美並義人
美並 義人 みなみ よしと | |
---|---|
生年月日 | 1960年7月23日(64歳)[1] |
出生地 | 奈良県 |
出身校 | 東京大学法学部第2類(公法コース)卒業[2] |
前職 | 東京国税局長 |
現職 | 日本郵便代表取締役副社長 |
称号 | 法学士(東京大学・1984年) |
配偶者 | 有 |
在任期間 | 2019年7月5日 - 2021年7月7日 |
在任期間 | 2018年8月3日 - 2019年7月5日 |
在任期間 | 2016年6月17日 - 2018年7月27日 |
財務省主計局次長(筆頭) | |
在任期間 | 2015年7月7日 - 2016年6月17日 |
在任期間 | 2014年7月4日 - 2015年7月7日 |
その他の職歴 | |
財務省理財局次長 (国有財産担当) (2013年6月28日 - 2014年7月4日) | |
財務省大臣官房審議官 (理財局担当) (2012年8月17日 - 2013年6月28日) | |
財務省理財局総務課長 (2011年7月12日 - 2013年6月28日) |
美並 義人(みなみ よしと、1960年7月23日[1] - )は、日本の財務官僚。元東京国税局長、元財務総合政策研究所長。森友学園への国有地売却をめぐる問題で、決裁文書の改ざんが行われた当時、近畿財務局長を務めた[3][4]。退官後、日本郵便代表取締役副社長。
来歴
[編集]奈良県出身。大阪教育大学附属高校天王寺校舎を経て[5]、1984年 東京大学法学部第2類(公法コース)卒業[2]。大蔵省入省[6][7]。関税局企画課[2]、国際金融局総務課調整係長心得[8]、国際金融局調査課企画係長を経て[9][10]、1989年7月 大阪国税局長浜税務署長[11]。1990年 大蔵省大臣官房文書課長補佐(広報)[12]。1993年 大蔵省主税局総務課長補佐(歳入)[12]。1995年6月 大蔵省主計局総務課長補佐(歳入・国債)[12]。1996年7月 大蔵省主計局主計官補佐(農林水産第四係主査)[12]。1997年 大蔵省主計局主計官補佐(農林水産第三係主査)[12]。1998年 日本貿易振興会チューリッヒ事務所長。2001年7月 財務省大臣官房企画官兼主税局総務課兼主税局調査課兼主税局税制第三課。2002年 財務省大臣官房企画官兼主税局税制第二課[6]。
2003年7月 内閣官房行政改革推進事務局特殊法人等改革推進室参事官。2004年 兼道路関係四公団民営化推進委員会事務局参事官。2005年7月 財務省大臣官房参事官(主計局給与共済課担当)。2007年 財務省主計局主計官(農林水産係担当)。2008年 財務省理財局国有財産企画課長。2009年9月 平野内閣官房長官秘書官事務取扱(兼財務省大臣官房付)[13]。2010年 財務省理財局財政投融資総括課長。2011年7月12日 財務省理財局総務課長[6]。
2012年8月17日、財務省大臣官房審議官(理財局担当)兼理財局総務課長事務取扱。同年8月29日、財務省大臣官房審議官(理財局担当)。2013年6月28日、財務省理財局次長。2014年7月4日 内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)兼内閣官房社会保障改革担当室審議官兼内閣官房TPP政府対策本部員[14]。2015年7月7日、財務省主計局次長(筆頭)(農林、文部科学、経済産業、環境、それと司法・警察を担当)[15][6]。
森友学園問題
[編集]2016年6月17日、近畿財務局長に就任[3]。その直後の6月20日、近畿財務局は大阪府豊中市の国有地をめぐり、学校法人森友学園との間で売買契約を締結した。売却金額は非公開とされた[16][17]。
2017年2月9日、朝日新聞が、払い下げの国有地に新設予定の安倍晋三記念小学校の名誉校長が安倍昭恵であること、森友学園側に契約違反があった場合、国が「1億3400万円」で買い戻す特約がついていたこと[注 1]、森友学園の籠池泰典理事長が売却額が買い戻し特約と同額と認めたこと、売却額は同じ規模の近隣国有地の10分の1であること、籠池が日本会議大阪の役員を務めていることなどを報じた[18]。
同年2月17日、安倍晋三首相は衆議院予算委員会で、新設予定の安倍晋三記念小学校の名誉校長が安倍昭恵であることを野党から指摘されると、「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい」と答弁した[19][20][21]。同年2月26日、財務省は、国有地売却の決裁文書から安倍昭恵、鴻池祥肇の秘書、平沼赳夫の秘書、北川イッセイの副大臣秘書官らに関する記述を「できる限り早急に」削除するよう、近畿財務局の職員7人にメールで指示[注 2]。近畿財務局は同日から文書の改竄を開始した[4][24]。安倍首相と籠池の関係を指し示す記述も改竄が行われ、「籠池康博氏は、『日本会議大阪代表・運営委員』を始めとする諸団体に関与」「日本会議と連携する組織として、超党派による『日本会議国会議員懇談会』が平成9年5月に設立され、現在、会長に平沼赳夫議員、副会長に安倍晋三総理らが就任」などの文言が削除された[25][26][27]。
同年11月22日、東京大学名誉教授の醍醐聡らによる市民団体「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」は、地下ごみの確認前に土地を値引きし、国に金8億1900万円相当の損害を与えたとして、美並を背任容疑で東京地検に告発した[28][29]。
2018年3月7日、近畿財務局の元上席財産管理官の赤木俊夫が自殺[30]。同年5月31日、大阪地検特捜部は、美並ら財務省幹部38人全員を不起訴処分とした[31][32]。美並は背任、公用文書等毀棄、証拠隠滅等の疑いで告発されていたが、すべて不問とされた[31]。
同年6月4日、財務省は「森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書」を公表するとともに[33]、退職者2人を含む幹部ら20人の処分を発表した。美並は戒告の懲戒処分を受けた[34]。
同年7月27日、財務省大臣官房付。同年8月3日、財務総合政策研究所長兼会計センター所長に就任[7][35]。
2020年3月18日発売の『週刊文春』3月26日号が、総計15ページにわたる森友学園問題の特集記事を組み、赤木が死の直前に書いた手記全文を掲載した[30][37]。手記には「元は、すべて、佐川理財局長の指示です」「美並局長は、本件に関して全責任を負うとの発言があったと楠管財部長から聞きました」と記されていた[38][30]。
2021年7月7日、退官。同年11月1日、日本郵便専務執行役員に就任[39]。2023年6月22日、日本郵便代表取締役副社長兼執行役員副社長[40]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 2017年6月29日、近畿財務局は買戻権を行使し、森友学園に売却した土地は大阪航空局所管の土地となった。所有権移転の登記手続も行われ、同日を異動年月日として国有財産台帳へ新たに記録された[16]。
- ^ 2021年6月22日、大阪地裁の命令により、「赤木ファイル」が国側から赤木雅子に対し開示された[4]。同月24日、財務省はファイルを国会にも提出し、書き換えに至る詳細なやりとりが明らかになった。ファイルの記述によれば、2017年2月26日15時48分、同省理財局係長は、近畿財務局の赤木俊夫、管財部次長の小西眞、統括国有財産管理官の池田靖ら7人の職員にメールを送信した。「当該個所をマーキングしておきましたので、(略)近畿局の決裁文書につづられている調書等を修正・差し替えする」「修正をお願いしたいのは、『調書』および『経緯』の部分」「できるだけ早急に対応願います」等と明記されており、早急の改竄を指示していた[22][23]。
出典
[編集]- ^ a b “日本郵便株式会社法第13条に基づく書類” (PDF). 日本郵便 (2023年3月). 2024年11月14日閲覧。
- ^ a b c 『東大人名録 官公庁編』1986年9月発行、P52
- ^ a b “近畿財務局長に美並氏”. 日本経済新聞 (2016年6月17日). 2023年5月23日閲覧。
- ^ a b c 原田晋也、皆川剛 (2021年6月23日). “森友問題「赤木ファイル」黒塗りでも読み解けたこと、残った謎 安倍昭恵氏の削除は初日に指示”. 東京新聞 2021年9月21日閲覧。
- ^ 毎日フォーラム・霞が関ふるさと記奈良県毎日新聞2016年11月10日 09時51分
- ^ a b c d 所長 President 美並 義人 MINAMI Yoshito財務総合政策研究所
- ^ a b 財務次官に岡本氏=国税庁長官は藤井氏nippon.com 政治・外交 2018.07.27
- ^ 『職員録 第1部』大蔵省印刷局、1988年発行、504頁
- ^ 真鍋繁樹『大蔵省懲りない権力:新・支配の構図』二期出版、1992年6月1日発行、85頁
- ^ 『ウイークリー顔インタビュー/ 長浜税務署長1年生として張り切る 美並義人さん(29) 消費税で脚光、やりがい』中日新聞 1989年10月24日朝刊 滋賀総合 13頁
- ^ a b 「令和元年、東京国税局長に美並氏」 2019年07月22日 税のしるべ
- ^ a b c d e 『財務省名鑑 2019年版』時評社、2019年1月9日発行、96・101頁
- ^ 平成21年9月16日発令 財務省
- ^ 【人事】内閣官房(2014年7月4日) 異動ニュース
- ^ “財政制度分科会(平成27年8月5日開催)”. 財政制度等審議会財政制度分科会. 財政制度分科会(平成27年8月5日開催). 財政制度等審議会財政制度分科会. 2016年12月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月閲覧。
- ^ a b 会計検査院(2017年11月22日).
- ^ “森友学園問題年表(関連情報を含む)”. 政府の公文書のあり方を問う弁護士・研究者の会. 2023年4月22日閲覧。
- ^ 吉村治彦、飯島健太 (2017年2月9日). “学校法人に大阪の国有地売却 価格非公表、近隣の1割か”. 朝日新聞 2017年5月14日閲覧。
- ^ “第193回国会 衆議院 予算委員会 第12号 平成29年2月17日”. 国会会議録検索システム. 2022年3月18日閲覧。
- ^ 小西洋之 (2018年7月20日). “安倍総理の「私や妻が関係していたということになれば、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」発言に関する質問主意書”. 参議院. 2022年3月18日閲覧。
- ^ “「私や妻が関係していたら辞める」のあと記録廃棄”. NHK (2018年6月4日). 2023年4月1日閲覧。
- ^ “『理財局長の指示』『修正には疑問』改ざんの経緯記した「赤木ファイル」 残されたメールから見えてきた"改ざんの実態"”. MBSニュース (2021年6月24日). 2023年4月19日閲覧。
- ^ “「赤木ファイル」-全518ページを読む 佐川氏が改ざんを直接指示-”. 社民党 (2021年7月9日). 2023年4月19日閲覧。
- ^ 渥美龍太、森本智之、桐山純平 (2021年6月23日). “決裁文書「議員に持って行くつもりない」 森友問題「赤木ファイル」ににじむ財務省の「本音」”. 東京新聞. 2023年4月1日閲覧。
- ^ 財務省(2018年3月12日), p. 44.
- ^ “決裁文書改ざんの財務省報告詳報”. 西日本新聞 (2018年3月12日). 2023年5月26日閲覧。
- ^ 朝日新聞取材班 2018, p. 193.
- ^ 根津弥 (2017年11月22日). “近畿財務局長を背任容疑で告発 「ごみ確認前に値引き」”. 朝日新聞. 2017年11月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月29日閲覧。
- ^ 片岡伸行 (2017年12月14日). “森友疑惑で当時の近畿財務局長を刑事告発 「値引き自体が問題」”. 週刊金曜日. 2023年5月26日閲覧。
- ^ a b c 相澤冬樹 (2020年3月17日). “森友自殺 財務省職員 遺書全文公開「すべて佐川局長の指示です」 妻は佐川元理財局長と国を提訴へ”. 文春オンライン. 2023年3月22日閲覧。
- ^ a b “森友改ざん・背任容疑、佐川氏ら全員を不起訴 大阪地検”. 朝日新聞 (2018年5月31日). 2023年4月19日閲覧。
- ^ “処分通知書(2018年6月1日)”. 大阪地方検察庁 (2018年6月1日). 2023年4月21日閲覧。
- ^ 財務省(2018年6月4日).
- ^ “財務省が処分する20人”. 日本経済新聞. (2018年6月4日) 2023年4月21日閲覧。
- ^ 「財務省・国税庁異動/令和元年7月5日、8日、9日」2019年07月15日 税のしるべ
- ^ ワイン輸出支援に知恵東京国税局長・美並義人氏に聞く山梨日日新聞
- ^ デモクラシータイムス (2020年3月24日). “緊急特集 赤木さんの真実 〜「森友」を忘れない 200324”. YouTube. 2023年3月24日閲覧。
- ^ “「すべて、佐川局長の指示です」自殺した職員の手記全文”. 朝日新聞 (2020年3月18日). 2023年3月22日閲覧。
- ^ “森友文書改ざん当時の近財局長、日本郵便専務に就任へ:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年10月30日閲覧。
- ^ 取締役および監査役候補者について202 3年 5月 1 5日 日本郵便株式会社
参考文献
[編集]- 『学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果について』会計検査院、2017年11月22日 。
- 『決裁文書の書き換えの状況』財務省、2018年3月12日 。
- 『森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書』財務省、2018年6月4日 。
- 『森友学園等との交渉記録【売却まで】』財務省、2018年5月23日。
- 朝日新聞取材班『権力の「背信」 「森友・加計学園問題」スクープの現場』朝日新聞出版、2018年6月12日。ISBN 978-4023316867。
関連項目
[編集]官職 | ||
---|---|---|
先代 藤城眞 |
東京国税局長 2019年 - 2021年 |
次代 市川健太 |
先代 土井俊範 |
財務総合政策研究所長 2018年 - 2019年 |
次代 大鹿行宏 |
先代 武内良樹 |
近畿財務局長 2016年 - 2018年 |
次代 田島淳志 |
先代 岡本薫明 |
財務省主計局次長(筆頭) 2015年 - 2016年 |
次代 可部哲生 |
先代 西田安範 |
内閣官房社会保障改革担当室審議官 2014年 - 2015年 |
次代 非出向 |
先代 西田安範 |
財務省理財局次長 (国有財産担当) 2013年 - 2014年 |
次代 飯塚厚 |
先代 鷲見周久 |
財務省大臣官房審議官 (理財局担当) 2012年 - 2013年 |
次代 岡本直之 |
先代 菊地和博 |
財務省理財局総務課長 後半は事務取扱 2011年 - 2012年 |
次代 岡本直之 |
その他の役職 | ||
先代 八田斎 |
日本貿易振興会チューリッヒ事務所長 1998年 - 2001年 |
次代 岡本直之 |