有価証券のペーパーレス化
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
有価証券のペーパーレス化(英語: dematerialization of securities)とは、事務の効率化のため、従前の(私法上の意味での)有価証券(社債券や株券)を通じた権利(社債や株式)の発行・流通の制度を改め、券面の存在を前提としない振替制度に改革したことである。また、広義には、有価証券の存在を前提としつつも流通に際して券面の交付を要しない制度にすることを広く指し、この場合には不動化や大券化を含む。
有価証券は、本来、権利の流通を円滑にするために用いられるようになったものであったが、同時に券面という物理的な存在は、盗難や偽造、紛失などの危険も増大させるものであり、また発行・保管に係るコストの発生にもつながる。さらにITの発達は権利の流通面における券面の存在の必要性を大きく縮小させた。そこで、より機動的で安全な新たな権利の流通制度が設けられるようになり、権利は券面から切り離されることとなったのである。
日本におけるペーパーレス化の動向
[編集]- 1932年 - 社債等登録法制定。
- 2001年 - 短期社債の振替に関する法律が制定。
- 2002年 - 短期社債の振替に関する法律を社債等の振替に関する法律に改題する改正法が制定。
- 2003年1月 - 国債が社債等の振替に関する法律に基づく新しい振替決済制度に移行(新しい法的枠組みに基づく国債振替決済制度について(日本銀行))
- 2003年3月 - 短期社債(ペーパーレスCP)振替制度開始[1]
- 2004年 - 社債等の振替に関する法律を社債、株式等の振替に関する法律に改題する改正法が制定。
- 2006年1月 - 一般債振替制度(社債・地方債などを対象とする)開始[2]
- 2007年1月 - 投資信託の受益証券の振替制度(投資信託振替制度)開始[3]
- 2007年 - 電子記録債権法制定。
- 2008年1月 - 社債等登録法の廃止が施行。ETF(上場投資信託)の受益証券の振替制度開始[4]
- 2009年1月 - 株式等振替制度開始(上場会社の株券が一斉にペーパーレス化(電子化))。
- 2010年7月 - 受益証券発行信託の受益権の振替制度開始。
証券取引法・金融商品取引法における取扱い
[編集]券面から切り離された権利は商法上の意義における有価証券ではないが、金融商品取引法(旧証券取引法)においては、本来的に有価証券とされているものについては、ペーパーレス化されてもなお当該有価証券とみなされて同法による規制の対象となる。
脚注
[編集]関連項目
[編集]- 証券保管振替制度
- 振替法
- 電子記録債権 - 手形については、現行の手形そのものをペーパーレス化するのでなく、電子記録債権制度の中で電子手形の制度が導入される。
- 株券廃止会社
- 電子決済
- 電子航空券 - eチケット。
外部リンク
[編集]- 株券の電子化 - 日本証券業協会
- 『株券不発行制度』 - コトバンク
- 『株券のペーパーレス化』 - コトバンク