死刑囚の希望
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英語: The hope of a condemned Man | |
作者 | ジョアン・ミロ |
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製作年 | 1974年 |
種類 | カンバスに油彩 |
所蔵 | ミロ美術館、バルセロナ |
『死刑囚の希望』(しけいしゅうのきぼう、英: The hope of a condemned Man)はジョアン・ミロが1974年に制作した、3枚からなる油彩画の連作。これらは現在ミロ美術館に所蔵されている[1]。
この連作は、サルバドール・プッチ・アンティックの処刑という政治的事件にまつわる作品である[2]。彼の処刑はフランコ政権における最後の死刑執行であり、それはヨーロッパの多くの国から非難された[2]。同じカタルーニャ人としてミロはアンティックに大きな同情心を寄せていたが、この作品は期せずして彼の処刑日に完成した[3]。各々の絵の一本線は途切れた生命の糸を意味し、死刑の恐怖を表現している[4]。
あの気の毒な青年、カタルーニャ独立運動家のサルバドール・プッチ・アンティックが縛り首になったときです。… 彼が殺された日に、私はこの絵を完成させました。… かれの死は、途切れてゆく一本の線なのです。この3部作に、私は『死刑囚の希望』という題をつけました。—ジョアン・ミロ[4]
ミロはこの作品がバルセロナに置かれ続けることを望み、1975年6月にこれをミロ美術館へ寄贈した[3]。
ミロの「3連画」は『青』(1961年)に始まり、『神殿のための壁画 - 橙、緑、赤』(1963年)、『隠修士の居室のための白地絵画』(1968年)、この『死刑囚の希望』(1974年)、『花火』(1974年)と続く[2]。いずれも神殿・隠修所・刑務所といったうら寂しい場所が想定され、画面には詩的かつ虚無的な空間が広がる[2]。大画面かつ簡素な描写の3連画という形式でミロが意図したのは、「最大限の強さを最小限の手段で獲得する」ことだった[2][4]。
脚注
[編集]- ^ “Collection Search Results”. ミロ美術館. 2011年11月24日閲覧。
- ^ a b c d e バルバラ・カトィヤー『マジョルカのミロ』安發和彰(訳)、岩波書店〈岩波アート・ライブラリー〉、2011年、p.55頁。ISBN 978-4000089906。
- ^ a b ジョルジュ・ライヤール 著、村上博哉(訳) 編『ミロ』岩波書店〈岩波 世界の巨匠〉、1992年、p.138頁。ISBN 978-4000084642。
- ^ a b c ジョアン・プニェット・ミロ、グロリア・ロリビエ=ラオラ『ミロ』大高保二郎(監)、遠藤ゆかり(訳)、創元社〈「知の再発見」双書〉、2009年、pp.102-107頁。ISBN 978-4422212050。