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柳もち

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
柳もち

柳もち(やなぎもち)は、北海道札幌市札幌駅で販売されている菓子[1][2][3][4]。現在の製造・販売元は札幌駅立売商会[1][2][3][4]

なお、石川県金沢市金沢駅でもかつて同名の餅菓子が販売されていたが、本記事では札幌駅の「柳もち」を中心に言及し、金沢駅の「柳もち」については、別項で延べる。

概要

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札幌駅構内に4か所ある札幌駅立売商会の売店「弁菜亭」で販売されている[2][3][4]

1906年明治39年)、石川県金沢市出身で札幌市内で旅館を営んでいた洲崎庄次郎が、日本国有鉄道の許可を得て、札幌駅構内で販売を開始した[2][3][4][5][6][7]小豆こし餡で包んだあんころ餅の一種で、洲崎の郷里である金沢で古くから売られていた同名の団子(あんころ餅)が原型となっている[2][3][4][5][8]。名前の由来は、北陸路の柳橋の茶店で最初に販売されたからという説や、茶店のそばにの木があり、柳の葉のようなほっそりとした一口餅だったからという説などがある[8]

北海道内で現在販売されている駅弁では、銭函駅酒まんぢう(甘酒饅頭)に次ぐ歴史を持つ[2][3]第二次世界大戦末期から終戦直後にかけて、原料などの不足から一時製造が中止されたが、その後しばらくして復活[8]。当時ルーツである石川県の金沢駅でも「柳もち」は売られていたが、販売再開を機に本家から正式に「柳もち」の名前の使用許可を得ている[8]

札幌駅の名物として早くから全国的に知られ、土産物としても喜ばれている[9][10]。人気のピークは昭和20年代で、炭鉱景気に沸いていた夕張万字などから来た炭鉱マンが、御土産に1人で10~20箱も買っていたという[2][11]年末年始札幌祭り(6月15日)の時期には1日で1500箱以上の売上を記録し[2][3][4][5][11]修学旅行などの団体客にも好評であった[11]。その後は洋菓子などに押され、1980年代は1日100~150箱ほどに売上が減少し[11]2000年代に入ってからは1日20~30箱程度を製造するに留まっている[4][5]。それでも根強いファンが多く、昼前には完売することが多い[4]

現在の柳もちは一箱8個入りで、2列に仕切られた木製の容器に納められている[12]。昭和30年代までは一箱12個入りで、小豆餡てぼ餡(白餡)が4個ずつ交互に納められ、紅白を表していたが、その後白餡は味が落ちやすいという理由から作られなくなり、小豆餡のみとなった[13]

特徴

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柳もちは、煮た小豆を砂糖で味付けしたこし餡で、米の餅を包んで作る[11]。作り方は一つずつ手作りで、創業以来変わっていないという[4][11]。材料の小豆は十勝産、餅は粘りと腰があり、固くなりにくい「はくちょう米」と、何れも北海道産の素材を用いている[2][4][7][12]

金沢駅の「柳もち」

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洲崎の郷里・石川県では、7月の土用の丑の日に、「土用餅」として、暑気払いにで包んだ餅を食べる風習がある[5]。土用餅は、古くから宮中土用の時期に食されていたものがルーツで、江戸時代に入って団子を餡で包んだ形に変わり、庶民に広まったとされる[5]。金沢では茶店の名物「柳もち」として親しまれ、1898年(明治31年)から金沢駅構内で立ち売りされて人気を呼び、同じように餡で餅を包んだ「あんころもち」が金沢や県内のさまざまな店や駅で販売されるようになったという[2][5][7][14]。金沢駅の柳もちは、製造元が変わりながらも長く売られていたが[5][14]1993年平成5年)に後継者不足などを理由に一旦その歴史を閉じた[2][5]。その後2007年(平成19年)に市内の和菓子店「高川栄泉堂」が復活させたが[3][5][7]、現在は販売していないという[3]

参考文献

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  • 茜会(札幌市PTA協議会・小中学校PTA連合会婦人部有志)編著『札幌の食いまむかし』北海道教育社、1984年

脚注

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  1. ^ a b 『札幌の食いまむかし』139頁
  2. ^ a b c d e f g h i j k 「札幌駅名物 柳もち」 - 弁菜亭”. 札幌駅立売商会. 2024年11月20日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i 発売から110年!明治生まれの元祖・和スイーツ「柳もち」をご存知?”. 北海道ファンマガジン (2016年5月27日). 2024年11月20日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j 北海道駅弁物語③JR札幌駅の超ロングセラー「柳もち」 - SODANE”. 北海道テレビ (2019年10月26日). 2024年11月20日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j 「街を歩くと〔札幌駅銘菓は金沢生まれ〕土用餅から派生の「柳もち」100年前、須崎の庄次郎伝える」北國新聞、2009年7月19日朝刊社会面
  6. ^ 『札幌の食いまむかし』139-140頁
  7. ^ a b c d 朝日新聞デジタル:【まち歩きのススメ】■お菓子編 柳もち・ウロコダンゴ”. web.archive.org (2012年6月15日). 2024年11月22日閲覧。
  8. ^ a b c d 『札幌の食いまむかし』140頁
  9. ^ 』1954年9月号、日本交通公社、78頁
  10. ^ 『札幌の食いまむかし』140-141頁
  11. ^ a b c d e f 『札幌の食いまむかし』141頁
  12. ^ a b 「商品紹介 柳もち」 - 弁菜亭”. 札幌駅立売商会. 2024年11月20日閲覧。
  13. ^ 『札幌の食いまむかし』 142頁
  14. ^ a b 『札幌の食いまむかし』142-143頁

外部リンク

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