擬革紙
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擬革紙(ぎかくし)は、表面に皺や凹凸、色を付け、革のような風合いに加工した和紙。三重県指定伝統工芸品。
概要
[編集]擬革紙は、江戸時代の1684年(貞享元年)に、油紙屋の三島屋(現・三重県多気郡明和町新茶屋)の初代堀木忠次郎がヨーロッパから輸入された装飾革(金唐革)を模して製作したのがはじまりとされる[1][2]。特に伊勢国周辺では伊勢神宮参拝の身支度や土産用の品として、土産物屋の壺屋が擬革紙を使った煙草入れを商品化し[2]、流行した[3]。擬革紙はやがて、金唐革紙(きんからかわかみ)と称する壁紙に発展していく[2]。
擬革紙の製造は、昭和初期まで三重県の櫛田(現・松阪市)から宇治(現・伊勢市)にかけての伊勢街道沿いにおける一大地場産業であったが、時代の変遷とともに衰退していった[1]。
近年、三重県度会郡玉城町を拠点とする「参宮ブランド擬革紙の会」がこの技法を復興し、資材はできる限り三重県産のものを使用し、和紙は伊勢和紙を使用している[1]。この伊勢和紙を使用した製品に限り2013年に三重県指定伝統工芸品の認定を受けている[4]。
脚注
[編集]- ^ a b c 百五銀行. “いま、グループネット / 参宮ブランド 擬革紙の会” (PDF). 百五銀行. 2017年1月18日閲覧。[リンク切れ]
- ^ a b c 本田榮二『ビジュアル解説 インテリアの歴史』秀和システム、2011年、450-456頁。
- ^ 三重県まちかど博物館. “三重の伝統工芸品(伊勢志摩地域)”. 三重県庁. 2017年1月18日閲覧。
- ^ 三重県庁 雇用経済部 地域資源活用課 伝統産業・地域資源活用班. “三重の伝統工芸品(伊勢志摩地域)”. 三重県庁. 2017年1月18日閲覧。
関連項目
[編集]- 三重県指定伝統工芸品
- 伊勢和紙
- 金唐革紙
- Presstoff - 19世紀初めにドイツで作られた紙パルプから作られた擬革