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海洋秩序

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

海洋秩序(かいようちつじょ、:international order of the seas)とは、海洋をめぐる国際秩序のことをいう。

近代における海洋秩序の形成過程

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現代における海洋秩序の礎は、17世紀の海洋論争[1]を契機として海洋の国際法である海洋法の成立したことによって築かれてきた[2]

以来、海洋は国家の支配の及ばない公海と国家の支配に属する領海の二元構造がとられてきた。しかし、古来より行われてきた漁業通商に加え、大陸棚の海底資源の掘削等、海洋利用の多様化によって海洋の区分は多様化し、沿岸国の権利等も複雑化したため、国際連合などにおいて海洋法をめぐる国際会議によって海洋をめぐる権利等が論議されるようになり、1958年、第一次国連海洋法会議で「ジュネーブ海洋法四条約」が採択された[3]

しかし、領海などその他の海洋をめぐる権利に関して各国がそれぞれに独自の権利を主張し議論が続いたことから1982年、第三次国連海洋法会が開かれ、国連海洋法条約が採択され、1996年に発効した。これによって海洋紛争をめぐる国際司法機関である国際海洋法裁判所などが成立、海洋をめぐる国際紛争の平和的処理に向けた基盤が形成された。

脚注

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  1. ^ オランダフーゴー・グローティウスによる『自由海論』とイギリスジョン・セルデンによる『封鎖海論』に代表される議論。
  2. ^ 海洋秩序についての解説書としては、例えば内田満『現代政治学小辞典』(有斐閣1976年)や秋山昌廣栗林忠男編『海の国際秩序と海洋政策』(東信堂2006年)に詳しい。
  3. ^ このうち、「大陸棚に関する条約」で大陸棚を「200mまたは天然資源の開発可能な水深まで。」と定義し、沿岸国は「海底とその地下の天然資源の探査・開発について主権的権利」を持つとされた。

参照文献

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  • 内田満編『現代政治学小辞典』(有斐閣、1976年)
  • 秋山昌廣・栗林忠男編『海の国際秩序と海洋政策』(東信堂、2006年)

関連項目

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