日立フローラ
フローラ(英: FLORA)は、日立製作所が製造、販売していた、ビジネス向けパーソナルコンピュータである。
概要
[編集]1991年、日立は従来の企業向け製品であったB16/B32シリーズの販売を終了し、PC/AT互換機に日本語機能を追加したAX規格に準拠したパソコン、「フローラ」を発表した。バブル崩壊し始めの当時、従来の大型汎用コンピュータによる集中処理から端末側での分散処理への移行、ダウンサイジング化の動向に合わせ、クライアントサーバモデルによるネットワーク処理システムを提案した。
1993年には、DOS/VならびにWindows 3.1対応に変更され、一般的なPC/AT互換機となった。1994年にはコンシューマモデルがラインナップされ、1995年にコンシューマブランドPX(後の FLORA Prius)が登場、1999年に独自ブランドとして分離した。1997年に液晶ディスプレイをキーパーツとした一体型、スリムタワー型を主力ラインナップとし、パソコンの省スペース、省エネを提案。後のパソコンの潮流をいち早く採用した。1998年には、高速なマルチメディア対応のオペレーティングシステムとして注目されていた、 BeOSを搭載したモデルFLORA Prius 330Jを発表[1]、秋葉原などの一部店舗などを中心に販売した。
2005年には、当時施行された個人情報保護法に対応した、ハードディスクなどの大容量記憶装置を除去、オフィスのサーバに保管、仮装ドライブとして利用するセキュリティPC(FLORA Se シリーズ)を発売した。このPCにはUSBポートなどがあるが、外付け外部記憶装置及び外部出力装置は一切使用できない(後付けで改造して使用することは可能) 。オペレーティングシステムはWindows XP Embeddedを採用している。なお、USBポートにはKeyMobileという認証キーを差さないと認証が通過しない仕組みになっている。その他、指静脈認証装置、USBハンドフォンのみが動作対象保証とされている。
2005年、Microsoft Office Professional Edition 2003およびMicrosoft Office Standard Edition 2003を、マイクロソフトオープンライセンスエクスプレスとして提供が開始された。これは事前にマイクロソフトへの登録を事前に行うことにより、ライセンスの提供、インストール、ディスクキットの提供を実施するサービスである。従来のプレインストール品とは違い、ライセンス製品のため、機器を新しくした際でもライセンスが使用できる、ディスクキットがあればダウングレード権の行使ができるなどのメリットがある。しかし企業向けPC事業は赤字が続いていたことから、2003年辺りの一部のノートはシャープのOEMであった。
2007年3月、ヒューレット・パッカードと業務提携を結び、「ビジネス用PC(HP社製)」を販売した。これにより、自社でのビジネス用PCの製造は中止し、FLORAとしてのブランドは終了した[2][3]。ただし、前述の FLORA Se シリーズ(セキュリティPC)と、FLORA bd シリーズ(クライアントブレード)は製造販売を行っていたが、2017年3月にかけていずれも製造および出荷を終了した。
2007年8月には、コンシューマ向けモデルであった。FLORA Priusの製造が終了され、10月に同社は一般家庭向けPC事業からの撤退を表明した。
ラインアップ
[編集]各モデルとも3年保証と1年保証のものがある。3年保証のシリーズには「W」が付加される。例えばFLORA 310の3年保証であればFLORA 310Wとなる。
ただし、現在のFLORAシリーズでは全てに「W」がつくようになった。3年保証の場合はPC8から型式が始まり、1年保証の場合はPC4から型式が始まるように変更された(3年保証製品には「W」をかたどったマークに「WARRANTY」と書かれた銀色のシールが貼付されている)。
- ノートモデル
- デスクトップモデル
- 液晶一体型(FLORA 310シリーズ)
- スリムタワー型(FLORA 330シリーズ、350シリーズ)
- セキュリティPC(FLORA Seシリーズ)
- 液晶一体型(FLORA 310 Seシリーズ)
- スリムタワー型(FLORA 330 Seシリーズ)
- ノート型(FLORA 210 Seシリーズ)
- クライアントHDD用 ブレードサーバ(FLORA bdシリーズ)
従来モデル
[編集]- インターネットアプライアンス(タブレット型)(FLORA ieシリーズ)
- ブック型(ラップトップ)
- ミニタワー型(FLORA 400シリーズ)
脚注・出典
[編集]- ^ ASCII. “日立、BeOSプレインストールマシン『FLORA Prius 330J BeOS搭載モデル』を発表”. ASCII.jp. 2021年4月10日閲覧。
- ^ 日立、ビジネスPC「FLORA」の製造を中止〜HP製PCをFLORAブランドで展開、PC Watch、インプレス、2007年3月9日
- ^ 日立製作所のニュースリリース 日立製作所 2007年3月9日
- ^ “従来モデル -FLORA 220TX NP4”. hitachi.go.jp. 2022年5月25日閲覧。
- ^ “トランスメタ社製CPU「クルーソー」における不具合について-日立製PCは問題無し-”. hitachi.go.jp. 2022年5月25日閲覧。
関連項目
[編集]- チャンドラ - もともと ThinkPad として企画されたミニノート。フローラブランドでOEM販売(FLORA Prius note 210[1])
- Prius (日立製作所) - 末端消費者向けブランド
- マルス (システム) - フローラも端末に使われている
- ^ “日立、個人向けの液晶省スペースPC ほか”. pc.watch.impress.co.jp. 2021年4月10日閲覧。