発泡日本酒
発泡日本酒(はっぽうにほんしゅ)とは、発泡性のある、すなわち炭酸ガスを含んでいる日本酒のこと。発泡清酒(はっぽうせいしゅ)、スパークリング日本酒とも呼ばれる。また「活性」と表示された場合、それが発泡を意味している場合も多い。無色透明に近い発泡清酒だけでなく、滓(おり)によって濁っているタイプ(「発泡にごり酒」「活性にごり酒」と呼称されることもある)も多い。
歴史
[編集]太平洋戦争前から一部の酒蔵で生産されていたが、長いこと注目されることはなかった。平成以降、消費者の嗜好の広がりとそれに合わせた酒蔵による日本酒の多様な展開の一環として、市場で脚光を浴びるようになってきた。2016年には発泡日本酒を製造する酒蔵各社により「awa酒協会」が設立された[1]。醸造方法や品質について独自の基準で監査しており、2017年4月時点で9つの酒蔵が参加している。
フォーミュラ・ニッポン→スーパーフォーミュラや全日本ロードレース選手権など日本国内のモータースポーツイベントの一部では、表彰式でのシャンパンファイトに発泡日本酒を用いている。
製法
[編集]製法には、シャンパンと同様の瓶内二次発酵方式と、炭酸ガス注入方式とがある。また、搾りたての清酒には溶存炭酸ガスによる微発泡性を持つものもある。
瓶内二次発酵方式
[編集]アルコール発酵が止まっていない醪(もろみ)を火入れせずに酵母が生きた状態で瓶詰めし、瓶内でさらに発酵を進めて炭酸ガスを瓶内に閉じ込める方法。純米酒に用いられることが多い。
この製法がワインに対するシャンパーニュと同等の製法である。
炭酸ガス注入方式
[編集]アルコール濃度の低い酒に炭酸ガスを溶かし込んで製造する。純米酒の原酒で、水も加えていなければ炭素濾過もしていない酒が対象とするのに適しているといわれる。 炭酸ガスを入れてから十日ほど経ったときに醪をしぼり、もう一度酵母を入れて醗酵させ、出てくる炭酸ガスを低温でそのまま溶存させて出荷する。
特徴
[編集]清酒や静置されていても瓶内で濁りが均等になっている発泡日本酒は、同じく発泡性であるスパークリングワイン同様、開栓前に揺らしたり振ったりすることは禁物である。品質の劣化や炭酸ガスの噴出を避けるため、開栓には注意を要し、栓をゆるめて中から発泡してきたらしばらく様子を見ながらゆっくりと開ける。滓が瓶底に沈殿している微発泡タイプの濁り酒では、瓶を静かに揺らして滓を拡散させてから注ぐことが推奨されている商品もある。
脚注
[編集]- ^ “「awa酒協会」公式サイト”. 一般社団法人「awa酒協会」ホームページ. 2017年4月13日閲覧。