札苗実験場
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札苗実験場(さつなえじっけんじょう)あるいは札苗試験場(さつなえしけんじょう)は、札幌市東区に存在した札幌市交通局の案内軌条式鉄道の実験線。
概要
[編集]高速電車(のちの札幌市営地下鉄)導入に際して、前例の無い独自のゴムタイヤ式地下鉄を建設するべく、試験車両を用いて運行試験を実施した。1964年から1969年にかけて札苗小学校の南側となる現在の東区東苗穂7条2丁目付近に存在した交通局東苗穂自動車訓練所の敷地内に存在し、150mの直線軌道を皮切りに最終的に400mの環状コースと676mのS字カーブと直線のコースが敷かれた[1]。
札苗中央公園北側のカーブした道路は、試験軌道の跡である[1]。
試験車両
[編集]- 第1次試験車(廃車バスを改造[2]):1964年11月完成[3]。
- 第2次試験車(廃車バスを改造[2]):1965年5月完成[3]。現存しない。
- 第3次試験車「はるにれ」:1965年11月完成[3]。中央に走行車軸と前後にステアリング車軸の3軸構造とした[2]、車体および座席配置がマイクロバス型のガソリンカー。同局のA820形を踏襲した固定式の大窓が特徴。
- 第4次試験車「すずかけ」:1966年7月完成[3]。営業車両(1000形)と同等の2車体連接・7軸の足回りに、台枠と運転席のみの車体を載せた試作車。試験用の重しの載せ替えに都合のよい無蓋車形を採用した。
- ブルーム式試験除雪車:第1次試験車を改造。ササラ電車の応用。
- 真空式試験除雪車
なお、はるにれとすずかけは札幌市交通資料館で保存されている。2種類の除雪車も保存されていたが、2006年に状態不良のため撤去、処分された。
歴史
[編集]- 1964年(昭和39年) 11月4日に試走路設置[4]。第1次試験車(廃車バスを改造)を製作し、直線150メートルの試験軌道を敷き走行試験開始[1]。
- 1965年(昭和40年) 1周約400メートルの循環軌道を建設し、第2次試験車と第3次試験車「はるにれ」を製作する[1]。
- 1966年(昭和41年) S字型カーブなど全長676メートルの新試験線を建設し、冬期の試験を開始する[2]。
- 1967年(昭和42年) 変電設備や転てつ器などを建設し、第4次試験車「すずかけ」を製作する[1]。
- 1969年(昭和44年) 試験終了[1]。