東金囃子
東金囃子(とうがねばやし)は千葉県東金市の日吉神社連合祭典 (古くは山王祭、水祭ともよばれる) などで演奏される祭囃子[1]。
東金市の代表的な民俗芸能であり、市中を巡行する山車・屋形の上で各区の下座連によって演奏される。1963年(昭和38年)5月4日に千葉県の無形民俗文化財に「東金ばやし」として指定された[2]。
概要
[編集]千葉県東金市大豆谷にある日吉神社では、隔年ごとの旧暦六月(現七月)の二日間、例祭が行われ、その起源は江戸時代といわれる。この祭礼で演奏されるのが、東金ばやしである。歌舞伎下座音楽の影響を強く受けており、三味線や能管などの楽器が用いられる。曲によっては地方(じかた)による唄が囃子に織り交ぜられる。
明治期に東金市に逗留していた五代目芳村伊三郎が従来の曲を長唄風に編曲したことで現在の形となった。県内の佐原囃子や木更津ばやし、平群囃子などの著名な祭囃子とは系統を別にする[3]。
平成の「天皇陛下御即位奉祝行事」「天皇陛下御即位十年をお祝いする国民祭典」「天皇陛下御即位二十年をお祝いする国民祭典」「天皇陛下御即三十年をお祝いする国民祭典」、令和の「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」に岩崎区の山車ともに出演した[4]。
東金ばやしは日吉神社連合祭典に参加する9つの地区(大豆谷、臺方、上宿、谷、岩崎、新宿、堀上、川場、押堀)[5]それぞれで継承されており、各区を代表して岩崎区の東金ばやし保存会い若会、押堀区の雷囃子保存会の2つの下座連が保持団体として指定されている。
楽器
[編集]東金ばやしで用いられる楽器は以下のとおり。能楽囃子の四拍子に、大胴と長唄三味線を加えた六拍子の楽器によって演奏される。鳴物は長唄囃子望月流系統。三味線は元来は芳村派系と思われるが、昭和中期以降は杵勝派系の三味線方が務めており、現在は民謡系も包摂している。
- 篠笛 …1名~複数 三~四本調子が主流。
- 横笛(オオテキ) …1名~複数 能管の当地での呼称。
- 締太鼓 …3~4名
- 大胴(オオド) …1名
- 小鼓 …1名~複数
- 大鼓(オオカワ) …1名~複数
- 三味線 …1名~複数 長唄で用いる細棹三味線を使用
- 鉦 …1名 一部の地区でのみ使用されている。
曲目
[編集]東金ばやしは次の4つの曲に代表される
四丁目(シチョウメ、シチョメ)
[編集]4曲のうち最も壮重で儀礼的な曲で、笛は能管が用いられる。神社に入る時、各町の神社前を通過する時、山車や屋台が向かい合った時、雄蛇ヶ池に対する時に演奏され、敬意を表する意味を持つ。
通り囃子(トオリバヤシ)
[編集]別名を「東金囃子」。山車・屋形の曳行中に演奏される。笛は能管を用いる。
馬鹿囃子(バカバヤシ)
[編集]悪路や先を急ぐときに演奏されるテンポの速い曲。笛は篠笛を用いる。場化ばやし、場固めばやしとも伝わる。
雷囃子(ライバヤシ)
[編集]押堀区にのみ伝わる曲で四丁目に似る。別名「押堀囃子」。笛は能管を用いる。大旱魃にみまわれた折、竜ケ崎の龍神に祈願したところ豊作となったことに由来する。
その他
[編集]上記4曲の他にも各地区で広く演奏される「大漁節」や「通し囃子(亀の子)」「中山」の他、「い若囃子」「青と囃子」「五十瀬囃子」などの各地区独自の曲や、下座音楽由来の曲(「なんたら」「竹に雀(たけす)」「かごまち」「おんこと」)、「東金小唄」などの地元民謡や、周辺地域の獅子舞・鞨鼓舞の曲のほか、佐原囃子などの他地域の曲を取り入れている地区もある。
関連項目
[編集]出典
[編集]- ^ 『東金(市)』 - コトバンク
- ^ 千葉県. “県指定無形民俗文化財”. 千葉県. 2023年12月30日閲覧。
- ^ “東金市-東金市デジタル歴史館:東金市史”. adeac.jp. 2023年12月30日閲覧。
- ^ “東金の伝統芸能「東金ばやし」が天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典「奉祝まつり」に出演”. 東金市ホームページ (2019年11月11日). 2023年12月30日閲覧。
- ^ “日吉神社連合祭典”. 日吉神社 - 千葉県東金市にあります日吉神社のサイトです. 2023年12月31日閲覧。