愛玩動物看護師
| 愛玩動物看護師 | |
|---|---|
| 英名 | Veterinary Nurses for Companion Animals |
| 実施国 |
 日本 |
| 資格種類 | 国家資格 |
| 分野 | 動物愛護 |
| 試験形式 | マークシート |
| 認定団体 | 一般財団法人動物看護師統一認定機構 |
| 認定開始年月日 | 2023年3月17日 |
| 等級・称号 | 愛玩動物看護師 |
| 根拠法令 | 愛玩動物看護師法 |
| 公式サイト | 環境省 |
 ウィキプロジェクト 資格 ウィキポータル 資格 | |
愛玩動物看護師（あいがんどうぶつかんごし）は、日本の国家資格で、2019年（令和元年）6月28日に制定された[1][2]。農林水産大臣および環境大臣の免許を受けて、愛玩動物看護師の名称を用い診療の補助を業とする者をいい、その資格は名称独占・業務独占となる[1][2][3]。愛玩動物看護師の英記名称は、Veterinary Nurses for Companion Animals（VNCA/VNs）としている[4][5][6]。
概要
[編集]およそ2万人が動物看護に従事しているといわれるなか、各教育・養成機関がそれぞれの基準で資格認定を行い、動物看護に係る複数の資格が混在していた[3][7][8]。2013年（平成25年）より、民間主体で共通のカリキュラムが整備され資格が統一されるようになったが、動物病院においては、幅広く実務を担う動物看護者がなくてはならない存在として既に定着している一方で、その資格や業務について定める法律がないことから、動物看護者の技術的水準の確保やその業務を十分に果たすことのできる環境の整備が喫緊の課題となっていた[3][7][8]。そのような中で、各方面から動物看護者の国家資格化を求める声が高まり[注 1]、2019年（令和元年）6月に愛玩動物看護師法が成立、公布された[1][3][8]。これにより、動物看護者は「愛玩動物看護師」の名称のもと、国家資格化されることとなった[8][9]。
愛玩動物看護師の業務は、診療の補助、愛玩動物の世話その他の愛玩動物の看護、愛玩動物を飼養する者その他の者に対する愛護および適正な飼養に係る助言等で、診療の補助とは、獣医師の指示の下に行われるものと規定されており、例えば輸液剤の注射、採血、マイクロチップの装着、カテーテル留置、投薬等が含まれる[14][15][16]。一方で、診断、エックス線撮影等における放射線の照射、ワクチンなど愛玩動物の身体への影響が大きい医薬品の投与等については含まれない[1][16]。また、調剤についても行うことはできない[17][18]。診療を補助できる愛玩動物とは、犬、猫および愛玩鳥[注 2]とされている[17][19]。
愛玩動物看護師国家試験の受験資格は、法施行後に主務大臣の確認を受けた大学または都道府県知事指定の養成所において愛玩動物看護師に必要な教育課程を終えることによって得ることができる[2][9][20]。また、受験資格には2027年（令和9年）4月30日まで特例措置が設けられており、法施行日前に指定大学または養成所を卒業した者・法施行日時点で指定大学または養成所に在籍する者は指定講習会を受講、実務経験を通算5年以上を有した者は指定講習会を受講し予備試験に合格することで受験資格を得ることができる[2][20][21]。愛玩動物看護師国家試験に合格し愛玩動物看護師名簿に登録することで免許証が付与される[1][2]。
2023年（令和5年）2月19日に第1回愛玩動物看護師国家試験が実施され18,481人が合格、免許所持者（名簿登録者）は2023年（令和5年）7月1日現在で16,518名である[14][15][22]。
脚註
[編集]註釈
[編集]- ^ 2011年（平成23年）3月22日に衆議院農林水産委員会は、同年3月25日には参議院農林水産委員会も、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を可決する際に、内閣に動物看護師の制度化を検討するよう附帯決議を付した[1][8][9][10][11]。また、2012年（平成24年）8月28日にも衆議院環境委員会および参議院環境委員会は、動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案を可決する際に、内閣に動物看護師の制度化を検討するよう附帯決議を付した[8][9][12][13]。
- ^ 愛玩鳥とは、セキセイインコなどオウム科全種、ブンチョウなどカエデチョウ科全種およびカナリアなどアトリ科全種である[17][19]。
出典
[編集]- ^ a b c d e f 酒井健夫「認定試験機関から国家試験指定機関への期待と課題（その1）」『日本獣医師会雑誌』第73巻第10号、公益社団法人日本獣医師会、東京、2020年10月20日、544-556頁、ISSN 0446-6454、全国書誌番号:00018657、2023年7月26日閲覧。
- ^ a b c d e 「愛玩動物看護師法（五十）」『官報号外』第51号、独立行政法人国立印刷局、東京、2019年6月28日、14-18頁、全国書誌番号:00004540、2023年7月26日閲覧。
- ^ a b c d 『参議院環境委員会会議録』（第10号）参議院事務局、東京〈第198回国会〉、2019年7月2日、1-12頁。
- ^ “主務省WEBサイト「愛玩動物看護師法の概要 英語版 仮訳」が公表されました！”. お知らせ. 一般社団法人日本動物看護職協会 (2022年4月22日). 2023年7月26日閲覧。
- ^ “愛玩動物看護師法の概要（英語版、仮訳）”. 愛玩動物看護師. 消費・安全. 農林水産省. 2023年7月26日閲覧。
- ^ “英語版（仮訳）”. 愛玩動物看護師法. 動物の愛護と適切な管理. 環境省. 2023年7月26日閲覧。
- ^ a b 横田淳子「愛玩動物看護師法制定への取組みと展望」『日本獣医師会雑誌』第73巻第12号、公益社団法人日本獣医師会、東京、2020年12月20日、684-687頁、ISSN 0446-6454、全国書誌番号:00018657、2023年7月26日閲覧。
- ^ a b c d e f 藤本理恵「獣医療の向上を目指した愛玩動物看護師の国家資格化」『立法と調査』第419号、参議院事務局、東京、2019年12月、43-54頁、ISSN 0915-1338、全国書誌番号:00024222、2023年7月26日閲覧。
- ^ a b c d 下薗惠子「専門学校における国家資格化の歩みの記録と今後の展望」『日本獣医師会雑誌』第74巻第1号、公益社団法人日本獣医師会、東京、2021年1月20日、6-12頁、ISSN 0446-6454、全国書誌番号:00018657、2023年7月26日閲覧。
- ^ 『衆議院農林水産委員会議録』（第5号）衆議院事務局、東京〈第177回国会〉、2011年4月1日、1-4頁。
- ^ 『参議院農林水産委員会会議録』（第3号）参議院事務局、東京〈第177回国会〉、2011年4月8日、1-16頁。
- ^ 『衆議院環境委員会議録』（第12号）衆議院事務局、東京〈第180回国会〉、2012年9月3日、1-2頁。
- ^ 『参議院環境委員会会議録』（第12号）参議院事務局、東京〈第180回国会〉、2012年9月6日、1-16頁。
- ^ a b ““ペットの看護師”新国家資格 愛玩動物看護師 きょう初試験”. 首都圏のニュース. NHK NEWS WEB. 日本放送協会 (2023年2月19日). 2023年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月26日閲覧。
- ^ a b “「ペット看護師」初の国家試験で１万８４８１人合格…犬・猫など採血や投薬”. 読売新聞オンライン. 株式会社読売新聞グループ本社 (2023年3月17日). 2023年3月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月26日閲覧。
- ^ a b “愛玩動物看護師法の運用について（令和4年5月1日付4消安第702号・環自総発第2205015号）”. 愛玩動物看護師法. 動物の愛護と適切な管理. 環境省 (2022年5月1日). 2023年7月26日閲覧。
- ^ a b c 境政人「愛玩動物看護師法の運用における獣医師及び獣医師会の役割と国民の期待」『日本獣医師会雑誌』第74巻第2号、公益社団法人日本獣医師会、東京、2021年2月20日、74-83頁、ISSN 0446-6454、全国書誌番号:00018657、2023年7月26日閲覧。
- ^ “第2回愛玩動物看護師カリキュラム等検討会（令和2年9月28日）議事録”. 愛玩動物看護師. 消費・安全. 農林水産省 (2020年). 2023年7月26日閲覧。
- ^ a b 「愛玩動物看護師法施行令（二七三）」『官報』第584号、独立行政法人国立印刷局、東京、2021年9月29日、2頁、全国書誌番号:00004540、2023年7月26日閲覧。
- ^ a b 野村環，大倉尚子「愛玩動物看護師の誕生に向けて」『日本獣医師会雑誌』第75巻第10号、公益社団法人日本獣医師会、東京、2022年10月20日、462-465頁、ISSN 0446-6454、全国書誌番号:00018657、2023年7月26日閲覧。
- ^ 「愛玩動物看護師法の施行期日を定める政令（三〇九）」『官報』第352号、独立行政法人国立印刷局、東京、2020年10月14日、3頁、全国書誌番号:00004540、2023年7月26日閲覧。
- ^ “トップページ”. 一般財団法人動物看護師統一認定機構 (2023年). 2023年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月26日閲覧。