振動積分作用素
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数学の調和解析の分野における振動積分作用素(しんどうせきぶんさようそ、英: oscillatory integral operator)とは、次の形式で記述される積分作用素のことを言う:
ここで、函数 S(x,y) は作用素のフェーズ(phase)と呼ばれ、函数 a(x,y) は作用素のシンボルと呼ばれる。λ はパラメータである。しばしば、S(x,y) は滑らかな実数値函数で、a(x,y) は滑らかかつコンパクトな台を持つ函数であると仮定される。通常、大きな値を取る λ に対する作用素 Tλ の挙動に、研究の興味は注がれる。
振動積分作用素は、数学の多くの分野(解析学、偏微分方程式論、積分幾何学、数論など)や、物理学の分野において、たびたび扱われる。振動積分作用素の性質は、エリアス・スタインとその学派によって研究されている[1]。
ヘルマンダーの定理
[編集]振動積分作用素の L2 → L2 作用(あるいは、L2 → L2作用素ノルム)に対する上界についての次に述べる結果は、フーリエ積分作用素に関するラース・ヘルマンダーの論文[2]において得られたものである。
x,y ∈ Rn, n ≥ 1 について考える。S(x,y) を実数値の滑らかな函数とし、a(x,y) を滑らかかつコンパクトな台を持つ函数とする。a(x,y) の台の上の至る所で が成り立つなら、初めは滑らかな函数として定義される Tλ を L2(Rn) から L2(Rn) への連続作用素へと拡張し、そのノルムが任意の λ ≥ 1 に対して で評価されるようなある定数 C が存在する。すなわち、
が成立するような、ある定数 C が存在する。
参考文献
[編集]- ^ Elias Stein, Harmonic Analysis: Real-variable Methods, Orthogonality and Oscillatory Integrals. Princeton University Press, 1993. ISBN 0-691-03216-5
- ^ L. Hörmander Fourier integral operators, Acta Math. 127 (1971), 79–183. doi 10.1007/BF02392052, http://www.springerlink.com/content/t202410l4v37r13m/fulltext.pdf
関連文献
[編集]- 藪田公三、中路貴彦、佐藤圓治、田中仁、宮地晶彦:「解析学百科I:古典調和解析」、朝倉書店、ISBN 978-4-254-11726-4 (2008年3月15日)。第4章:"振動積分と掛谷問題"。