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武内良樹

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
武内 良樹
たけうち よしき
2023年12月、文部科学省にて
生年月日 (1960-05-12) 1960年5月12日(64歳)
出生地 日本の旗 日本東京都
出身校 東京大学法学部
オックスフォード大学
前職 財務官僚
現職 大阪学院大学特別顧問
明治安田生命顧問
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武内 良樹(たけうち よしき、1960年5月12日[1] - )は、日本財務官僚。元財務省国際局長、元財務官森友学園をめぐる問題で、大阪府豊中市の国有地の売却交渉が行われたときの財務省近畿財務局長を務めた[2][3]

来歴

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2023年12月、文部科学省にて

東京都出身[4]1983年東京大学法学部第2類(公法コース)卒業[5]国家公務員上級甲種試験(法律)を受験し[6]大蔵省入省[4]国際金融局国際機構課[5]オックスフォード大学留学(経済学修士)[7]主税局国際租税課租税協定第一係長などを経て[8]1989年7月、米子税務署長[9]1990年証券局総務課調査室課長補佐(調査)[9]1992年在アメリカ合衆国日本国大使館一等書記官[10]1998年7月、大臣官房企画官兼中央省庁等改革推進本部事務局企画官[9]2001年財務大臣塩川正十郎秘書官[10]2004年財務省主税局国際租税課長、主税局参事官[11]2006年主計局主計官(外務係、経済協力係、経済産業係担当)。2007年国際局為替市場課長[12]2009年7月14日王立国際問題研究所(財務省国際局付)[13]2011年大臣官房参事官2012年、大臣官房審議官[12]2014年、国際局次長[12]

森友学園問題

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2015年7月7日、財務省近畿財務局長に就任[2]

2016年3月30日、武内、大阪航空局長の加藤隆司、学校法人森友学園理事長の籠池泰典の三者は、大阪府豊中市の国有地の埋蔵物及び土壌汚染除去費用として、国が森友学園に1億3176万円を支払う旨の合意書を作成した[14][3]。同年4月6日、大阪航空局は森友学園に1億3176万円(埋設物対策分:約8632万円、土壌汚染対策分:約4543万円)を支払った[14][3]。同年6月14日、財務省は豊中市の国有地の「普通財産売払決議書」を決裁[15][16]。同年6月17日、武内は国際局長に就任[4]。同年6月20日、近畿財務局は森友学園との間で正式に売買契約を締結した。売却金額は非公開とされた[17][3]

2017年2月9日、朝日新聞が、払い下げの国有地に新設予定の安倍晋三記念小学校の名誉校長が安倍昭恵であること、森友学園側に契約違反があった場合、国が「1億3400万円」で買い戻す特約がついていたこと[注 1]、籠池が売却額が買い戻し特約と同額と認めたこと、売却額は同じ規模の近隣国有地の10分の1であること、籠池が日本会議大阪の役員を務めていることなどを報じた[18]

同年2月17日、安倍晋三首相は衆議院予算委員会で野党から追及を受けると「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい」と答弁した[19][20][21]。同年2月26日、財務省は、国有地売却の決裁文書から安倍昭恵、鴻池祥肇の秘書、平沼赳夫の秘書、北川イッセイの副大臣秘書官らに関する記述を「できる限り早急に」削除するよう、近畿財務局の職員7人にメールで指示。近畿財務局は同日から文書の改竄を開始した[22][23]。安倍首相と籠池の関係を指し示す記述も改竄が行われ、「籠池康博氏は、『日本会議大阪代表・運営委員』を始めとする諸団体に関与」「日本会議と連携する組織として、超党派による『日本会議国会議員懇談会』が平成9年5月に設立され、現在、会長に平沼赳夫議員、副会長に安倍晋三総理らが就任」などの文言が削除された[24][25][26]

同年5月15日、市民団体「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」(代表:八木啓代)は、財務省が森友学園との交渉記録を廃棄したとして、武内、迫田英典佐川宣寿田中一穂中尾睦、田村嘉啓、池田靖ら7人に対する公用文書等毀棄容疑での告発状を東京地方検察庁に提出した[27][28][29]。同年9月15日、東京地検は告発のあった被疑事件を大阪地方検察庁特別捜査部に移送した[30]

2018年3月7日、近畿財務局の元上席財産管理官の赤木俊夫が自殺[31]。3月8日、事態を重く見た官邸は武内を呼び、対応を協議[32]。3月9日、佐川は国税庁長官を辞任し、退官した[33]。3月27日、民進党の大塚耕平代表は国会内で記者団に対し、武内、安倍昭恵、昭恵夫人付きだった谷査恵子、迫田英典、総理大臣秘書官の今井尚哉の証人喚問が必要との認識を示した[34]。同年5月31日、大阪地検特捜部は、武内ら財務省幹部38人全員を不起訴処分とした[35][36]。同年6月13日、「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」は不起訴処分を不服として、武内ら被疑者24人について大阪検察審査会に申立てをした[37][38][39]

2019年3月13日、今井雅人は衆議院財務金融委員会で「国有地の値引きがなければ、改ざんも職員の自殺もなかった」とし、値引きを決めた当時の近畿財務局長だった武内の責任を追及した。武内は「哀悼の意を捧げる」などと述べるにとどめ、自身の責任については答えなかった[40]

財務官に就任

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2019年7月5日財務官に就任[41]2020年7月20日辞職[42]。同年大阪学院大学特別顧問、明治安田生命保険顧問[43]

2021年リベラ顧問、フィンテックグローバルエグゼクティブアドバイザー、マイスエー顧問[44]。同年11月に経済協力開発機構(OECD)事務次長に就任[45]

2022年9月27日に行われた故安倍晋三国葬儀にOECD代表として参列した[46][47]

入省同期

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脚注

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注釈

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  1. ^ 2017年6月29日、近畿財務局は買戻権を行使し、森友学園に売却した土地は大阪航空局所管の土地となった。所有権移転の登記手続も行われ、同日を異動年月日として国有財産台帳へ新たに記録された[17]

出典

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  1. ^ 『読売年鑑 2017年版』(読売新聞東京本社、2017年)p.225
  2. ^ a b 「塩じい」のかばん持ち 国際派の武内氏が近畿財務局長に就任”. 産経新聞 (2015年7月7日). 2023年5月23日閲覧。
  3. ^ a b c d 森友学園問題年表(関連情報を含む)”. 政府の公文書のあり方を問う弁護士・研究者の会. 2023年4月22日閲覧。
  4. ^ a b c “国税庁長官に迫田氏 財務省主税局長には星野氏”. 日本経済新聞. (2016年6月14日). https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H0H_U6A610C1EAF000/ 2017年3月15日閲覧。 
  5. ^ a b 『東大人名録 官公庁編』1986年発行、54頁
  6. ^ 略歴書
  7. ^ https://www.jcie.or.jp/japan/wp/wp-content/uploads/2019/09/TICAD7-financing_side-event_programbook_final.pdf
  8. ^ 真鍋繁樹『大蔵省懲りない権力:新・支配の構図』二期出版、1992年6月発行、185頁
  9. ^ a b c 『財務省名鑑 2019年版』時評社、2019年1月9日発行、84頁
  10. ^ a b “<人>近畿財務局長に就いた 武内良樹さん”. 神戸新聞. (2015年7月11日). https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201507/0008199439.shtml 2017年3月15日閲覧。 
  11. ^ 「租税条約交渉の相手国の選定」前主税局参事官 (主計局主計官(外務・経済協力・経済産業))武内 良樹『ファイナンス』2006.9
  12. ^ a b c “新しい「霞が関の顔」官僚人事でサプライズは? 財務省は主税局長から35年ぶりの次官。桜井パパが退任した総務省は初の女性官房長”. 日刊工業新聞. (2016年6月18日). http://newswitch.jp/p/5045 2017年3月19日閲覧。 
  13. ^ “財務省:国際局為替市場課長に古沢氏が就任へ-国際局主要ポスト一新”. ブルームバーグ. (2009年7月3日). https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2009-07-03/KM79TO1A1I4H01 2017年3月15日閲覧。 
  14. ^ a b 第193回国会 衆議院 財務金融委員会 第2号 平成29年2月15日”. 国会会議録検索システム. 2023年5月29日閲覧。
  15. ^ 乙第14号証の1(森友学園問題)”. 弁護士山中理司のブログ. 2023年5月16日閲覧。
  16. ^ 普通財産売払決議書(平成28年6月14日)”. 財務省. 2023年5月16日閲覧。
  17. ^ a b 会計検査院(2017年11月22日).
  18. ^ 吉村治彦、飯島健太 (2017年2月9日). “学校法人に大阪の国有地売却 価格非公表、近隣の1割か”. 朝日新聞. http://www.asahi.com/articles/ASK264H4YK26PPTB00J.html 2017年5月14日閲覧。 
  19. ^ 第193回国会 衆議院 予算委員会 第12号 平成29年2月17日”. 国会会議録検索システム. 2022年3月18日閲覧。
  20. ^ 小西洋之 (2018年7月20日). “安倍総理の「私や妻が関係していたということになれば、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」発言に関する質問主意書”. 参議院. 2022年3月18日閲覧。
  21. ^ 「私や妻が関係していたら辞める」のあと記録廃棄”. NHK (2018年6月4日). 2023年4月1日閲覧。
  22. ^ 原田晋也、皆川剛 (2021年6月23日). “森友問題「赤木ファイル」黒塗りでも読み解けたこと、残った謎 安倍昭恵氏の削除は初日に指示”. 東京新聞. https://www.tokyo-np.co.jp/article/112153 2021年9月21日閲覧。 
  23. ^ 渥美龍太、森本智之、桐山純平 (2021年6月23日). “決裁文書「議員に持って行くつもりない」 森友問題「赤木ファイル」ににじむ財務省の「本音」”. 東京新聞. 2023年4月1日閲覧。
  24. ^ 財務省(2018年3月12日), p. 44.
  25. ^ 決裁文書改ざんの財務省報告詳報”. 西日本新聞 (2018年3月12日). 2023年5月26日閲覧。
  26. ^ 朝日新聞取材班 2018, p. 193.
  27. ^ 財務省幹部の告発状提出 森友問題、記録廃棄の疑い”. 日本経済新聞 (2017年5月15日). 2023年4月21日閲覧。
  28. ^ 報道関係者各位”. 健全な法治国家のために声をあげる市民の会 (2017年5月15日). 2023年4月21日閲覧。
  29. ^ 告発状”. 健全な法治国家のために声をあげる市民の会 (2017年5月15日). 2023年4月21日閲覧。
  30. ^ 処分通知書(2017年9月15日)”. 東京地方検察庁 (2017年9月15日). 2023年4月21日閲覧。
  31. ^ 夫はなぜ死んだのか 森友問題公文書改ざん・自殺職員の妻が、高知で語った2時間〈ニュースを歩く特別編〉”. 高知新聞 (2021年5月22日). 2023年5月16日閲覧。
  32. ^ 伊藤博敏 (2018年3月15日). “「すべてが安倍さんを守るために動いてる」籠池氏が残した重い言葉”. 現代ビジネス. 講談社. 2023年5月29日閲覧。
  33. ^ 佐川宣寿国税庁長官が辞任 「森友問題」野党が追及、国会答弁・文書疑惑引責か”. 産経新聞 (2018年3月9日). 2023年5月18日閲覧。
  34. ^ 「さらに疑惑は深まった」佐川氏証人喚問を終えて大塚代表”. 民進党 (2018年3月27日). 2023年4月21日閲覧。
  35. ^ 森友改ざん・背任容疑、佐川氏ら全員を不起訴 大阪地検”. 朝日新聞 (2018年5月31日). 2023年4月19日閲覧。
  36. ^ 処分通知書(2018年6月1日)”. 大阪地方検察庁 (2018年6月1日). 2023年4月21日閲覧。
  37. ^ 報道関係者各位(2018年6月13日)”. 健全な法治国家のために声をあげる市民の会 (2018年6月13日). 2023年4月21日閲覧。
  38. ^ 公用文書等毀棄罪(文書廃棄)についての申立書”. 健全な法治国家のために声をあげる市民の会 (2018年6月13日). 2023年4月21日閲覧。
  39. ^ 虚偽有印公文書作成及び行使(文書改ざん)についての申立書”. 健全な法治国家のために声をあげる市民の会 (2018年6月13日). 2023年4月21日閲覧。
  40. ^ 麻生財務相「組織風土の改革に努める」 文書改ざん問題”. 朝日新聞 (2019年3月13日). 2023年4月21日閲覧。
  41. ^ 岡本次官・太田主計局長は留任、財務官に武内氏=財務省人事朝日新聞デジタル2019年7月2日13時12分
  42. ^ 令和2年7月20日発令” (PDF). 財務省 (2020年7月20日). 2020年7月26日閲覧。
  43. ^ 国家公務員法第106条の25第1項等の規定に基づく国家公務員の再就職状況の報告(令和2年10月1日~同年12月31日分) 令和3年3月26日 内閣官房 内閣人事局
  44. ^ 国家公務員法第106条の25第1項等の規定に基づく国家公務員の再就職状況の報告(令和3年1月1日~同年3月31日分)令和3年6月 2 5 日 内 閣 官 房 内 閣 人 事 局
  45. ^ OECD事務次長に武内良樹氏 元財務官、11月就任:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 2021年9月16日閲覧。
  46. ^ 故安倍晋三国葬儀への各国・地域・国際機関等からの参列 | 外務省
  47. ^ 「故安倍晋三国葬儀への参列:各国・地域・国際機関等の名称及び代表者名」(PDF)

参考文献

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関連項目

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先代
遠藤俊英
国税庁米子税務署長
1989年 - 1990年
次代
堀越均
先代
冨永哲夫
財務省近畿財務局長
2015年 - 2016年
次代
美並義人
先代
門間大吉
財務省国際局長
2016年 - 2019年
次代
岡村健司
先代
浅川雅嗣
財務官
2019年 - 2020年
次代
岡村健司