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夏の名残のばら

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庭の千草 (民謡)から転送)

夏の名残のばらThe Last Rose of Summer)はアイルランド詩人トーマス・ムーアの書いた

成り立ちと詩

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ムーアは1805年に、アイルランドのキルケニー県ジェンキンスタウン・パーク英語版でこの詩を書いた。この詩はブラーニーの木立The Groves of Blarney)というアイルランド民謡の旋律と共に、アイルランドの旋律 (A Selection of Irish Melodies)第5巻(1813年12月出版)に収録された。なお、この版のピアノ伴奏は作曲家ジョン・アンドリュー・スティーヴンソン英語版によって書かれている。

夏の名残のばらの楽譜

元の旋律「ブラーニーの木立」の由来

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ムーアがこの詩に選んだ旋律ブラーニーの木立は、アイルランド民謡収集家エドワード・バンティング英語版の編纂したアイルランド民謡集に収められている。この曲は、ハイド城Castle Hyde)という民謡の旋律にアイルランドの詩人リチャード・アルフレッド・ミリキン(Richard Alfred Milliken/Millikin、1767年-1815年)が新たな歌詞をつけたものであった。

なお、ハイド城は、古い民謡 トゥルアの緑の木々The Green Woods of Truigha)から派生した可能性が指摘されている。この「トゥルアの緑の木々」はロンドンデリーの歌の原典とも言われており、もしこの指摘が正しければ、夏の名残のばらとロンドンデリーの歌は元々同一の曲だったことになる[1]

唱歌「庭の千草」

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夏の名残のばらは、里見義(さとみ ただし、1824年-1886年)の翻案で『小学唱歌集 第三編』(1884年〈明治17年〉3月発行、文部省音楽取調掛編)に収められた。当初のタイトルは「」であったが、歌詞の冒頭の「庭の千草」がいつしかそのまま曲名になり、唱歌の1つとして広く親しまれた[2]

1941年12月、日本は第二次世界大戦へと突入。米英の音楽は禁止されたが、「庭の千草」は「蛍の光」などと並んで日本化されているとして禁止対象から除外されている[3]

音楽作品への引用

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クラシック音楽

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19世紀を中心として、おびただしい編曲や変奏曲が作られた。以下はその一部である。

a) アイルランドの歌第2巻(20のアイルランドの歌)WoO.153 (1814年編曲、1816年出版)の第6曲悲しみと不運の季節Sad and Luckless was the Season
b) フルートとピアノのための6つの各国のアリアと変奏曲 op. 105 (1818年作曲、1819年出版)の第4曲
弦楽四重奏、コントラバス、ピアノのための大六重奏曲'Grand sestetto ... in which is introduced the admired air 'The Last Rose Summer)op. 100 (1819年、第2楽章アンダンテに夏の名残のばらが使用されている)
アイルランドのアリアに基づくピアノのための幻想曲 op. 50 (1821年、ピアノ独奏曲)
アイルランドの愛すべき旋律による幻想曲と変奏曲 (Fantaisie et variations sur un air favori irlandais)(1822年、ハープ独奏曲)
6つのアイルランド民謡(Six Airs irlandois nationales variés)op. 125より第2曲 (1825年頃、ギター独奏曲)
アイルランドの思い出(The Recollections of Ireland) op. 69(1826年、ピアノと管弦楽の協奏曲)
「夏の名残のばら」による幻想曲(Fantasia on 'The Last Rose of Summer')op. 15 (1827年頃、ピアノ独奏曲)
イングランドの思い出(Souvenir anglais) op. 51 (1828年、2本のフルートとピアノの三重奏曲)
アイルランド民謡による変奏曲 op. 105 (1829年、フルートとピアノの二重奏曲)
流行の主題の編曲集(Transcriptionen über beliebte Themen) op. 157より第6曲「夏の名残のばら」(Des Sommers letzte Rose) (1829年、フルート二重奏曲)
夏の名残のばら (The Last Rose of Summer) op. 159 (1842年、ピアノ独奏曲)
夏の名残のばら (The Last Rose of Summer)(1846年)
歌劇 マルタのアリア "夏の名残のばら"(Letzte Rose) (1847年)
幻想的変奏曲「名残のばら」 (La Dernière rose. Fantaisie variée) (1840年代半ば、ピアノ独奏曲)
スコットランドの主題による変奏曲(Theme ecossais varie) (1847年、ピアノ独奏曲、スコットランドと題されているが実際に使用されている主題は夏の名残のばらである)
即興曲「夏の名残のばら」(The Last Rose of Summer. La Dernière rose.Impromptu)op. 46 (1849年、ピアノ独奏曲)
夏の名残のばら(Des Sommers letzte Rose)op. 141 no. 3 (1850年、混声合唱曲)
夏の名残のばら(The Last Rose of Summer)op. 45 (1853年、ピアノ独奏曲)
エアー「夏の名残のばら」による序奏を伴うフロトーの歌劇「マルタ」のモティーフによる華麗なる幻想曲((Fantaisie brillante, on motives of Flotow's Martha, introducing the air 'The Last Rose of Summer')op. 116 (1854年、ハープ独奏曲)
アイルランド民謡「夏の名残のばら」による変奏曲The Last Rose of Summer. Air irlandais varié)op. 73 (1857年、ピアノ独奏曲)
アメリカの花束Bouquet Americain)op. 33より第5曲夏の名残のばらDernière rose de l'été) (1860年、ヴァイオリンとピアノの二重奏曲)
無伴奏ヴァイオリンのための6つの練習曲(Sechs mehrstimmige Etüden、Six Polyphonic Studies)より第6番 「夏の名残のばら」による変奏曲(Variations on 'The Last Rose of Summer')(1865年)
子供たちの夜Les Soirées enfantines)第2巻より第6曲「名残のばら」 (La Dernière rose)(1866年、独奏ピアノとピアノ4手連弾の2つの版がある)
アイルランドの旋律「名残のばら」による幻想曲La Dernière rose. Mélodie irlandaise, fantaisie) (1870年、ヴァイオリンとピアノの二重奏曲)
夏の名残のばら(The Last Rose of Summer) (1873年、混声合唱曲)
演奏会用パラフレーズ「夏の名残のばら」The Last Rose of Summer. Paraphrase de concert) op. 173(1880年頃、ピアノ独奏曲)
アイルランドの旋律「夏の名残のばら」La Dernière rose d'été. Mélodie irlandaise) (1891年、ハープ独奏曲)
「名残のばら」による4声のカノン(Vierstimmiger Kanon über das Lied 'Letzte Rose') (1903年、ピアノ独奏曲)
9つの英語の歌(Nine English Songs)より第4曲夏の名残のばらを聞いて」 (On Hearing 'The Last Rose of Summer')(1944年)
民謡編曲第4巻「ムーアによるアイルランドの旋律」(Folksong Arrangements, vol. 4: Moore's Irish Melodies)(1958年) より第9曲

ポピュラー音楽

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歌 "ブラック・マディ・リヴァー"(Black Muddy River)の中で詩を引用している。
アルバム クラン・ウル英語版
アルバム The Trees They Grow So High英語版で収録している。
メイヴヘイリー・ウェステンラが音楽グループ ケルティック・ウーマンとして歌っている。また、メンバーの一人クロエ・アグニューがソロアルバムに収録している。ツアーCeltic Woman: A New Journey英語版では、アグニューはメイヴ、ウェステンラ、リン・ヒラリーと共に歌っている。同じバージョンをアグニューとヒラリーがツアー Isle Of Hopeで歌っている。メイヴはソロアルバム Celtic Journeyにも収録している。
1977年のアルバム "背信の門"で、"'夏の名残のばら'"と題する曲が収録されている。これはロブ・ハルフォードグレン・ティプトンが書いたものであり、"頑固な愛"を歌っている。
1993年のアルバム ブラック・ライダー英語版にて、舞台演出家ロバート・ウィルソン英語版や小説家ウィリアム・S・バロウズとの共作による同名の舞台作品に基づく「夏の名残のばら」と題する歌を収録している。この歌の中でウェイツは、"暗くて長い影"(in shadows dark and long)で覆われた "大好きなばら"(favourite rose)の花びらについて話している。歌の終わりは "I can be found in the garden singing this song / When the last rose of summer is gone."という言葉で締めくくられる。
ソロ・デビュー・アルバム "ソングス・フロム・ビフォー英語版"にて、"'夏の名残のばら'"と題する歌を収録している。
アルバム The Last Rose英語版 (2011年)にて、タイトル曲として収録している。
2013年のアルバム イーザス英語版に収録された歌 "'ブラッド・オン・ザ・リーヴス英語版'"で、夏の名残のばらを引用している。

関連

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庭の千草(上記の項)、主な録音

文学作品上での言及

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映画、テレビ、ラジオ

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彼の他の男の体で生き返った主人公ジョー・ペンドルトン(Joe Pendelton)が、自分のその生存を証明するのに中々うまくいかず、最後に成功した方法がサクソフォンで "夏の名残のばら" を吹くことだった。 他の登場人物は皆彼のことを単に体を得た死者と思っているが、彼がかつてのボクシングのマネージャーのためにサクソフォンを吹くときにかつてしていたのと同じ音を間違えたことで、あの世から戻ってきたという彼の話が真実であることを確かめる。
イングリッド・バーグマン演じる主人公ポーラ(Paula)の絞殺された叔母オペラ歌手アリス・アルクイスト(Alice Alquist)と結び付けられている。
エンディングのケイティ・ジョンソンが警察署から立ち去るシーンで、ハーディ・ガーディの演奏で聞こえる。
ハーモニカで吹く場面が登場する。
主人公オハラ(P.L. O'Hara)のテーマ音楽として使用されており、映画全体のライトモティーフとなっている。
アーロン・マカスカー演じるジェイミー・マグワイヤ英語版が、妹マンディー・マグワイヤ(Mandy Maguire、サマンサ・シッドール英語版が演じている)の葬式で歌った。
殉職したシカゴ市警察の警察官アントニオ・ベッツ(Antonio Betz)の追悼式の中で制服警官として登場するジェイソン・ベイル(Jason Bayle)の歌で取り上げられた。
2012年の予告映像 "赤"(Red) の中で出てくる祭壇にサマー・ローズ("Summer Rose")の言葉が詩の30行目 "Thus Kindly I Scatter"と共に刻まれている。この言葉は、主人公ルビー・ローズ(Ruby Rose)の母の名としても用いられている。
アレンジが加えられて'"Kamsuanjan"' ("月の嘆き"(The Moon Lament)の意味) という名前で悲劇的なエンディングの中でエンディングテーマとして使用された。

ゲーム

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脚注

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  1. ^ ダニー・ボーイはロンドン/デリー出身?「ダニー・ボーイ」の歌をめぐる一考察 小村 志保”. 学習院女子大学. 18 October 2015閲覧。
  2. ^ 夏の名残の薔薇”. 石川敏夫. 18 October 2015閲覧。
  3. ^ 「蛍の光」は差し支えない、英米音楽追放(『東京日日新聞』昭和16年12月31日)『昭和ニュース辞典第7巻 昭和14年-昭和16年』p324 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年
  4. ^ "Ulysses by James Joyce: The Last Rose of Summer. 2009年6月29日閲覧
  5. ^ Three Smart Girls Grow Up”. Deanna Durbin Devotees. 9 July 2013閲覧。
  6. ^ Plot Spot - BBC. 2015年10月18日閲覧

外部リンク

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ウィキソースのロゴ 英語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります: The Last Rose of Summer

ウィキソースには、庭の千草の原文があります。