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栗田勇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

栗田 勇(くりた いさむ、1929年7月18日 - 2023年5月5日)は、日本のフランス文学者美術評論家作家翻訳家駒沢女子大学日本文化研究所名誉所長。

フランス象徴主義の詩人・ロートレアモン伯爵の作品を日本で初めて全訳し、レフ・トロツキーの翻訳も行った。また詩人でもあり、戯曲も書いた。多彩な創作、評論活動を展開し、仏教、寺院建築、美術等に関する日本文化論の著書を多く発表した。

経歴

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東京生まれ[1]満洲出身。父は栗田健男[2]

1947年、東京府立第六中学校(現東京都立新宿高等学校)卒業。1953年、東京大学文学部仏文科卒業。1955年、同大学院修士課程修了。1960年より文筆活動に入る。

1962年、松田政男山口健二川仁宏らが企画した自立学校で、谷川雁吉本隆明埴谷雄高黒田寛一森秀人らとともに、講師をつとめる[3]

明治大学千葉大学早稲田大学の講師を務める。駒沢女子大学教授、日本文化研究所所長を務め、名誉所長。

1977年、『一遍上人 - 旅の思索者』で芸術選奨文部大臣賞を受賞。1999年、紫綬褒章受章。

2023年5月5日、老衰のため死去[4]。93歳没。

著書

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  • 『サボテン 詩集』(ユリイカ) 1955
  • 『伝統の逆説』(七曜社) 1962
  • 『反世界の魔 情念の中の政治』(現代思想社) 1963
  • 『現代の空間』(三一書房) 1964
  • 『石の寺』(淡交新社) 1965
  • 『現代の教養』(三一新書) 1965
  • 『都市とデザイン』(鹿島研究所出版会) 1965
  • 『文学の構想 象徴の復権』(三一書房) 1966
  • 『愛はやすき業か』全2部(三一書房) 1967 - 1968
  • 『異貌の神々 ゴシック・バロック・ガウディの空間』(美術出版社) 1967
  • 『愛奴 戯曲』(三一書房) 1967
  • 栗田勇著作集」全5巻(新書館) 1968 - 1969
    1. 『現代の空間 / 映像の美学』
    2. 『都市の文明 / デザインの思想』
    3. 『伝統の逆説 / 美の様式』
    4. 『劇的なる空間 / 建築の展開』
    5. 『情念の政治 / 文学の構想』
  • 『青春の軌跡 対談 その思想と情念』(三一書房) 1968
  • 『愛奴の系譜』(双葉社) 1968
  • 『詩人トロツキー』(三一書房) 1969
  • 『神秘の国の愛奴』(新書館) 1969
  • 『知的正統のために』(河出書房新社) 1970
  • 『生きがいの美学 知的青春論』(新書館) 1971
  • 『神々の愛でし都』(中央公論社) 1972
  • 『逸楽の華さく都』(中央公論社) 1973
  • 紅葉の美学』(読売新聞社) 1973
  • 一遍上人 - 旅の思索者』(新潮社) 1977、のち文庫 2000
  • 『日本美の原像』(三省堂選書) 1977
  • 『思想としての建築』(鹿島出版会) 1978
  • 『飛鳥大和 美の巡礼』(新潮社) 1978、のち講談社学術文庫 1996
  • 『アントニオ・ガウディ』(PARCO出版局) 1978
  • 栗田勇著作集」全12巻(講談社) 1979-1986
    1. 『日本文化論 伝統の逆説 / 美と秩序』 1979.6
    2. 『日本文化論 紅葉の美学 / 日本美の源流』 1979.5
    3. 『日本文化論 大和熊野 - 古寺巡礼 / 山岳信仰の山 - 修験の思想』 1981.6
    4. 『日本文化論 一遍上人と遊行 / 美の彼岸』 1986.6
    5. 『文明論 神々の愛でし都 / 逸楽の華さく都』 1979.7
    6. 『文明論 都市とデザイン / 建築と文明』 1979.12
    7. 『芸術論 現代の空間 / 映像の美学』 1979.8
    8. 『芸術論 劇的なる空間 / 聖なる空間』 1979.9
    9. 『思想・文芸論 反世界の魔 / 象徴の森をすぎて』 1980.2
    10. 『思想・文芸論 知的正統のために / 思索の風景』 1979.11
    11. 『思想・文芸論 神話と文学 / 感性の城』 1980.1
    12. 『人生論 愛することの美学 / 生きがいの美学』 1979.10
  • 『熊野・高野・冥府の旅』(新潮社) 1979
  • 『われらは美しき廃虚をもちうるだろうか』(ティビーエス・ブリタニカ) 1979
  • 『古都往還 京都 - 時の愁い』(筑摩書房) 1980
  • 『古都転生 京都2 - 水の愁い』(筑摩書房) 1980
  • 『文明のたそがれ』(ティビーエス・ブリタニカ) 1980
  • 『古都遍歴 嵯峨野より』(筑摩書房) 1981
  • 『わがガウディ 劇的なる空間』(朝日選書) 1981
  • 『孤独な日本人 いまなぜ宗教か』(サンケイ出版) 1982
  • 『古都逍遥 風の旅路』(筑摩書房) 1983
  • 竹久夢二 愛と詩の旅人』(山陽新聞社) 1983
  • 道元の読み方 今を生き切る哲学 -『正法眼蔵』』(祥伝社) 1984、のち文庫 2001
  • 『イスラム・スペイン建築への旅 薄明の空間体験』(朝日選書) 1985
  • 良寛入門 もっと愚かに、もっと伸びやかに生きる道』(祥伝社) 1985、のち改題文庫化『良寛の読み方』 2001
  • 『神やどる大和』(新潮社) 1986
  • 『女人讃歌 甲斐庄楠音の生涯』(新潮社) 1987
  • 『造化のこころ 日本の自然と美のかたち』(白水社) 1988
  • 『禅と日本人』(河出書房新社) 1989
  • 『道元・一遍・良寛 日本人のこころ』(春秋社) 1990
  • 『古寺巡礼 日本精神の風景』(春秋社) 1990
  • 千利休と日本人 いま甦る「ばさら」の精神』(祥伝社) 1990
  • 『「岡田茂吉の世界」- 栗田勇氏は語る-』(エムオーエー商事) 1990
  • 『美の探訪』(クレオ) 1991
  • 『日本文化のキーワード 7つのやまと言葉でその宝庫を開く』(祥伝社) 1993
    • 『日本文化のキーワード 七つのやまと言葉』(祥伝社新書) 2010
  • 最澄天台本覚思想 日本精神史序説』(作品社) 1994
  • 『而今の花』(作品社) 1995
  • 白隠の読み方 謎の禅師 <息>によって心身を養う「夜船閑話」の知恵』(祥伝社) 1995、のち文庫 2001
  • 盆栽発見 その日その日』(新潮社) 1997
  • 最澄』上・中・下(新潮社) 1998
  • 西行から最澄へ 日本文化と仏教思想』(岩波書店) 1999
  • 『栗田勇 生きる知恵』上・下(日本放送出版協) 2001
  • 『花を旅する』(岩波新書) 2001
  • 『道元 いまを生きる極意』(日本経済新聞社) 2001
  • 『漂民 遠藤伸樹覚書』(岩波書店) 2001
  • 『捨ててこそ生きる 一遍遊行上人』(日本放送出版協会) 2001
  • 『花のある暮らし』(岩波新書) 2002
  • 『生きる知恵を学ぶ』(岩波書店) 2003
  • 『日本の心を旅する』(春秋社) 2003
  • 良寛』(春秋社) 2005
  • 一休 その破戒と風狂』(祥伝社) 2005
  • 『雪月花の心』(ロバート・ミンツァー英訳、祥伝社新書 ヴィジュアル版) 2008 - 講演録
  • 芭蕉』上・下(祥伝社) 2017

翻訳

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  • 『ロートレアモン全集』全3巻(ユリイカ) 1957 - 1958
  • 『わが生涯』(トロッキー、澁澤龍彦, 浜田泰三, 野沢協(林茂名義)と共訳、現代思潮社) 1961
  • 『コンミューンの炬火』(ブランキプルードン, S・モリニエ, S-L・プーシュ、浜田泰三共訳、現代思潮社) 1963
  • 『空間としての建築』(ブルーノ・ゼヴィ、青銅社) 1966
  • 『亡命日記 査証なき旅』(トロツキー、浜田泰三共訳、現代思潮社) 1968
  • 『ナジャ』(アンドレ・ブルトン、峰尾雅彦共訳、現代思潮社) 1976

関連項目

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脚注

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  1. ^ 『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.449
  2. ^ 大塚英子『夜の文壇博物誌』117p
  3. ^ 森秀人『実録・我が草莽伝』(東京白川書院)P.88
  4. ^ “栗田勇さん死去 「一遍上人」作家、評論家”. 産経新聞. (2023年6月6日). https://www.sankei.com/article/20230606-2BXYYBQ35RLFLOF6WEUISJPHDQ/ 2023年6月6日閲覧。