “Chan-hom passes Guam”. Marianas Variety. (2015年7月6日). http://www.mvguam.com/local/news/41262-chan-hom-passes-guam.html#.VZpGkqHDg_s 2015年7月6日閲覧。 
  16. ^ a b c “台風9号、26人けが 11日夕まで大雨警戒 南城で49.9メートル”. 琉球新報. (2015年7月11日). http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-245576-storytopic-133.html 2015年7月11日閲覧。 
  17. ^ a b “台風9号:4万2200戸が停電 重軽傷27人に 11号も沖縄地方に接近する恐れ”. 沖縄タイムス. (2015年7月11日). https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/16414 2015年7月11日閲覧。 
  18. ^ “うるま市海中道路など6カ所で通行止め 台風9号”. 琉球新報. (2015年7月9日). http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-245515-storytopic-133.html 2015年7月11日閲覧。 
  19. ^ “台風9号:空の便きょうも一部欠航”. 沖縄タイムス. (2015年7月10日). https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/16349 2015年7月11日閲覧。 
  20. ^ 突然のゲリラ豪雨 浸水被害も… 松山市”. 日本テレビ (2015年7月9日). 2015年7月9日閲覧。
  21. ^ “危険な台風11号が接近 猛暑は9号の「置き土産」”. 日本経済新聞. (2015年7月14日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO89284140U5A710C1000000/ 2015年7月16日閲覧。 
  22. ^ “台風9号接近で86万人以上に避難勧告、中国東部”. AFPBB News. (2015年7月11日). https://www.afpbb.com/articles/-/3054217 2015年7月12日閲覧。 
  23. ^ a b c d “Typhoon Chan-hom hits China with heavy rains”. CBC News. (2015年7月11日). http://www.cbc.ca/news/world/typhoon-chan-hom-hits-china-with-heavy-rains-1.3147887 2015年7月12日閲覧。 
  24. ^ “Typhoon Chan-hom: Almost 1 million people evacuated in eastern China as powerful storm crosses coast”. ABC News. (2015年7月11日). http://www.abc.net.au/news/2015-07-11/almost-1-million-evacuated-as-super-typhoon-hits-china/6612212 2015年7月12日閲覧。 
  25. ^ “台風9号の進路予想、韓米日で食い違い”. 朝鮮日報. (2015年7月10日). http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/07/10/2015071001334.html 2015年7月12日閲覧。 
  26. ^ “台風9号:きょう北朝鮮に上陸”. 朝鮮日報. (2015年7月13日). http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/07/13/2015071300634.html 2015年7月13日閲覧。 
  27. ^ “台風9号:韓国各地で被害、空路・海路ストップ”. 朝鮮日報. (2015年7月13日). http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/07/13/2015071300751.html 2015年7月13日閲覧。 

外部リンク

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