新撰亀相記
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新撰亀相記(しんせんきそうき)は、平安時代の卜占書。神祇官の卜部の伝承・職掌に関する書である[1]。
概要
[編集]亀の甲は古来卜占に使われ(亀卜)、書名の「亀相」は亀卜でのひびの形状から時勢を見通す様を表したとされる[2]。成立・作者は、本文によれば天長7年(830年)8月の卜部遠継による撰[1][2][3]。全四巻(甲巻・乙巻・丙巻・丁巻)のうち甲巻が現在に伝わる[1]。
現存写本(甲巻)の内容は、前半部を卜占・神事に関する所伝、後半部を卜占の作法・方法等とする[2]。記述には『古事記』や祝詞との一致が認められるほか[1]、特に卜部氏独自の所伝が見られる点が注目される[3]。
なお、本書は天長7年(830年)に卜部遠継から淳和天皇に奏上されたとする説もあるが、確かではない[2]。
写本
[編集]- 現存する写本14本のなかで書写年代が最も古く、諸本の祖本的性格を有するとされる[4]。
内容
[編集]本文中の目録によれば構成は次の通り[2]。
- 甲巻:伊佐諾・伊佐波両神生淤能己侶島条以下30条
- 乙巻:地之称候
- 丙巻:天之称候
- 丁巻:神人兆三卦称候
現存写本は甲巻部分とされる[1]。ただし現存写本にも乙巻・丙巻・丁巻の内容が見られることから、乙巻・丙巻・丁巻は目録通りでない可能性と、乙巻・丙巻・丁巻ではさらに詳述されていた可能性とが指摘される[2]。
関連文献
[編集]- 影印:『東大本新撰龜相記梵舜自筆』、大学書林、1957年。
- 翻刻:秋本吉徳 「新撰亀相記の研究 : 翻刻之部」『清泉女子大学紀要』第26号、清泉女子大学、1978年。
- 校本:「新撰亀相記」『海部氏系圖・八幡愚童記・新撰龜相記・高橋氏文・天書・神別記』(神道大系, 古典編 13)、 神道大系編纂会、1992年。
- 校本・研究:工藤浩 『新撰亀相記の基礎的研究 : 古事記に依拠した最古の亀卜書』、日本エディタースクール出版部、2005年。
- 校本:「新撰亀相記」『古代氏文集 : 住吉大社神代記・古語拾遺・新撰亀相記・高橋氏文・秦氏本系帳』、 山川出版社、2012年。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 鎌田純一「新撰亀相記」『国史大辞典』吉川弘文館。
- 早川万年「新撰亀相記」『日本古代史大辞典』大和書房、2006年。ISBN 9784479840657。
- 工藤浩『新撰亀相記の基礎的研究 : 古事記に依拠した最古の亀卜書』日本エディタースクール出版部、2005年。ISBN 4888883513。
- 沖森卓也・佐藤信・矢嶋泉編著 編「新撰亀相記」『古代氏文集 : 住吉大社神代記・古語拾遺・新撰亀相記・高橋氏文・秦氏本系帳』山川出版社、2012年。ISBN 9784634593947。