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日本妖怪大全

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

日本妖怪大全』(にほんようかいたいぜん)は、講談社から出版された水木しげるによる妖怪の解説書および画集。日本各地の妖怪を収めた本書は1991年に正編、1994年に続編が出版され、2014年には895点の妖怪画を収録した『決定版 日本妖怪大全』が出版された。

概要

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日本妖怪大全』は1991年に講談社のKCデラックスからB5判サイズで出版。日本の妖怪を描いた423点の絵と解説を五十音に分類してまとめており、これまでの類書に比べてより事典らしくなっている[1]。その後、1994年には288点の妖怪画を収めた『続・日本妖怪大全』が同社から出版。前作の続編として新たな妖怪画が収録される一方で、水木ならではの「現代の妖怪」の章が新設されている。また、同年に正編の文庫版『図説 日本妖怪大全』、2007年に続編の文庫版『図説 日本妖怪大鑑』が講談社+α文庫としてそれぞれ出版。妖怪画が追加されて解説がより詳細になり、カラー口絵なども一部変更されている。

そして、これら正・続2冊の文庫版を1冊にまとめて増補・再編集した『決定版 日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様』(講談社文庫)が2014年に出版。新たな研究をふまえた解説に、50年以上描きためた日本の妖怪や神仏など全895点の妖怪画が収められた水木妖怪図鑑の集大成とされる[2][3]。900ページ以上の文庫本で厚さが4センチにもなることから、「枕にもなる」と水木は本書の完成を喜んでいたという[3]。基本は1ページに1体の妖怪を紹介しており、上部に絵、下部に解説という構成。文庫サイズゆえに絵は小さいが、1冊における収録数としては最も多い[4]

備考

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1968年版
『日本妖怪大全』は1968年12月に『週刊少年マガジン』の増刊号としても出版されている。これは通常の単行本ではなく雑誌コードで出版されたもので、巻末にはつげ義春の漫画が併録されていた。『週刊少年マガジン』誌上に掲載された「決定版日本妖怪大画集」を再構成したもので、水木しげるにとっては初めての妖怪画集である。当時の決定版として本書の妖怪は大衆に定着していったとされ[5]手塚治虫も本書を所持していたと手塚眞が証言している[6]
その他
  • 水木しげるロードが計画段階の頃にタイミング良く『日本妖怪大全』が出版されたことで、設置する妖怪ブロンズ像の選定に重宝したという[7]。なお、本書は境港妖怪検定の公式テキストブックにも指定されている。
  • マレー半島に住むセノイ族の村を訪ねた際、彼らに本書を見せたところ「いる」「見た」と妖怪を指さして大騒ぎになった。水木はこれがヒントになって「妖怪千体説」を唱えようになる[8]。これは、妖怪は世界中に無数にいるが、それぞれ共通性があり凡そ千種類に集約されるという説である。
  • コリン・ウィルソンに本書を進呈すると大変驚かれ、そういうものが絵で表現できることを羨ましがられたという[9]
  • 『図説 日本妖怪大鑑』に掲載された妖怪のうち、「新ぬりかべ」「新ぬらりひょん」が、2017年1月14日に実施された大学入試センター試験の「日本史A」の試験問題中で、『妖怪ウォッチ』に登場する「ムダヅカイ」「ロボニャン」とともにとりあげられた[10]

書誌情報

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関連書籍

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脚注

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参考文献

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  • 志村有弘『水木しげるの魅力』勉誠出版、2002年7月。ISBN 4-585-09075-4 
  • 「水木しげる詳細年譜」『完全版 水木しげる伝』 下(戦後編)、講談社漫画文庫、2005年1月。ISBN 4-06-360838-7 
  • 水木しげる『水木サンの幸福論』角川文庫、2007年4月。ISBN 978-4-04-192919-3 
  • 水木しげる『カラー版 妖怪画談』岩波新書、1992年7月。ISBN 4-00-430238-2 
  • 黒目友則『妖怪になりそこなった男 水木しげるロード物語』YMブックス、2007年7月。ISBN 978-4-903548-04-3 
  • 京極夏彦『対談集 妖怪大談義』角川文庫、2008年6月。ISBN 978-4-04-362005-0 
  • 京極夏彦『妖怪の理 妖怪の檻』角川文庫、2011年7月。ISBN 978-4-04-362010-4